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星河の覇皇

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第六十三部第一章 次期総統その三十六

 今度は領事からだった、使者に対して言ったのだった。その言った言葉はどういったものかというと。
「ところでそろそろ夕食ですが」
「もうそんな時間ですか」
「貴方はご夕食は」
「まだです」
 それは、とだ。使者も答える。
「それは」
「そうですか、それではです」
「これよりですか」
「私もまだです」
 夕食、それはというのだ。
「それは」
「左様ですか」
「ですから」
 領事は使者にさらに言った。
「これからどうでしょうか」
「お言葉に甘えて宜しいでしょうか」
「是非」
 笑顔でだ、彼は応えた。
「ではご一緒に」
「はい、夕食を楽しみましょう」
「それでは」
 こうしてだった、夕食を二人で食べることが決まった。そのうえで。
 使者は領事に領事館の食堂に案内された、そこでだった。
 その出されたメニューを見てだ、使者はこうしたことを言った。
「少しです」
「少しとは」
「私の予想が外れました」
 そうなったというのだ。
「残念ながら」
「何がどう外れたのでしょうか」
「マウリア領事との夕食ならば」
「出て来るメニューはですね」
「カレーだと思っていました」
 マウリア料理といえばこれだ、だからだ。
「しかしビーフカレーとは」
「そのことがですか」
「意外でした」
 こう領事に言うのだった。
「そのことが」
「私はイスラム教徒です」
 領事は微笑んでだ、使者に返した。
「ですから」
「だからですか」
「確かに普段は牛肉を食べませんが」
 多くのマウリア人、ヒンズー教徒である彼等の様にというのだ。
「今日は違います」
「ビーフカレーをですか」
「食べるつもりでしたし」
 そして、というのだ。
「ですから」
「私が来ることは」
「ははは、知っていましたが」
「それでもですか」
「今日はたまたまです」
 あくまでだ、そうだというのだ。
「最初から決めていました」
「左様ですか」
「たまにはビーフカレーもいいものです」
 こうも言う領事だった。 
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