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レーヴァティン

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第九話 別れその十二

「そうだな」
「だからだ」
「そうしたことはするな、か」
「名付けたから仕方ないがな」
 パンシャの方はというのだ。
「しかも俺は西武には興味がない」
「そうだったな」
「巨人とは違い嫌いじゃないが」
 それでもというのだ。
「興味はない」
「特にはか」
「御前もそうじゃないのか」
「シリーズでも一回だけしか会ってないしな」
 そして勝っている、実は阪神が日本シリーズで勝った唯一の相手だ。他の相手には負けているのだ。
「あまり縁がないな」
「関西と関東で離れてるしな」
「それもあるな」
「よく名付けたものだ」
「それは今更の言葉だな」
「しかしあえて言う」
「そうか、しかしな」
 ここでだ、また言った久志だった。
「パンシャにしたからな」
「その名前でいくか」
「これからもな」
「好きにしろ、俺は他の名前にする」
「具体的にどんな名前にするんだ?」
 久志は少し興味を持ってそのうえで英雄に問うた。
「御前は」
「そうだな、驢馬だからな」
「オグリキャップとかか?」
「違う、ペルセウスだ」
「何でその名前にするんだよ」
「俺の家の犬の名前だ」
 そのペルセウスという名前だというのだ。
「それにする」
「愛犬の名前か」
「いいと思うな」
「まあ別にな」
 それはとだ、久志も反対しなかった。
「俺も悪くないって思うぜ」
「ならいいな」
「ああ、しかし犬にその名前か」 
 そのペルセウスという名前自体にだ、久志は突っ込みを入れた。
「それはそれで凄いセンスだな」
「お袋が付けた」
「お母さんがか」
「俺が高校の時にな、最初はどうかと思ったが」
「今じゃ気に入っているか」
「結構な、白のシェパードだ」
「ああ、シェパードでも白か」
 そう聞いてだ、久志は一旦目を瞬かせてから言った。
「いいな、それは」
「そう思うか」
「ああ、シェパードで白って格好いいよな」
「見たことはあるか」
「いや、ないけれどな」
 それでもというのだ。
「俺はいいと思うぜ」
「そうか、では一度見てみることだ」
「御前の家に行ってか?」
「来るな」
 返事は一言だった。
「絶対にな」
「おい、それじゃあ見られないだろ」
「他のところで見ろ」
 その白のシェパードはというのだ。 
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