| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十二部第三章 投票直前その二十三

「間違いなくね」
「そうなりますね」
「本当にごく稀だけれど」
「どんな悪事を行っても平気な輩は」
「サイコパスとも言うわ」
 かなり重度に分類されるとそれこそ良心が完全になくなる。こうした精神分析は二十世紀以降進んでいった学問の分野だ。
「そうだったわね」
「サイコパスですね」
「人格障害の一つだったわね」
「はい、かなり重度ならば」
「まさに邪悪になるわ」
「連続猟奇殺人事件の犯人もですね」
 この時代でもこうした話は存在している、それも連合だけではなくマウリアやエウロパ、そしてサハラにもだ。
「ああした輩も」
「ええ、吐き気を催す邪悪よ」
「しかもそうした輩は」
「普通に市井に入っているわ」
 つまり世の中にというのだ。
「そうして私達の中でね」
「生きていてですね」
「何かをしているかも知れないわ」
「俗に言われることですが」
「恐怖ではあるわね」
「本当にそうですね」
 スタッフもカバリエのその言葉に応えて頷いた。
「そうした輩は」
「人の世にはそうした輩もいるわ」
「その通りですね、残念なことに」
「ええ、実にね」
「それでね」
「それで、ですね」
「これは人だから」
 それでだというのだ。
「国家ではないわ」
「国ではそうした存在はですね」
「少なくとも悪ではあってもね」
「サイコ殺人鬼の様な輩はですか」
「そうした存在は個人のものよ」 
 あくまで市井の中での存在だというのだ。
「無差別に人間を惨殺してそれを喜びその数や殺し方を楽しむ様なことはね」
「国家としてはありませんね」
「狂人が国家元首になったことはあるわ」
 そうした殺人狂が国家元首になってしまったことは歴史にもある、これもまた人類の歴史の一つである。
「例えば張献忠ね」
「明代末期の人物でしたね」
「中国のね」
「何でも相当な殺戮者だったとか」
「どうもかなり事実とは違うらしいけれどね」
 だがそれでもとだ、カバリエはスタッフに話した。
「けれど彼が相当残暴な人物だったことは確かよ」
「相当に殺戮をした」
「ええ、そうした人物が国の主になったことはね」
「ありますね」
「人類の歴史ではね」
「そうですね、しかしですね」
「国家としてはね」
 サイコ殺人鬼の様な国家は、というのだ。
「ないわ」
「人の心を失った存在ではですね」
「人の集合体であるが故に」
 国家は人が集まって形成される、それで動き考えるものだからだというのだ。
「流石にね」
「個人の狂人だけの人格とはなりませんか」
「あくまでサイコパスは稀よ」
 社会の中においてもだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧