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レーヴァティン

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第九話 別れその十三

「ネット等でな」
「随分なもの言いだな」
「しかし俺の家には来るな」
 こう言うのは変わらなかった。
「御前が来ると騒がしくなる」
「だからかよ」
「そうだ、来るな」
 それでというのだ。
「いいな」
「じゃあ行かないな」
「そうしろ、絶対にだ」
「わかったさ、そこまで言うのならな」
 それならとだ、久志も答えた。
「行かないな」
「来ても知らないと言って追い返す」
「そうするのかよ」
「わかったら来るな、いいな」
「ああ、それじゃあな」
「さて、それではだ」
 久志に絶対に自分の家には来るなと彼等の世界でのことを言ってだ、そのうえでだった。彼等は毛結局十二人のうちの誰にも会うことなく。
 そのうえで街を出た、そこであの門番の兵士に挨拶をしたが。
 兵士は二人にだ、笑って言ってきた。
「それでどうだった?」
「お姉ちゃんのことかい?」
「ああ、どうだったんだよ」
 久志の顔を見つつにやにやしながらの問いだった。
「それで」
「いや、別にな」
「何だよ、行かなかったのか」
「ああ、神殿でずっと本読んでたぜ」
「それは面白くないな、刀剣は抜いたんだろ」
「何だよ、その話は知ってるのかよ」
「ああ、有名だぜ」
 この話はというのだ。
「あんた達がそうしたってことはな」
「そのこともう知れ渡ってるんだな」
「俺の耳にはな、あんた達の名前もな」
 それもというのだ。
「聞いたぜ」
「顔も覚えてか」
「そうさ、それで今から街を出てか」
「冒険だよ」
「そうか、じゃあまたここに来たらな」
 その時はとだ、門番の兵士は二人に笑って言って来た。
「また宜しくな」
「一緒に飲もうぜ」
「お姉ちゃんとの話を聞かせろよ」
「ああ、ここに帰るまでに百人は楽しんでくるぜ」
「ははは、百人か」
「百人斬りやってくるな」 
 久志は笑ってだ、兵士に言った。
「おっさんに一人一人の話をしてやるぜ」
「それは楽しみだ、じゃあな」
「ああ、またな」
「俺は決まった相手がいればいい」
 英雄はこのことにはストックだった。
「一人でもな」
「永遠の伴侶ってやつだな」
「そうした相手がいればいい」
 それだけでいいというのだ。
「百人斬りもいいがな」
「何だ、否定しないんだな」
「悪くないと思うがそれよりもだ」
「一人か」
「それだけいればいい」
「そうなんだな」
「そしてあんたにまた会う時が来ればだ」
 その時はとだ、英雄は久志に話した。 
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