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ソードアートオンライン 孤独者と闇裂く対剣

作者:香月
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デスゲーム
第一章
  対決・コボルトロード

俺たちは今、一歩を踏み出そうとしている。

場所は第一層ボス部屋前。午後二時半。
攻略会議と同様の人数、49人と、一匹が、部屋の前で静かに佇んでいる。

「皆、いこう。」

青髪のナイト、ディアベルの声と同時に扉が開かれる。
そして、扉がしまると同時に、

「全軍!突撃ィ!」

ドドドという地鳴りのような音と共に部屋の中心部に駆け込む。
「ぐるぁぁぁぁぁ!」
巨大な片手斧と盾を携えたコボルトの長が吼えた。同時に取り巻きが複数体ポップする。

「取り巻き最優先!連携を切らすな!」

「応!」
全体が動き出したことによって、戦力が分散し始めた。
「さて、と……」
中央から僅かに離れた場所に佇むは一人と一匹。
彼らもまた、動き始めていた。
「ユキ。」
彼の一言で隣にいる狼が走り出す。センチネルの間を一陣の風のようにすり抜けていく。
「ガゥ!」
短い咆哮と共に、四足歩行型モンスター専用スキル、
烈風が発動。周囲のセンチネルはノックバックとスタンになり、動きが停止する。
「ディアベル!フルアタックだ!」
彼がフルアタックの指示を出す。
ディアベルは動揺したものの、コンマ数秒で命令を切り替え、ボスへのフルアタックに成功した。
残された取り巻きたちは彼らを追おうとするが……
「行かせねぇよ?」
彼によって阻まれた。
彼は両の手で合計八本の短剣を持ち、同時に投擲した。
同時投擲専用スキル、ダメージリンク。
センチネルたちのhpが一瞬のうちに消え、ポリゴン片になった。

フルアタックのお陰もあってか、コボルトロードの体力もあとゲージ一本を残す程度である。
「全員下がれ!俺が出る!」
「よし、行けるで!laはワイのモンや!」
皆が後退する中、二人の剣士が戦線にでる。
二人は今回の攻略レイドでも上位のプレイヤー。
ガイド通りなら、この二人の攻撃で押し切れる筈。
その慢心と驕りは、一瞬で打ち砕かれた。

「駄目だ!全力で後ろに飛べ!死にたいのか!?」
キリトの叫びは虚しく響いた。

「ぐるぁぁぁぁぁ!」
コボルトロードは持っていた斧と盾を投げ捨て、腰にある得物を手に取る。

同時に、薄い緑色の光芒が宿り、巨体がぐるり、と回転した。
鈍色の刃が加速していく。
「なんや、これ……」
「これは……まさか……!?」

飛び出した二人の無防備な腹部を剣閃が抉る。
しかし、攻撃はそこでは止まらない。
「ぐるぁ!」
コボルトロードが高々と跳躍し、緋色の光芒を纏う。
「くっ……!」
ディアベルがわずかばかりの抵抗と言うようにソードスキルを発動させる。
緋扇とスラントが交差し、火花が散る。
一撃目を防いだディアベルは二撃目を受けようとする。
剣を右肩に担ぎ上げ、スキルを発動させようとする。
しかし、スキルが発動することはなかった。ディアベルの剣は半ばから折れてしまっていたのだ。

無情にも緋扇の二撃目がディアベルとキバオウを更に深々と抉る。
しかし、王の追撃は終わらない。刀を大きく振りかぶり、大きな溜めを作る。
「ぎゃぁぁぁぁぁぅ!!」
一際大きく吼えた王は、二人へ深々と刀を突き立てた。
二人は弧を描きながら地面に向かい飛んで行く。
凄まじい勢いでhpが減少している。
キバオウは辛うじてポーションを飲んだが、ディアベルは逸れに応じなかった。
「こんなこと、言える立場じゃ無いけど……頼む。キリトさん。ボスを……倒してくれ……皆に……希望を……」
すべてを言い切る事もなく、ディアベルは呆気なくポリゴン片に変わってしまった。
「なんで……あなたが死んでるんだ……」
そんな声が、広場に響いた。
再び、混乱が広がった。 
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