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星河の覇皇

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第六十三部第二章 円卓その四十九

「軍事もそうだ」
「そうでなければ勝てませんね」
「情報も手に入らない」
「連合のそれも」
「情報を手に入れることが第一歩だ」
 軍事の、というのだ。
「情報がなければ何もならない」
「勝つことも」
「敵を知ることだ」
 己を知ると共にだ、孫子の言葉だ。
「それが戦争の第一だ」
「情報収集ですね」
「情報収集には敵の中に入るといい」
「情報がよく入りますね」
「敵の中に入ればな。マウリアから手に入れる方法もあるが」
 この方法は実はエウロパは昔から使っている、連合もまたエウロパの情報をマウリアから手に入れている。
「それはな」
「確かな情報をくれるのですが」
「ただではない」
「はい、マウリアも馬鹿ではありません」
「それなりに値段を言って来るな」
「情報も商品といいますが」
 これはその通りだ、ビジネスにおいても情報は非常に役に立つ。そこからビジネスの仕方を考えることが出来るからだ。
「まさにその通りですね」
「マウリアからの情報はダイレクトではない分時間もかかるしな」
「その情報は正確ではありますが」
「それに金もいる」
「あまりよくはありませんね」
「だからだ」
 それで、というのだ。モンサルヴァートも。
「連合から直接手に入れたい」
「連合の情報は」
「そしてこちらの情報はな」
「渡さない、ですね」
「そうありたいものだ」
 こう言うのだった、ビルギストンに対しても。
「だからだ、軍としてもだ」
「教皇猊下の擁立はですね」
「望ましい」
 モンサルヴァートは軍人として述べた。
「少なくとも悪いことではない」
「それでは」
「連合からエウロパには工作員は一人も入れない」
 断固として、という口調だった。
「誰であろうともな」
「鉄のカーテンを敷きますか」
「あの鉄のカーテンはすぐになくなったがな」
 第二次戦後のそれはというのだ。
「今度の鉄のカーテンは違う」
「これまで通りですね」
「連合からの人間は入れない」
 誰一人として、というのだ。
「情報が漏れるにしてもな」
「出来る限りはですね」
「多くは漏らさない」
 最低限に抑えるというのだ、完全は無理でも最低限に抑えることは出来る。この考えからの言葉である。 
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