星河の覇皇
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第六十二部第四章 選挙前日その七
「これは」
「はい、高級品のです」
「それです」
まさにそうだとだ、長老達も答える。
「市販にも出ていますが」
「これが実に美味で」
「私達もよく食べます」
「今の様に」
「そうなのですか」
「はい、ですから」
「閣下もお召し上がり下さい」
長老達はこう言ってモンサルヴァートにそのクッキーを勧めた。
「非常に美味なので」
「どうぞ」
「紅茶にもコーヒーにも合います」
「どちらにも」
「では」
そう聞いてだ、モンサルヴァートはウィンナーコーヒー彼が愛する生クリームを上に乗せたコーヒーを飲む前にだ。
そのクッキーを一枚手に取って口の中に入れた、そうして味わってからそのうえで長老達にこう言ったのだった。
「確かに」
「はい、いい味ですね」
「美味ですね」
「非常に」
美味いと答えるのだった。
「素晴らしい味ですね」
「これこそが貴族の味です」
「これだけの味は滅多にありません」
「企業が工場で大量に作るものですが」
高級品でも工場で作る、企業が作るとなるとどうしても大量生産になるので製造場所は工場となるのだ。
「しかしこの味はです」
「幾ら食べても美味です」
「ですからどうか閣下も」
「お楽しみ下さい」
「お言葉に甘えまして。実は私は」
モンサルヴァートは微笑みこうも言った。
「コーヒーとチョコレート菓子が好きでして」
「その組み合わせが、ですか」
「お好きなのですね」
「はい、ですから」
だからだというのだ。
「楽しませて頂きます」
「閣下はコーヒーがお好きなのは知っていましたが」
毎日何杯も飲んでいる、このことはすぐにわかることだった。
「チョコレートもですか」
「そちらもお好きでしたか」
「コーヒーだけでなく」
「そうだったのですか」
「はい、そうなのです」
笑って言うモンサルヴァートだった。
「この組み合わせはいいですね」
「ですね、コーヒーとチョコレートはです」
「それぞれでも美味いですが」
「この二つが一緒になりますと」
「余計に美味いです」
「その通りです、では」
ここでコーヒーも飲んだ、モンサルヴァートはそのコーヒーの味も楽しんだが長老達に今度はこう言った。
「コーヒーも見事ですね」
「ブリュッセル星系のものです」
「ベルギーの」
そのコーヒーの産地が言われた。
「あの星系のコーヒーは美味ですが」
「その中でも特にです」
「このコーヒーはです」
「最高の一品です」
こう言ってもいいものだというのだ。その星系のコーヒーは。
そしてだった、こうも言ったモンサルヴァートだった。
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