| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十三部第四章 閣議決定その十九

「実戦能力は劣ります」
「動きも悪いか」
「今一つです」
「その為弱兵とも呼ばれているのだな」
「そうです」
 その通りという返事だった、八条にしても嘘を言う訳にはいかずキロモトに対してその状況をありのまま答えたのだ。
「実戦には弱いと言われ続けています」
「それは市民からもだな」
「はい、連合市民も言っています」
 連合軍は弱いとだ。
「お世辞にも強くはないと」
「連合は豊かで他にも仕事はあるからな」
「そして身を立てられる仕事もです」
「軍隊以外にな」
「幾らでもあります」
 そうした社会状況ではだ、軍隊以外の組織に人材がいくのだ。軍が身を立てられる唯一の場所でないのならばだ。
「そうした社会ですし」
「しかも軍人の社会的地位もな」
「他の国と比べて低いです」
「サハラは言うまでもなくエウロパやマウリアと比べても」
「はい、エウロパは代々軍人である貴族の家も多いですし」
「舞うリアもクシャトリア階級がある」
 法律的にはなくなっているがだ。
「そうした階級もあるからな」
「他の国には」
「しかし連合は階級もなくな」
「はい、軍隊は仕事の一つです」
 それに過ぎないのだ、連合では軍という組織は。
「それに連合は志願制ですし」
「各国軍を含めてな」
「市民の義務でもありません」
 兵役の考えもないのだ、連合には。
「ですから余計にです」
「軍は仕事の一つでしかないな」
「その為待遇も考えねばならず」
「福利厚生を充実させてか」
「厳しい叱咤も出来ません」
 他の職業の様にだ、パワーハラスメントと認識されかねない行為も出来ないのだ。セクシャルハラスメントに至っては論外だ。
「絶対に」
「そして訓練もな」
「限られた時間の中で市民との交流、災害訓練、教育を優先させますので」
「どうしてもな」
「そちらの訓練の時間は少なくなります」
「勤務時間もあるな」
「はい、平時は」
「夜間訓練もおいそれとは出来ない」
「そうした事情が重なっていますので」
 夜間訓練も何も関係ない宇宙空間でのそれの時もだ。
「ですから」
「どうしてもだな」
「はい、実戦訓練の時間は少なく」
「その訓練もな」
「厳しい叱咤は出来ません」
「ましてや体罰なぞは」
「連合では絶対の御法度ですから」
 その連合の中にある軍でもなのだ。
「許されません」
「若し体罰を行えば」
「即座に懲戒免職です」
 そうなるというのだ。
「状況次第ですが」
「実際に懲戒免職になった者もいるな」
「います」 
 八条はこの現実も答えた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧