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星河の覇皇

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第六十三部第一章 次期総統その三十五

「脚本も演出も監督もです」
「全てがですか」
「侯爵閣下がされています」
 そうだというのだ。
「そして劇場支配人でもあります」
「そうなりますか」
「無論劇場は一人では動きません」
「それで貴方達もいて、ですね」
「働く予定です」
「そして貴方達も働かれ」
 領事は相手の腹を探りつつ話していく。
「エウロパを復興させ発展させるのですね」
「その劇を御覧になって頂けます」
「左様ですか、そして我々はですね」
「マウリアの方々はです」
「その劇のスポンサーですね」
「ははは、申し出て下さるのですか」
 使者は笑っている仮面を被りつつ話していく。
「でしたらお話しましょう」
「いえいえ、それにはです」
「それにはとは」
「我々は観させてもらいますので」
 観客になるというのだ、劇場で行われる舞台の。
「それから」
「それからですね」
「先程申し上げた通りです」
「わかりました、では」
「その様に」
「では話題を変えましょう」
 ここでだった、使者は今の話がまとまった少なくとも彼等の中ではそれが出来てからだ。そのうえでだった。
 領事にだ、今度はこう言うのだった。
「マウリアは我々以外とも交流がありますが」
「はい」
 連合のことだがだ、あえて言葉には出さずに話すのだった。大使も応える。
「その国のことをですか」
「よく思われていない様ですが」
「いえいえ、それは違います」
「違うといいますと」
「我々は友情に篤いのです」
 腹芸のままでの言葉だった、領事の言葉は。
「ですから」
「もう一つの友好国とですか」
「仲良く交友を深めていきたいのです」
「どちらともですか」
「その友人達の関係は知りませんが」
 敵対関係であることは知っていても、というのだ。
「しかし我々は双方とです」
「仲良くしていきたいのですね」
「そうです、若し友人が困っていれば」
 その時はというと。
「もう一方の友人との友情は忘れませんが」
「それでもですか」
「バランスが大事です」
 あえて、の言葉だった。今も。
「ですから」
「それで、ですか」
「友情は忘れません」
 これは決してというのだ、美談に表を包んでの言葉だ。
「それだけです」
「そのもう一方の友人に対して」
「そしてバランスもです」
 そちらもだというのだ。
「そういうことでお願いします」
「理解して欲しいと」
「その様にです」
「では」
「はい、今はですね」
「観させてもらいます」
 こうも話してだ、そのうえで。 
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