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星河の覇皇

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第六十二部第三章 投票直前その十四

 それでもなのだ、彼の場合は。
「彼はな」
「相手の好意に気付かないのですね」
「どうしてもな」
「厄介なことですね」
「何故自分が女性に好かれないと思うのか」
「それが、ですね」
「私にはわからない」
 どうにもというのだ。
「本当にな」
「そこが問題ですね、どうにかしなければ」
「アジア系の美貌だな」
 八条の顔立ちはまさにそれだ、切れ長の秀麗な整った目に白い細面、そして流麗な顔立ちでだ。彼はそう言われているのだ。
「コーカロイドやニグロイドの血も入っているが」
「アジア系の血が濃く出られた方ですね」
「そうだな」
 実に、と言うキロモトだった。
「彼はな」
「あの顔立ちに人格。資質だというのに」
「本当にもてない筈がない」
「よく顔だけでもです」
 こうしたタイプは何処にでもいる。
「もてたりしますが」
「外見だけを見て判断する者も多いからな」
「実際はそうではないのですが」
「確かに顔は重要だがな」
 もてる為のだ。
「しかしどんな美女も三日見れば飽きるというのはな」
「真理ですね」
「性格が悪いとな」
「例えどれだけ顔がよくとも」
「真の人気は出ない」
「すぐにその性格が見られて」
「人気がなくなる」
 そうなってしまう、それでも人を見る目のない者は寄って来るがこうした人間のランクがいい筈がないこともこの時代でも同じだ。
「やがてはな」
「それが世の摂理ですね」
「しかしだ」
 八条は、というのだ。
「彼は違う」
「本当の意味で、ですね」
「もてる人間だ」
「特にその人格から」
「見事な紳士だ」
 これもまた八条の長所だ、その気質は貴公子なのだ。
「礼儀作法まで完璧な、な」
「品性がありますね」
「それも高いレベルでな」
「だからこそですね」
「もてない筈がないのだ」
「後はご本人が気付くかどうかですね」
「まさにな。金内相もだがな」
 連合きっての才媛と言われる彼女もだった。
「人格者なのだがな」
「彼女も中々ですね」
「相手がいないな」
「美人でしかも清廉潔白で公平だがな」
「どうしても」
「働く女性の鑑だ」
 よくこう言われる、金については。
「仕事ぶりも公私に見せる人格も非の打ちどころがない」
「それも全く」
「しかしだ、彼女の場合はな」
「完璧過ぎますね」
「それ故にだな」
「相手の男性が」
 同性でもだ、彼女についても。 
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