| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十二部第三章 投票直前その二十六

 そのこともあってだ、お互いになのだ。
「交流もね」
「それも、ですね」
「ないわ」
 そうなっているのだ。
「エウロパに我々が欲しいものはないし」
「あちらにもですね」
「ええ、ないわ」
 まさにお互いに、なのだ。
「何一つとしてね」
「そういうものですね」
「そうよ、まさにね」
 こうだ、カバリエはスタッフに述べた。
「我々はそうした関係よ」
「そうですね、対立はしていても」
「利害関係は乏しいわ」
「面白い関係ではありますね」
「対立は利害関係から生じる」
「それが政治の常ですから」
「実際にそれからはじまったけれどね」
 連合とエウロパの対決、それもだ。
「それでも今はね」
「利害関係はなくなり」
 ほぼ、ではあり完全にはないにしてもだ。
「感情と国境だけですね」
「そう、工作員も容易に防げる様になっただけにね」
「ただひたすらいがみ合うだけですか」
「そしていがみ合わないとね」
「我々にはとっては困りますね」
「もっと言えばエウロパもね」
 彼等も同じ理由だというのだ。
「我々という敵が必要なのよ」
「お互いですね、まさに」
「彼等は比較的国家のまとまりがあるけれど」
 連合より遥かにだ、これは東欧と西欧に別れていたとはいえ同じ欧州の文明圏同士の統合だったからである。
「それでもね」
「敵は必要ですね」
「敵がいるとね」
 まさにそれだけでだ。
「国家はまとまりが出るから」
「それだけ共通の敵は必要なのですね」
「人間にとってもね」
「中々因果なことではありますね」
 こうも言ったスタッフだった。
「人は敵はいなければまとまれないとな」
「そうね、あまりいい話ではないわね」
「平和、仁愛といきたいですが」
「それも人にはあるけれど」
「それと共になのですね」
「敵も必要なのよ」
 それもまた人間だというのだ。
「これがね」
「そう言うしかありませんね」
「汝の隣人を愛せよ」
 キリスト教の言葉もだ、カバリエは出した。
「けれどね」
「それは難しいことですね」
「隣人を敵とせよ」 
 カバリエは先程とは逆のことも言った。
「これもね」
「真理ですね」
「そうなのよ」
 やはり因果なことに、というのだ。
「実際はね」
「やはり因果ですね」
「因果でも何でもね」
 それでも、というのだ。
「人間だから」
「そういうことですね」
「政治は最も人間が出る世界の一つでしょ」
「それが外相の持論でしたね」
「そうよ、政治は人間と人間のぶつかり合いでね」
「露骨にそれが出ますね」
「そうよ、だからね」
 それもだというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧