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星河の覇皇

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第六十二部第二章 苦戦の中でその五

 そのうえでだ、こうも言うのだった。
「何ならばだ」
「大事の時はですか」
「そちらに向かう」
 首都オリンポスにというのだ。
「そして戻ってな」
「外相としての責務を果たされますか」
「それが政治家だ」
 だからだというのだ。
「己の責務を全うしてこそな」
「選挙中でもですか」
「確かに選挙もな」
 それも、とも言うのだった。
「重要だがな」
「まずは、ですか」
「己の責務を全うしてこそだ」
「政治家というのですね」
「選挙に勝とうとも」
 それでも、というのだ。カミュの言葉は厳しい。
「己の責務を放棄してはな」
「政治家ではないのですね」
「選挙に勝つだけでは只の選挙屋だ」
 政治家ではないというのだ、民主政治においては往々にしてこのことにのみ長けている者もいるのが実情だ。
「勿論党としてそうした人物は必要だ」
「政治家個人としてもですね」
「スタッフとしてはな」
 必要だというのだ、その選挙屋もだ。
「民主政治はまず選挙からだからな」
「このことはですね」
「絶対だ、私も否定しない」
 選挙の重要性、それはというのだ。
「決してな、しかし」
「内相はですか」
「選挙担当になったならその任を全うするがだ」
「公としてですね」
「そうする、しかしだ」
「今はですね」
「内相兼外相だ」
 だからだというのだ。
「この職務をな」
「全うされますか」
「選挙は支持者が私の姿を見ればだ」
 そうしてというのだ。
「それでわかるからな」
「資質をですね」
「私の資質は真だ」
「正真正銘のですね」
「そうだ、国の柱だ」
 それになるものだからというのだ。
「誰もが認める」
「宝石ですね、それも天然の」
 アランソはカミュにこうも言った。
「つまりは」
「そうだ、私はダイアは」
 カミュは己をこの宝玉に例えた。
「サファイアやエメラルドかも知れないがな」
「正真正銘のですね」
「宝玉だ」
 それ故にというのだ。
「誰が見てもわかるな」
「では」
「私はエウロパを救う」
 カミュはアランソに自信に満ちた声で答えた。
「この力でな」
「そうですね、それでは」
「選挙に勝つ」
 今の選挙にもというのだ。
「最後の最後まで戦う、降りることはない」
「では私も」
 アランソは選挙の結果がわかっていた、それこそ相当な奇跡と言ってもいいことがない限りはである。どうなるかということが。
 だがそれでもだ、こうカミュに言った。 
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