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ドリトル先生と悩める画家

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第四幕その九

「今まで」
「気付かなかったかな」
「はい、どうも」
「他にもあるかも知れないね」
「スランプの原因は」
「精神的なものにね」
 影響するそれがというのです。
「そこも気になるね」
「原因は一つとはですか」
「限らないからね」
 だからというのです。
「そこが人間精神の難しいところなんだ」
「そうなんですね」
「うん、どうなのかな」
 先生は考えるお顔のまま太田さんに言いました。
「実際のところ」
「まだはっきりしないですか」
「そこはね、ただね」
「ただ?」
「日が当たる場所にいるとね」
 そうすればとです、先生は太田さんにお話しました。
「それだけで全然違うからね」
「精神的にですか」
「鬱病の人も朝から太陽の光を当たるとね」
「全然違うんですね」
「そうなんだ」
「鬱病は治りにくいっていいますけれど」
「そうだよ、けれどね」
 それがというのです。
「朝日を浴びるとね」
「それだけで、ですか」
「全然違うんだ」
「それじゃあ僕も」
「外で描いているのを見たけれど」
 昨日のことです。
「それはいいことだね」
「塞ぎ込まないからですか」
「スランプでもね」
「そうだったんですね」
「うん、ただ本当に日の光はね」
 それはとです、また言った先生でした。
「浴びるべきだよ」
「そういうことですね」
「見れば君はよく外で描いてるね」
「わかりますか?」
「日に焼けた顔をしているからね」
 見れば決して青白くはありません、むしろ結構日に焼けた感じです。それはお肌も同じです。
「それは地の色じゃないね」
「元々は色白です」
「それだけ外で描いているということだね」
「風景画も描いてますから」
「だからだね」
「はい、こうしてです」
 まさにというのです。
「日にも焼けています」
「それはいいことだよ」
「やっぱりそうですか」
「日に当たることはね」
「スランプを抜け出る為にはね」
「そのことも関係していたんですね」
「そうだよ、スランプと欝病は似ている場合もあるからね」
 先生の考えるところではです。
「そうした時こそね」
「外に出る」
「あと描くこともね」
「いいんですか」
「それだけ身体を動かして頭も使って塞ぎ込むことがないからね」
 だからというのです。 
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