| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十二部第三章 投票直前その二十五

「相手を嫌うとね」
「その相手もこちらを嫌う様になりますね」
「片思いもあるけれど」
「一方的な敵視は変わりますね」
「お互い嫌いな関係にね」
 まさにそれにというのだ。
「なるわ」
「自然とそうなりますね」
「ええ、それが人間よ」
「自分を嫌っている相手は嫌う」
「そういうことですね」
「ええ、だからこそ連合とエウロパはお互いに嫌い合っていますね」
「実は利害関係は殆どないけれど」
 このことはよく意外にも、と表現されることだ。連合とエウロパの間に利害関係があるかというと殆ど存在していない。
「殺し合う関係でもないし」
「その利害関係は千年前でしたね」
「私達は私達で一つの経済圏よ」
 即ち連合一国でだ。
「連合の中で何とでもなっているわ」
「豊かですね」
「そう、充分以上にね」
 そうなっていることをだ、カバリエはスタッフに話した。
「満足出来る状況よ」
「その通りですね」
「けれどね」
 それでもとも言うカバリエだtった、ここで。
「利害関係があった時代もあったわ」
「しかしそれは千年前で」
「今の時代ではないわ」
「連合成立の頃でしたね」
「あの時我々とエウロパは各星の資源を奪い合っていたわ」
 太陽系の中、そしてその外の次第に見つけだしてきていた各星系の中にある星達のそうしたものをである。
「何かとね」
「そうしていましたね」
「その時は激しい利害関係があったけれど」
「今は」
「利害関係はほぼないわ」
 そうなっているのだ、お互いに一つの経済圏となり。
「連合とエウロパの間には国交もないし」
「民間交流もありませんね」
「双方は何処でも接触しないわ」
 マウリアにおいてもだ、双方の同盟国であり緩衝地帯ともなっているこの国の中でもだ。
「お互いにね」
「何もありませんね」
「関係はね」
「しかしですね」
「それでもお互いに敵視しているわ」
 感情的なものと共通の敵を欲する双方の政策からだ。
「今も尚ね」
「それが今ですね」
「千年以上続いているね」
 政治的現状だというのだ。
「利害関係がなくとも対立は有り得るのよ」
「感情的なものから」
「確かに国境を接しているとな」
 隣同士であるだけで、というのだ。
「それだけで摩擦があって衝突の要因になるわ」
「実際連合とエウロパは国境を接しています」
 かつてはブラウベルグ回廊がその境だった、しかし今はニーベルング要塞を奪いアタチュルク要塞群がなった星系とその周辺がその境となっている。
「ですからそれだけで、ですね」
「対立の要因はありますね」
「工作員のこともあったわね」
「それもありましたが」
「利害関係自体はね」
 それそのものはどうかというと。
「ないのよ」
「今も、ですね」
「そうなのよ、何しろ交流が完全にないから」
「それぞれで経済圏になっているからこそ」
 もっと言えばどちらもマウリアに対してのみは開かれているブロック経済となっている、連合は連合だけエウロパはエウロパだけで経済圏になっているのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧