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ドリトル先生と沖縄の蛇達

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第五幕その十一

「ここはね」
「ああ、そういえば」
「八条学園にガジュマルの木あるけれど」
「あれ沖縄の木で」
「実際に沖縄に多いね」
 皆は今周りにそのガジュマルの木も観ています、丁度その木がある場所に来ているのです。
「ガジュマルの木にだよね」
「妖怪が住んでいるんだよね」
「キジムナーっていう妖怪が」
「そうだよね」
「そう、この妖怪もね」
 キジムナーもというのです。
「沖縄独特の妖怪なんだよ」
「八条学園には出るって話があるけれど」
「あれはガジュマルの木があるからだね」
「それでいるんだね」
「あの学園には」
「そうだよ、キジムナーは河童に似てるかな」 
 先生はキジムナーについてこうも言いました。
「あの妖怪は」
「そうなんだ」
「河童に似てるんだ」
「お水の妖怪なんだ」
「海に出たりもするんだ」
 実際にというのです。
「河童は川やお池に出ることが多いけれどね」
「そこは違うんだね」
「河童さん達とは」
「そうだよ、けれどお水と縁が深いということはね」 
 このこと自体はというのです。
「同じだよ」
「河童もキジムナーも」
「そこは同じなんだね」
「そうだよ、それにね」
 さらにお話する先生でした。
「キジムナーには独特の好きな食べものがあるんだ」
「好きなって?」
「っていうと何なの?」
「キジムナーの好きな食べものって」
「何が好きなの?」
「お魚の目なんだ」
 それだというのです。
「よく人間が獲ったお魚の片目だけを取って食べるんだ」
「へえ、目なんだ」
「お魚の目が好きなんだ」
「そうなんだ」
「実際目は美味しいね」
 先生もお魚の目の美味しさは知っています、実はこのことも日本に来てから知ったことであります。食べてみて。
「そうだね」
「うん、美味しいよ」
「お魚の目ってね」
「食べるところは少ないけれど」
「唇とね」
「その目が好きで」
 それでというのです。
「片目だけ食べるんだ」
「両目じゃなくて」
「片目だけなんだ」
「そっちの目を食べて」
「そうしてるのね」
「そうだよ、だから沖縄の人はお魚の目を片目だけ残す人がいるんだ」
 その片目をというのです。
「それだけをね」
「成程ね」
「片目だけを残すんだ」
「キジムナーが食べる分だけは」
「そうしているんだ」
「そうだよ、それにね」
 さらにお話する先生でした。
「実は八条学園にもそうした話があるんだ」
「先生が勤務している学校でも」
「僕達もいつも研究室にいるけれど」
「あそこでもなんだ」
「キジムナーのお話があるんだ」
「出るという話があるしね」
 何しろキジムナーのお家であるガジュマルの木があるのです、そして見たという人がいる位だからです。 
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