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夢幻水滸伝

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第十話 関ヶ原の夜戦その十一

 その動きを見てだ、芥川は言った。
「参ったわ」
「攻撃は無駄ではありませんでしたね」
 雅は自分に来る手裏剣を手の平から術を放って撃ち落としつつ応えた。
「私達のそれは」
「この手裏剣を操るには集中力が必要や」
 己の考えるまま無数の手裏剣を自在に操ることが出来るのだ、それこそ芥川が出したい限りの手裏剣達をだ。
「それが乱れたわ」
「私達の攻撃で」
「そや、今もな」
 滝沢は再び攻撃を出して来た、今度は火球の術だ。
 芥川はそれを己の刀で払い切ってからまた言った。
「これだけのことやけどな」
「集中力が乱れますね」
「手裏剣を使うな」
「そういうことですね」
「二人共考えるもんや」
「神星の力は圧倒的です」
 雅もまた衝撃波を放ちつつ言った。
「ですがそれでもです」
「対策はあるっちゅうこっちゃな」
「そうです、一人では無理でも二人なら」
 それならばというのだ、今の自分達の様に。
「こうして足止め位は出来ます」
「出来れば倒したいですが」
 滝沢は本音を出した。
「それが出来ないとなりますと」
「足止めだけでも」 
 雅もまた手裏剣をかわしつつ何とか反撃を繰り出しながら言った。
「してみせます」
「見事や、こっちも本気でやってるしな」
「手は抜いていない」
「そうだというのですね」
「相手を見くびって戦ったら負ける」
 はっきりとだ、芥川は言い切った。
「それに相手を愚弄する様な下衆でもないつもりや」
「だからですね」
「今もですね」
「そや、本気で攻めてる」
 実際にというのだ。
「この戦もな」
「では、ですね」
「私達も本気ですから」
「本気と本気の勝負」
「していきましょう」
「ああ、ほな手裏剣に加えてや」
 芥川の全身に何かが宿った、それは赤い気だった。
「術も使うで」
「来ます」
 雅は芥川の気が瞬く間に炎になったのを見て滝沢に言った。 
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