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ファンタシースターオンライン2 -銀色を包む琥珀色の星-

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第4話 救出

カツン…カツン…

フードを被った少女は、ゆっくりとロビーへ向かっていた。と、その足がぴたりと止まる。そして、周りをキョロキョロと確認し始める。

「…移動した…?ロビーのほうジャナイ…モット遠い場所…」

少女は赤紫色のオーラを纏い、次の瞬間、その場から消えた…。







メンバーはツヴァイを探すため、ロビー内に来ていた。

も「そういえばさ、マスター。どうやってツヴァイを探すの?このロビー内を隈なく探すつもり?」
バ「…きっと誰かが目撃してるはず!」
く「きっとって…説得力ないなぁ…」
わ「あれ?あそこ、人集りが出来てる。あれは…メディカルセンター?」

メンバーはわかばの指差すほう、メディカルセンターへ足を進める。

バ「あの、何かあったんですか?」

バルバテスは1人の男性アークスに話しかける。

「あぁ、さっき負傷したアークスが運ばれて来たんだ。一体誰だと思う?なんとあのリサさんだったんだよ!」

リサといえば、腕の立つレンジャーのはずだ。それが負傷で運ばれた…考えられなかった。

「それから…リサさんはダーカーに襲われたんじゃないらしい。どうやらアークスにやられたみたいなんだ。まぁリサさんも誤射どうのこうの言ってるから仕方ないっちゃあ仕方ないが…って、あれ?」

男性アークスがメンバー達に視線を戻すと、そこにはメンバー達は既にいなかった。





「こりゃ酷いな…右腕の切断、腹部の損傷、その他の斬り傷、どれを見てもダーカーにやられたとは考えにくい…」

医者がリサを診察していると…メンバー達が駆け寄ってくる。

バ「リサさん!大丈夫ですか?」
リ「あら…?あらあらあら…皆さん、そんなに慌てて、どうしたんですかあ…?」

リサはいつもの口調で、とても弱々しくそう答える。

バ「リサさん、これってもしかして、銀髪の女の子にやられたんですか?」
リ「あれ…皆さんのお知り合いだったんですかあ?なら…手加減にする必要なかったかもですね…」
バ「その女の子は?一緒じゃなかったんですか?」
リ「私が最後に見たのは、傷を負いながら森林の奥へ走っていく姿でしたよ…あの子もかなり重傷なはずですから、早く助けに行ったほうがいいですよ…」

それを聞いたメンバーは森林へ向かおうとする。

リ「そうそう、あの子に会ったら、楽しかったと伝えてください。あの子とはまた、戦いたいですからね…うふふふふ」

リサはそういう。冗談なのか、はたまた本心なのかは分からない。だが彼女は、満足そうだった。



バ「ツヴァイちゃん探しは、私とこにぃたん、もみじさん、ラフィルちゃんの4人で行きます」
アザ「うわ…」
わ「うわ…」
く「うわ…」
バ「うわってなんですか!?」

アザトス、わかば、くれあの3人は、見て分かるくらい引いていた。

わ「美少女3人に囲まれながらってハーレムっすか。欲高すぎじゃない?」
く「しかも助けにいく女の子って、ラフィルそっくりなんでしょ?つまり美少女ってことだよね?マスター…まさかそれが狙い…?」
バ「こんな時までマスター弄るのやめてくれませんかねえ!?違いますよ!?私達しかツヴァイちゃんの顔が分からないからですからね!?」
アザ「そんなの分かってる。時間がないんだろ?早く行ってやったらどうだ?」
バ「君達が…!あぁもう!正論だから何も言い返せないですよ全く!!」

バルバテスは文句を言いながら森林へ向かう。それを追いかけるように、残りの3人も森林へ向かった。





ツ「……はぁ……はぁ……」

ゆっくりと森林を歩くツヴァイ。腹部を手で抑え、ひたすら歩く。指の間からは真っ赤な血がポタポタと流れる。リサとの戦闘で受けた傷だ。

ツ「…流石に…血を流し過ぎたかな…はは…早く…シップに戻って…」

そこでツヴァイの言葉は止まる。シップに戻ってどうなる?アークスである、あのリサというキャストに攻撃した事実が消えるわけない。それなら…いっそ…このまま生き絶えるのも…そう思った瞬間だった。

「ミ ツ ケ タ」

背後から声が聞こえる。その、聞き覚えのある声を聞いて数秒、思考が停止する。振り返り、その声の人物を確認した瞬間…背中に激痛が走った…





一方、ツヴァイを探すバルバテス、こにぃ、もみじさん、ラフィルの4人。必死に辺りを探すが、やはりツヴァイは見つからなかった。

も「もしかして、もうここにはいないんじゃないの?」
ラ「いえ、ツヴァイは確かにこの辺りにいます」
こ「それさ、正確な位置とかって分からないの?」
ラ「分かります。ただし…ツヴァイが私に対して心を閉ざしている場合は話が別です。あの子が私に心を開いてくれれば、正確な位置まで分かるんですが…」
バ「今そんなことを言っても仕方ありません。この辺りをもっとよく探しま…ん?」

バルバテスは何かを見つけ、それに駆け寄る。

こ「どうしたのマスター?何か見つけたの?」
バ「これ…血です。しかもまだ新しい…」

その血は森林の更に奥へと続いていた。

も「確かリサは、ツヴァイも重傷を負ってるって言ってたよね?じゃあもしかしてこの血は…」
バ「行ってみましょう!」

4人は急いで血をたどっていく。






「…そろそろ…観念してホシイんだけど…」
ツ「…ッ!」

ツヴァイは必死に逃げていた。フードを深く被った少女から…。

ツ「…貴女も…執念深いね…こんなとこまで追いかけてきて…今度はこの惑星を滅ぼすつもり…?」

ツヴァイはそう挑発をする。そういった瞬間だ。フードを被った少女は、赤紫色を纏い…消えた。と…そう思った。

ガシッ!

ツ「…ぐぁッ!?」

その少女は目の前にいた。ツヴァイは顔を掴まれ、持ち上げられる。ギリギリと掴む手の力は凄まじく、振りほどけそうになかった。

「…私…急いでるノ…早く貴女のチカラ…渡して…」
ツ「くっ…!渡すわけ…ないでしょ…?貴女なんかに…!」

ツヴァイは力強くそう答える。何故なら、その少女を死ぬほど憎んでいるから。その少女が、自分を生み出した原因だから。その少女が…ツヴァイ、いや、ラフィルの国を滅ぼしたダーカーを指揮していた者だから。

「そう…。なら、貴女を殺せば…そのチカラは、手に入るのカナ…?」

ツヴァイを掴む力が更に強くなる。

ツ「ぐっ…あああ…」

ツヴァイの意識が遠くなる。腹部からは血が次々と流れる。ツヴァイの瞳から涙が溢れる。自分の国を滅ぼした張本人に殺される悔しさ故だ。どうにもならない状況…今のツヴァイにはどうすることも出来ずにいた…。

「じゃあ…オヤスミ」

少女がグッと力を入れる。いや、入れようとした時だ。

ザンッ!

手には力は入らず、ツヴァイは地面へと倒れた。少女の肘から先はそこにはなく、地面にぽとりと落ちていた。

「…なに…?」

自分の切断された腕を見る。切断口からは血がボタボタと流れる。それを不思議そうに見ていた少女は刹那、吹き飛ぶ。

も「とりあえず、間に合ったかな」

少女を吹き飛ばしたのはもみじさんだった。強烈な蹴りを少女にお見舞いしたようだ。

バ「もみじさんナイス蹴り!さぁ!ツヴァイちゃんを連れて戻りましょう!」
も「…そうも言ってられないみたい」

もみじさんは再び戦闘態勢に入る。先程少女が起き上がり、バルバテスともみじさんを睨めつけた。

「邪魔…しないで…!」

そう言った瞬間、高速接近してくる。が…

こ「それはこっちのセリフだよ」

踏み込んだ足元には、何かが浮いていた。その物体から突然、爆炎のようなものが起こり、少女を包み込んだ。

も「いやぁ…相変わらず強力だわ」
こ「もみじさんの蹴りには負ける」
バ「そんなことより、早く戻りますよ!ってラフィルちゃんは?」
こ「先にシップに戻ってもらった。戦いになったら危ないかと」

そんな話をしてると、爆炎が突然消える。煙が立ち上り、その煙の中からは少女が出てくる。フードは燃え、その姿が露わになる。その姿を見た時、3人はギョッとなる。

こ「アークス…じゃ…なさそうだね」

少女の髪の先端は紫色に変色していた。それはまるで、ダークファルスのような髪色だった。そして、切断された腕は再生し始めていた。

も「こりゃもう…化け物だね」
バ「もしかしてこいつが、ラフィルちゃんが言ってたダークファルス…?」
こ「…可能性はあるね」

と、突然少女が口を開く。

「…こにぃ…さん…?」
こ「…え…?なんで私の名前を…」
「そっか…そうだよね…貴女は…私の知ってるこにぃさんじゃ…ないんダモンネ…」

少女は哀しそうな、寂しそうな顔を見せる。そして…

「今回は…貴女達の勝ち…でも…次はこうはイカナイよ…私は必ずそのコのチカラを手に入れて…マスターに…会うんだ…」

そう言った。赤紫色のオーラを纏い、消える瞬間…意味ありげに、こにぃに言う。

「こにぃさんはそっちにいるべきじゃないよ…今の私になら分かる。だって、こにぃさんは…私と同じなんだから…ネ…」

そう言い、消えた。






私は…重い瞼を開く。まだ生きている。そう認識できた。

ラ「目を覚ましたんですね、ツヴァイ」

側にはラフィルがいた。

ツ「…私をどうするつもり…?チカラだけ抜き取って、また宇宙にでも捨てるつもり?」
ラ「そんなことしませんよ。私はただ、貴女に帰ってきてほしいだけ…私の中に」
ツ「なに言ってるのさ…狂気耐えられないから私を作り出したのに、今更帰ってきてほしいって?帰ったところで、また捨てるに決まってる」
ラ「確かに私は貴女に酷いことをしました。でも、今は悪いと思っています。私は貴女無くして、ラフィル・クラスティアには戻れない。そう気づきました。だから、今は貴女が必要なんです」
ツ「私は信じない。貴女も、仲間も、誰も彼も!親切なんて必要ない!裏切られるくらいなら、誰も信じるもんか!」
ラ「…ツヴァイ、貴女に見せたいものがあります」

そう言って部屋から出る。ツヴァイはふらふらな身体を必死に動かし、それに着いていく。辿り着いたのは…

ツ「ここって…あの人達の…チームルーム…」

バルバテス達のチームルームだった。

ツ「見せたいものって…ここのこと?くだらない…私はあの人達も信じてない」
ラ「…あれを見ても、そんなこと言えますか?」
ツ「え…?」

チームルームの中では、メンバー達が真剣な眼差しで何かを話している。

ラ「彼らは…私達を助ける方法を話し合っています」
ツ「助ける…?私達を…?」
ラ「はい。あの少女、ダークファルスと言いましたか。あれから私達を守る。その為にはどうしたらいいかと…」
ツ「そんなの無理に決まってる…!!あいつの力はあんなもんじゃない…!!あの人達は何も分かってない!」
ラ「そうです。あの人達はあれの力を分かっているわけではありません。ですが彼らは、その正体不明の敵から、見ず知らずの私達を守ろうとしている」
ツ「そんな…」
ラ「それでも貴女は、彼らを信じられないと言うんですか?」
ツ「…私だって…私だって信じたいよッ!信じたいに決まってるッ!!私を1度ならず2度も助けてくれたッ!あの人達は信じられるって分かってる…分かってるけど…」
ラ「ツヴァイ…」
ツ「私は…狂気そのものなんだ…そんな私が狂気以外の感情を持ったら…消えてしまう気がして…怖いんだ…」

ツヴァイは震えて泣いていた。自分が消えてしまう恐怖。それは想像を絶するもののはずだ。

ガシッ…

ラフィルはそんなツヴァイを抱き締めることしか出来なかった。ツヴァイの恐怖を取り除くことが、ラフィルには出来なかったからだ…。ラフィルは自分の無力差を、心の中で嘆いていた…



…私は物心付いた時から、血を見てきた。敵の血…味方の血…色んな戦いで流れた血を、沢山、沢山見てきた。でも今は…傷つくことが愛おしい…傷つけることが愛おしい…そう…だって私は…狂気そのものなのだから…でも…狂気そのものだとしても…自分が消えてしまうことは恐ろしい…助けてほしいとさえ…思う… 
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