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星河の覇皇

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第六十二部第四章 選挙前日その十二

「数以外に何がある」
「いえ、ありません」
「数以外はありません」
「その他にあるものはといいますと」
「只愚かな大衆がいるだけです」
「まさに誰もです」
 いないと話すのだった、とにかくだ。
 連合は数しかない、それが彼等の連合への見方だった。その見方からカミュはこう言ってみせたのである。
「数が同じならばだ」
「我々は負けない」
「そういうことですね」
「数には数だ」
 こうも言うのだった。
「いや、同じでなくともよい」
「その数がですか」
「彼等と同じにならずともですか」
「今は四十分の一だが」
 エウロパ一千億、それに対して連合は四兆だ。それだけの人口の差がある。 
 そしてだ、この差をというのだ。
「十分の一にしてもだ」
「対抗出来ますか、連合に」
「彼等に」
「今で対抗出来ているのだ」
 それならばと言うのだ。
「十分の一にまですればな」
「充分ですか、連合には」
「それだけで」
「人材を駆使すればだがな」
「連合に充分に対抗出来る」
「そうだと」
「帝国主義時代でも人口では劣っていた」
 僅かな白人が圧倒的多数の有色人種を征服し圧政を敷いていた、連合の歴史ではそう評価されている。これがエウロパなら同じことでも逆の評価になる。
「だからだ」
「人材では、ですね」
「こちらが優っていますね」
「そもそもだ」
 次にカミュが言うことはというと。
「連合はよく自分達の混血を誇るな」
「はい、人間は混血してこそ優秀な能力が合わさっていくと」
「その様に」
「そうだな、しかしそれは間違いだ」
 これもまたエウロパの考え方である、
「優秀性は純血で決まる」
「我々の様にですね」
「エウロパ人の様に」
「かつてアジア系が最も知能指数が高いと言われていた」
 二十世紀後半から二十一世紀前半の主張だ、確かにアジア各国の知能指数検査は他の地域の国々より高かった。
「だがそれもだ」
「誤差の範囲でしたね」
「所詮は」
「そうだ、アジア系が何故優秀なのか」
 カミュの言葉には疑問形さえ入っていた。
「根拠は何だ」
「その誤差の範囲でのことですね」
「それだけのことですね」
「人は純血で。血筋を守りだ」
 貴族らしく血統への意識が強い、これもまたエウロパ貴族主義の特徴の一つだ。貴族は血筋からなるものだからだ。
「そして教育だ」
「それですね」
「教育ですね」
「それが最も重要ですね」
「人を育てる為には」
 このことはこの時代でも同じだ、教育の重要性は国家そして組織ひいては個人にとっても重要なことなのだ。
「しかし連合の教育はといいますと」
「大衆への教育だそうで」
「平民の教育ですらなく」
「衆愚に等しいとか」
「連合は階級がない」
 このことが最も重要なのだ、連合とエウロパの違いは。 
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