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もう友達じゃない

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第四章

「苺の甘い味がな」
「そうなのね。そう言う間だって」
「俺もかよ」
「あんたはあんたでクリームパン食べてたじゃない」
 自由の好物だ。彼はそうしたパンが好きなのだ。
「その味がしたわよ」
「じゃあ甘いんだな」
「ええ、甘かったわよ」
 真子はにこりと笑って自由に告げた。
「じゃあファーストキスはお互いにね」
「甘かったってことだよな」
「そういうことよね」
 笑って言い合う二人だった。この時からだ。
 二人は少しずつだがキスやそうしたことをする様になった。その中でだ。
 この日は学校の屋上でだ。二人で弁当を食べながら話していた。その話の内容はというと。
 真子からだ。自分で作ってきた焼き魚、鰯を入れた弁当を食べながら自由に言ったのだ。
「あのね。私達ってね」
「ああ、最近キスとかするよな」
「だからよ。ひょっとしたらそれって」
「付き合ってることになるんじゃないかっていうんだな」
「そうならない?」
 こうだ。真子は鰯を食べながら購買部で買ったジャムパンを食べる自由に尋ねた。
「付き合ってるからそういうことするんだよね」
「言われてみればそうだよな」
「そうなるわよね。やっぱり」
「そういうことか。しかしな」
「私達ってね」
 どうかとだ。真子はまた言う。今度はほうれん草のひたしを食べつつ。勿論これも真子が作ったものだ。正確に言えば昨晩作ったものの残りを弁当に入れたのだ。胡麻が効いている。
 そのひたしの味を楽しみながらだ。彼女は自由に言ったのである。
「やっぱりね。そういうのじゃなくて」
「ダチだよな」
「そういう感じよね」
「だよな。キスとかしてもな」
「そういう関係だと思うのよ」
 二人は屋上のベンチで横になって座ってそこでそれぞれ食べている。
 そのうえでだ。真子は言うのだった。
「お友達ってね」
「お互いにそういう考えだからな」
「けれどいいのかしら」
 首を捻ってだ。真子は言った。
「それでも」
「いいんじゃないのか?別に」
「いいの?」
「ああ、特にな」
 首を捻りながらだ。自由は言う。
「別に彼氏彼女じゃないとキスとかしたら駄目だとかいう法律ないだろ」
「そんな法律何処にもないけれどね」
「だったら別にいいんじゃないのか?」
 自由はジャムパンを食べ終え今度はメロンパンを食べていた。
 そのうえでだ。こう言うのだった。
「ダチでもキスをしても」
「そう。いいの」
「俺はそう思うけれどな」
 自由はこうした考えだった。だが、だった。
 ここでだ。彼はこう真子に言ったのだった。
「俺、これからも御前とな」
「キスとかしたいの?」
「御前さえよかったらな。それにな」
「それになのね」
「御前のこと嫌いじゃないからな」
 自分の隣にいる真子に顔を向けての言葉だった。
「そんなことはないからな」
「そうなの。それは私もよ」
「御前もかよ」
「そう。嫌いじゃないから」
 真子の方も自由に対して言う。
「だからこれからもね」
「キスしたりとかか」
「あんたさえよかったらね」
「じゃあ。お互いにそうならな」
「ええ、そういうことでね」
 二人で話して。そのうえで。
 二人はまたキスをした。弁当を食べている間に。それが終わってから自由は困った顔になって言った。
「御前魚臭いぞ」
「御免、鰯食べたから。けれど」
「俺もだっていうんだな」
「何かかさかさしてるけれど」
「メロンパン食ってるからな」
 そのせいだとだ。自分と同じ顔になっている真子に告げた。
「そうなるよな」
「そうなのね。何かね」
「ああ、今日のキスはな」
「甘い味じゃなかったわね」
 二人で苦笑いになって話したのだった。
 こうしたことが重なってだ。そのうちだ。
 周りの誰もが言うようになっていた。二人が付き合っていると。それで部活でもだ。やはり後輩達が彼等に対してこう言ったのである。 
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