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星河の覇皇

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第六十二部第三章 投票直前その三十

「むしろね」
「ここは、ですね」
「連合の中でこれまで通りやっていくべきね」
「この連合経済圏の中で」
「そうあるべきよ、市場を拡大すればいいわ」
「そしてその市場の中で繁栄していく」
「それでいいと思うわ」
「その方が楽ですね」
 何しろ自分達の中だ、距離的にも感覚的にもそれは楽だ。
「それもかなり」
「ええ、楽だしね」
 それに、というのだ。
「経済規模が違い過ぎるから」
「サハラへの進出よりも」
「あくまで連合の中で発展していくべきですね」
「あまりいいものはないわね」
 こうも言うのだった。
「サハラに進出しても、連合にもイスラムはあるけれど」
「サハラのイスラムとは違ってきていますね」
「それも気になるわ」
 カバリエはこの宗教的、ひいては文明的な相違も頭の中に入れてスタッフに話す。そのことも問題だというのだ。
「進出して現地で摩擦を起こすと」
「他国であるだけに」
「厄介よ」
「連合の中とは状況が異なりますね」
「連合は確かに国家連合だけれどね」
 それでもだというのだ。
「身内同士よ」
「三百以上の国同士が」
「様々な人種、民族、国家、文化、宗教、文明が混在しているけれど」
「連合の中にありますね」
「そう、あくまでね」
 そうだというのだ。
「千年以上の付き合いがあるわ」
「それで、ですね」
「摩擦や衝突は常だけれどね」
「初戦身内同士ですね」
「そう、だからね」
 衝突してもだというのだ。
「ある程度で手打ちになっているわね」
「はい、確かに」
「しかしね」
 それでもだというのだ、ここで。
「サハラは他国だから」
「衝突、摩擦はですね」
「より厄介なことになるわ」
「だからですね」
「そう、厄介なことになりやすいから」
「それのことも考えて」
「進出はしてもね」
 それでもだというのだ。
「あまり大いにすべきではないわね」
「連合は連合ですね」
「やはりそれがベストだと思うわ」
 連合のオーソドックスな考えだ、カバリエは外相であるが他国への経済進出等はあまり積極的ではないのだ。
 それが為だ、ここでもスタッフについてこう言うのだ。
「サハラは助けるけれど」
「のめり込まない、ですね」
「そうあるべきよ」 
 スタッフに対して話す。
「将来はわからないけれどね」
「当座は、ですね」
「青い果実は採っても何にもならないわ」
 農業、それも果物の話にも例える。 
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