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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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55.メリーゴーランドとかコーヒーカップとか、同じ所を回るのが好きな人がいる。

<地下遺跡の洞窟-前>

突然の噴火は1時間程で収まった。
仕組みかよく分からんが、溶岩の熱も無くなり普通に歩く事が出来る。
高く切り立った山の麓を見ると、人一人が何とか入れそうな穴が開いている事に気が付いた。
中を覗くとかなり奥の方まで続くダンジョンになっている様だ。
とは言え、大人数で入るのは無理そうなので少数で探索する事に決まった。

当初は俺と、双子と、サンチョで入ろうと思ったのだが…
「私が行く!もう、留守番なんてイヤよ!何の為について来たと思っているのよ!留守番要員じゃないわよ!」
って言って、さっさと入っていちゃったのでサンチョの代わりにドリスを含んだ4人で探索する事に決まった…
勝手だなぁ~…


最初の内は狭く長い回廊が続いていたが、急に拓けた場所が現れた。
採掘現場の様な造りの洞窟内には、縦横無尽に線路が走っており各所にトロッコが置かれている。
「トロッコの眼」
「?トロッコに眼なんてないよ?お父さん」
「ティミー君!そのツッコミは間違っている!そこは『シロッコの眼だろ!』って、ツッコミが欲しかった」
「あ…う、うん…ごめんなさい…でも、シロッコって何?」
「…ごめんなさい。忘れて下さい」
彼らにシロッコと言っても分かる訳ないよね。
『落ちろカトンボ!!』のパプテマス様なんだけどね…


しっかしこの洞窟は厄介だ!
敵は殆どいないのだが…トロッコを上手く操らないと先に進めない仕組みになっている。
途中にある切り替えポイントを操作しないと、トロッコを元の位置に戻してやり直しになる。
パズル的な要素が強い!
誰だよ…こんな事を思い付いたヤツは!?

「あ~も~!僕、こう言うの苦手ー!無理矢理付いてきたドリスさん、頑張ってー!」
「わ、私は戦闘要員ですので、こう言った頭脳労働は国王陛下の領分です。私ども家臣は陛下に付き従うのみです」
「勝手だなぁ~…何でこう言う時だけ敬語なの?」
実に我が儘なねーちゃんだ!

「お父さん。みんなで頑張りましょ!モンスターもいないから、ゆっくり落ち着いて攻略出来るよ」
どうやらポピーはビアンカ似の様だ。
良い娘だなー!
嫁にやりたくねー!!
将来『娘さんを僕にください!』なんつー輩が現れたら、どごぞのハゲの様に無理難題を押し付けよう。
リングを2つ取ってこい的な!


少しずつだがダンジョンを奥に進むと、一台のトロッコが同じ所をグルグルと回っている現場に遭遇する。
「だ~れか、た~すけて~~!!!」
トロッコには一人のおっさんが乗っているのだが、楽しんでいる訳では無い様だ。
明確に『助けて』と叫んでいるので、無視する訳にもいかない…
助ける為切り替えレバーを操作しようと思う、が…錆び付いているらしく動かない。
力任せにレバーを動かす!
鈍い音と共にレバーが動く。
同時にレバーが壊れる。
ループ車線からストレート車線へトロッコは移行し、線路の終着点へ着くと勢いそのままでおっさんは放り出された。
大丈夫かな…あのおっさん。


「いや~…助かりました」
おっさんはひょっこり起きあがり、何事もなかった様に近付いてくる。
丈夫だな…
「申し遅れました、私は天空人のプサンです」
「はぁ…よろしく…僕はリュカ、ティミーとポピーは僕の子供です」
「初めまして」
「よろしくお願いします」
「私は、ドリスよ。このパーティーの実質的なリーダーよ!」
勝手だなぁ~…

「あの…何故こんな所に?」
話を変える為に、俺はプサンと名乗るオッサンに尋ねてみる。
「はい。私は墜落した天空城を目指していたのですが、切り替え間違えまして…20年間もあそこで回ってました」
「…へー…」
ヤバイ!この人馬鹿だ!
あんな勢い良く放り出されてもケロっとしているのだから、トロッコから飛び降りても大して怪我はしないだろうに…
にも関わらず20年間も…

「あなた方も天空城を目指しているのですか?」
俺がドン引きしているのに気付かず、プサンは尋ねてきた。
「はい。やはり、この洞窟から天空城へ行けるのですね」
「はい。私が乗っていたトロッコで真っ直ぐです!」
え、大丈夫かな?
「切り替えさえ間違えなければ大丈夫ですよ」
説得力ねぇ~!20年の重みはでかいね。





<天空城>

プサンの言う通り、あのトロッコに乗って直走ると、急に視界がぼやけ気が付いた時には水中の城の前に立っていた。
「ここが天空城(笑)!」
「リュカさん…何で笑うんですか?正真正銘の天空城ですよ!」
天空の意味、分かてるのですか?(笑)
「だぁ~てぇ~…天空に無いじゃん!水中城じゃん!」
「ぐっ…な、何故墜落したのか原因を調べてみましょう!」
そう言うとプサンは俺達を誘い、城の奥へ進んでいく。
ちょっと悔しそうだ。


プサンに付いて行くと、奇妙な部屋に辿り着いた。
「やや!ここにあるはずのゴールドオーブがありません!どうやらゴールドオーブ紛失が天空城の墜落の原因の様です!」
何も乗っていない台座を見て慌てふためくプサンの姿が滑稽だ!
「じゃぁ…もう二度とこの水中城は天空城に戻らないんですね」
だとしたら名前の変更を要求する!
「いえ!ゴールドオーブさえあれば、この城は天高く浮かび上がります!リュカ、探すのを手伝って頂けますか?」
うっ…また面倒事の予感…

「べ、別にいいですけど…何処にあるのか分からない物を探すのは…」
遠回しに断ってみる。
「今からゴールドオーブの残留思念を辿ってみます。リュカの頭に直接ビジョンを送りますので、そこへ行って手に入れてきて下さい」
そんな便利な事が出来たのね…
「では、いきますよ」
出来れば遠慮したい…
「お手柔らかに…」



 
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