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Monster Fusion

作者:火蝶 烙
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番外編
  《Q、狩りごっこだね?A、いいえ、ガチです。》前半

 
前書き
お久しぶりです。皆さんお元気ですか?僕は元気です。火蝶 烙です。久しぶりの更新ですが本編じゃありません。あと好き勝手やっているのでメチャクチャですw 

 
この世には“秘境”と呼ばれる地が点在する。その地はどこに存在するのか、どうやったらたどり着けるのか明確にはされていない。だが、そこにはとてもレアな素材やアイテムを見つけることができ、もしたどり着くことができたのならばそれは並大抵の幸運ではないという.....

しかしみなさんはご存知だろうか、秘境のうち限られた場所には隠しルートがあるということを。大樹の畝のトンネル。海底の谷の断壁。空谷の頂。etc....
その隠しルートを通った先にあるのは“大秘境”。そこはMonster Fusionたちが生活している、世界に数少なく点在する拠点でもある。

今回のお話は、大鳳 秋炎がまだそんな大秘境で生活していたころのお話.......




☆  ★  ☆  ★  ☆



「ふぁあ~あ....こんな朝っぱらから呼び出すなんて....長老め、年寄の早起きに若者を巻き込みやがって。」

「そんにゃこと言ってるけど、私も秋炎にーちゃんとおんにゃじでお爺ちゃんに巻き込まれてる身にゃんだからね?そこんとこ忘れにゃいでよね?」


まだ夜の明けぬ大秘境の地。そこに乱立した木造家屋の間を欠伸しながら通るのは大鳳 秋炎である。
彼は今この大秘境を治める長老に呼び出されていた。

まだぐっすりと快眠モードだった秋炎としては出向きたくなかったのだが、秋炎を呼びに来たこの年齢が二ケタにもならない幼女は長老の孫娘である。名前は『メー』。三つ子の一番上のお姉さんでもある彼女はメラルーのM,Fであり、Fモード(モンスターの特徴を得た姿のこと)でなくともその手癖の悪さは本物同様で、寝たふりでやり過ごそうとするとその間に家のものを持っていかれかねないのでここは仕方がなく素直に従ったわけである。


「へーへー。わかりましたよメーちゃぁん。」

「にゃんで今“ちゃん”だけねっとり言ったの?」

「ほら、向こうにある大樹の根っこんところ、窪みになってるところでいつも寝てる灰色の何かよくわかんないおっきい奴いるだろ。そいつの作品に出てくる有名なおばあさんのリスペクトだよ。」

「?にーちゃんは時々よくわかんにゃいこというにゃー。」

「お前もあと少し大人になったらわかんじゃね?多分」


そんなこんなで長老のご自宅に到着だ。ツタで編み込まれた入口のカーテンをメーが先にくぐり俺もそれに続く。


「じーちゃぁん。秋炎にーちゃんつれてきたよー。」


やべ、いきなり真似してる。子どもって知識の吸収早いな。
そんなことを思いながら中に目を向けると、一番奥には長老が鎮座しそのサイドに三つ子の次女と三女、つまりメーの妹である《ラー》と《ルー》が、そして入口に背を向けて座る二つの背中があった。

すると次女のラーが笑顔と共に口を開いた。


「メーね~ちゃんおそいよ~。この【三バカにいちゃんズつれてくるよ競争】ラーたちの勝ちだね!」

三女のルーは引っ込み思案なのでラーの言葉にコクコクとうなずくだけである。

「む~そもそも秋炎にーちゃんの家が一番遠いんだから私が一番不利じゃにゃいかにゃ?」

メーは頬を膨らませ不満を言った。

「はっはっは。メーちゃんはお姉ちゃんなんだから妹に譲ってあげなさい。」

そしてそれを笑いながらなだめる年の癖には筋肉が有り余るじじぃこそが我らの長老だ。


何とも不名誉な作戦名が聞こえたが、ひと段落、この微笑ましい光景が落ち着いた時。


「よぉ秋炎....お前まで呼ばれてたか。」

「....お互い災難だなぁ」


疲れた様子で俺に声をかけてきたのは、俺と共に三バカにいちゃんズに数えられているらしい(否定できないのがつらいところである)腐れ縁の二人だ。

最初に話しかけてた白銀の長髪が特徴的なのは《壬風(みかぜ)》。そしてもうひとり、青髪を短く切りそろえた細マッチョの方は《ディオ》という。別に口癖が無駄無駄なんてことはない。

この二人とはよく昔からツルミがある、しかし大体この三人がそろって呼び出されるってことは何か面倒ごとが押し付けられるという共通認識がこの土地では生まれている。今回もおそらく、ってか絶対例に漏れずその類だろこれ。

二人も察しているらしくその顔には元気がない。


「...なぁ長老。多分いつも通り面倒ごと押し付ける気だと思うけどさ。毎回毎回押し付けられる俺たちの身にもなってくれよ。いっつも伝説の薬草もってこいだとか。決壊した橋直せとか。ミサイル食い止めろとか。勘弁してくれよ。あとこの前のミサイルみたいに『このミッションの失敗は全面核戦争の開始の合図となる貞淑な任務(バーチャスミッション)だ。』とか妙にノリノリなところもムカつくし。ってかどこでそんなネタ拾ってくるんだよ。」


三人の気持ちを俺が代表して伝える。
すると長老は俺たちに向きなおって言う。


「あぁん?てめぇらがいっつもよそ様のシマ荒らしてそのたびに代わりに落とし前付けてやってんのはどこの長老様であらせられると思ってやがんだ。てめぇらに拒否権はない、ついでに人権も発言権もない。てめぇらはずっと俺のいうことを黙って生きていく運命!これこそがお前らの生き、そして死んでいく理由だ!」


こちらに向きなおったときそこにいたのは時代が時代であれば世界を恐怖に陥れられそうな帝王がいた。


「俺たちの人生を何だと思ってやがるくそじじぃ!っつーかさっきまで見せてた優しい孫娘好き好きおじいちゃんはどこに消えやがった!」

「秋炎にーちゃんにゃに言ってるの?じーちゃんはずっとここにいるじゃない。」

「この帝王をまだおじいちゃんと認めるこの孫の胆力なんなの!」


↑ここまで毎回のテンプレである。



★  ☆  ★  ☆  ★



「まぁ冗談はこのぐらいにしといてだな。今回は薬草集めだとかそんな小事じゃなくてな、ちぃとばかし厄介なことになっててな。いままでは他の奴らでもぶっちゃけ事足りたんだが、今回ばかしは若い連中の中でも、頭はさておいて実力があるてめぇらにしかやらせられねえ案件でな。」

「褒めるのかけなすのかはっきりしてくれよ長老....」


疲れた様子でツッコむのはディオである。しかし長老はそれを取り合わない。


「んで、今回は何です?ちゃっちゃと終わらせたいんですがね。用事あるし。」

「あん?なんだ壬風、女か?どうせフラれんのがオチだ」

「余計なお世話だ!」

「なんだ図星かよ。ガキが色恋沙汰に.....っとこんなはなしじゃなかった。今回の話の前に、最近ここに流れてきたハンターは知ってるか?」

「あぁ。あの窪みの灰色お化けの腹の上で満身創痍になってたやつか?」

ディオが答えた。俺は知らなかった。

「そうだ。実は昨日やっと目が覚めてな。よくあの怪我から回復したもんだよ。薬草を抜かりなく備蓄させていた俺。やっぱカリスマだろ。」

「その薬草とってきたの俺たちなんじゃ....」

「ディオ。お前らに命令したのは俺なんだから俺の手柄。文句をいうなら今の社会に言え。一人が頑張ったところで最終的に得をするのはいつだって強者だ過程なんて関係ねぇんだよ。」

「それが世界の姿だというのに、なんでこんなに醜く、そして悲しく感じるのだろうか。」

「まだお前が子どもだからだ。だが今のこの世の中、子どものままでいるのがどれだけ難しいことか....」

「長老、壬風がネガティブモード入っちまったんで路線回復してくれ。話進まねぇよ。」


人生の真理求めるために呼ばれたんじゃねぇし、これ以上時間かけると特にぐだりそうだし。


「そうだな、あんま時間もかけていられねぇんだったし。.......さっき言ったハンター。アイツの話によるとだ。どうもあるモンスターがこの近くに出現したらしい。一番近くのギルド...まぁここからだったら草竜飛ばしても五日はかかるが、ですぐに討伐隊が組まれて、あのハンターもそれに参加した....」

「で、見事に返り討ちにあったと。」

「そうだ。」

「その討伐隊の規模は?」

「HR100以上のハンターのフルレイド(4人)の二組合同だ。その両方もチームの連携、装備共に申し分ないという。」

「.....そこそこの規模じゃないか?」

ディオの問いに長老は首肯して答える。

「そのギルドじゃ現状対応しきれる最大限級だとよ。」


長老も俺たち三人も先ほどまでのふざけた雰囲気ではいれなくなっていた。それだけ事態の深刻さは物語れている。


「長老、そのモンスターの名前はわかってんのか?」


長老は一呼吸溜めてその名をくちに出した。


「“幻獣”キリンだ。」

「....まさか古竜が出てくるとはな。なるほど。そりゃきついわ。」


壬風が腕を組み思案顔になる。


「ここからなら、雪山あたりか?」

「その通りだ。討伐隊は雪に足を取られてロクについていけなかったらしい。それでやいのやいのの内に全滅だよ。アイツはキリンにふっ飛ばされたら丁度トンネルに落ちてトロロの腹に収まったってわけだな。」

「長老、多分間違えてるそれ。」


場に沈黙が流れる....口を開いたのはディオだった。


「で、長老。.....俺たちを呼んだ要件を聞かせてくれ。」

俺たち三人は長老をみつめる。長老はまた頷きそしていった。


「ぶっちゃけこのままキリンが下のギルドを襲撃しようがこのままどっかに行こうと俺たちのしったこっちゃないが、まぁ縁で恩を売っといてもイイだろ。よっててめえらにキリンの討伐を命じる。」

「おぉ~!」


長老の言葉にメーが、目を輝かせる。が、決め顔の長老を差し置いて俺たちはというと.......


「いやぁ....どうだろ?」

「八人が返り討ちだぜ..?」

「無理だろ?」


完全にやる気0である。俺たちが真面目に聞いてたのはそこら辺をしっかり見極めるためである。そりゃ俺たちもやれることならいつもの如くいやいやとやったかもしれないが、今回は相手が悪い。古竜なんて絶対無理。

その場に何とも言えない微妙な空気が流れる。するとおもむろに長老が満面な笑みを見せた。それに一瞬キョトンとした俺たちもそれに微笑み返す......

バァァァン!

「かぁ~、最近の若いもんはやる前から無理だなんだのって!!!てめぇらも男ならどんと一発やって来いよ!!!」

「で~た~よじじぃの精神論!!!現代社会のこと語ってたのどこの長老様であらせられましたかね!!??今時そんな精神論でどうにかなるような甘い世の中じゃねぇのはじじぃのじじぃが起き上がらなくなるいままで生きたじじぃが一番分かってんじゃねえのかよ!!!」

「んだとガキゴルァァアア!!!気持ちを失ったらそこで人はしめーだよ!!だから気持ちを忘れないうちにいったれや!!!」

「今回の場合気持ち諸共葬られるレベルなんだよ!!!」

「つーか恩を売るっつーんだったらじじぃ自ら赴けや!!」

「てめぇただでさえ老い先短いか弱いじじぃの寿命を早めろってか!?俺の命はてめぇらと違って重いんだよ!てめぇらの吹いたら飛んでくレベルの軽い命を有意義に使ってやれる機会を与えてやってんだろ!?有難く頂戴しやがれ!」

「こちとら“難の有る人生”じゃないで“難の無い人生”求めてるんで頂戴いたしませぇん!!」


売り言葉に買い言葉。長老と三人は立ち上がりお互いの顔に唾を飛ばしながら口論を繰り広げる。口論というより口撃かもしれないが。

そのとき、どうしたらいいかわからずあたふたしている姉二人の後ろから滅多に口を開かない三女のルーが大きく空気を吸い、そして口を開いた。


「ごちゃごちゃうるっせぇんだよア゛ァン!!??てめぇェら揃いもそろって玉無しかァ!!!??役の押し付け合いするくれぇなら両方ともいきゃぁ良いだろうがぁ!!!いい加減にしやがらねぇと俺がてめぇらまとめて始末するぞゴルァアア!!!!!!!!!!」


.....普段おとなしい人が切れるとメッチャ怖いの法則.....全員が呆気にとられ大口をあけ言いきったルーを見つめる。そしてルーはいつものもじもじとした様子に戻ると最後の一言を付け加えた。


「....です....にゃ。」


先ほどの、大の大人4人を黙らせる啖呵と最後の『何この生き物かわいい』のギャップを食らった四人はそろって一つの言葉を言うしかなかった。


「「「「分かりましたぁあ!!」」」」



こうして、彼らのキリン討伐が始まるのだった。
 
 

 
後書き
前半後半の前半でした。少し俺にしては長めですね?

いつか感想でも指摘されたんですが、ここで説明というか補足をば。

M,Fたちの名前なんですがカタカナだったり、苗字があったりなかったり。あれは自分がそのモンスターをイメージしてその特徴をなるべくとらえようとしたらああいう形に落ち着くんです。だから別に深い意味はないです。

続きはいつになるかなぁ。投稿自体二か月ぶりだったし。

ま、のんびりとお待ち下さい。
それでは、数Ⅱと悪戦苦闘してる火蝶 烙でした。 
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