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ドリトル先生と悩める画家

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第二幕その五

「いいと思うけれど」
「観ること自体は」
「けれどね」
「人間それだけじゃない」
「そこもわかってくれないと」
「だから何がわかっていないのかわかってくれないとなのか」
 また首を傾げさせる先生でした。
「僕には全くわからないけれど」
「はいはい、もういいから」
「美術館に行きましょう」
「仕方ないからご同行させてもらうよ」
「今日もね」
「そうさせてもらうから」
 本音は違ってもそうすると答えてです、皆は先生と一緒に日笠さんのお誘いを受けてこの日も美術館に行きました。
 そして美術館に入ってゴーギャンの絵を観てです、日笠さんは先生の微笑んで言いました。
「この独特のタッチがです」
「いいのですね」
「ゴッホとはまた違った」
「それがいいですね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「この人の芸術はタヒチですね」
「はい、あの島に住む様になってからです」
 まさにとです、先生は日笠さんに答えました。
「開花しました」
「本格的にですね」
「それまでも才能を発揮していましたが」
「本格的な開花は」
「それからでした」
 まさにというのです。
「あの南国の島がです」
「ゴーギャンの芸術を開花させて」
「こうして残っています」
「何か観ていますと」
 日笠さんはゴーギャンのその絵を観ながらまた言いました。
「タヒチを確かに感じますね」
「いい島ですよね」
「先生はあの島にも」
「行ったことがあります」
「そうですか」
「いい島ですよ」
 先生はタヒチ島自体についてもです、日笠さんにお話しました。
「木々も海も奇麗で」
「南国ならではの」
「非常に素晴らしい気候です、食べものも美味しいです」
 南国のそれもというのです。
「非常に」
「そうですか、実はまだ行ったことがないですが」
「そうなのですか」
「一度行ってみたいですね」
 先生を見てにこりと笑って言うのでした。
「そう思っています」
「そうですか、ではです」
「はい、その時はご案内して下さい」
「タヒチの名所をですね」
「何かと」
「わかりました、その時はです」
 先生は日笠さんの今のお誘いに笑顔で応えましたが。 
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