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ドリトル先生と沖縄の蛇達

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第十二幕その七

「食べようね」
「そう言うと思いまして」
 それでとです、トミーも言いました。
「ゴーヤを用意してたんですよ」
「そうだったんだ」
「はい、日本ではカレーにらっきょか福神漬けですが」
「そこをあえてだね」
「ゴーヤのお浸しにしました」
「沖縄の思い出を思い出す様に」
「いい思い出を」
 まさにそれをというのです。
「それで用意したんです」
「有り難う、気遣ってくれて」
「いえいえ、けれどまた行く機会がありますね」
「多分ね」 
 この辺りは今一つわからないという返事です。
「そうなると思うよ」
「そうですか」
「うん、また学会かお呼びがあれば」
「その時はですね」
「行くことになるよ」
「そうですね、それじゃあ」
 ここでまた言ったトミーでした。
「今度行かれたら」
「今度?」
「いえ、沖縄の海には」
 そこにはというのです。
「海底遺跡があるとか」
「神殿みたいなだね」
「先生はそちらの学問もされていますね」
「世間で不思議と言われることについてね」
「そうですよね」
「今度はだね」
「そこに行こうかと」
 こんなことを言ったのでした。
「思いませんでした?」
「ううん、そこまではね」
「思われていないですか」
「機会があればだけれど」
「海の底にはですか」
「スキューバダイビングが出来ないと無理ですね」
「そうなんだよね、海の底だから」
 その海底遺跡に行くにはです。
「無理なんだよ」
「そこが難しいですね」
「そうだよ、行くにしても」
 それでもというのです。
「僕の場合潜水艇じゃないとね」
「自由にはですね」
「行くことは難しいよ」
「それじゃあ」
「うん、潜水艇があれば」
 心から言う先生でした。
「有り難いね」
「学問にはですね」
「その場に行くことも必要だけれど」
 それでもというのです。
「海の底となると」
「スキューバが大事で」
「そこが無理なんだ」
「そうですね、じゃあ」
「潜水艇がないと」 
 先生は困ったお顔で言いました。
「あそこに興味がないと言うと嘘になるけれどね」
「じゃあ出来たら」
「行きたいね」 
 こう言ってでした、先生はカレーを食べました。そして。
 そのうえで、です。また言ったのでした。
「沖縄はそうしたところもね」
「いい場所ですね」
「不思議なところもあって、そして」
「だからこそですね」
「また行きたいよ」
「そうですね、ただ」
 ここでトミーは先生に尋ねました。
「一つ思うことは」
「ただ?」
「海底遺跡は実際何なんでしょう」
「うん、かつては地上にあったね」
 それでというのです。 
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