| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアートオンライン 孤独者と闇裂く対剣

作者:香月
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

デスゲーム
第一章
  安らぎの時間

「ふぅ…」
いいお湯だった。
いくら仮想世界のアバター、ポリゴンでの再現とはいえ、疲れたときの風呂はやはり格別だ。さて。
腰にタオルを巻き、風呂の扉を開ける。
「ひぇっ!?」
は?誰の声だ?
後ろを見ると、生まれたありのままの姿のユウキが立っていた。
「にゃ、にゃ、ふにゃーー!?」
迫り来る鉄拳。一瞬で俺は、打ち倒されていた。





「まったく、ユウキは…」

「ごめんって、姉ちゃん。」

「それはツバキ君が起きたら直接言いなさい。」

「うぅ……怖いよ、姉ちゃん。」

「返事は<はい>でしょう?」

「は、はい。」

うぅ、早く起きてよぉ、怒られてばっかで、ちょっと頭痛くなって来ちゃったよぉ。

「ッ…痛ぇ……俺なんかやったっけ?」

「えっと、その……おはよ、ツバキ。」

「おう。おはよ、ユウキ」

なんか裸見られたのに平常運転とか……軽く傷つくなあ
「あー……その……ごめんなユウキ。」
先に謝られちゃった。
「んーん、今回は確認もなにもしないでお風呂入ってたボクが悪いからさ。」

「いや、まぁ、その……ありがとうございますって言うかなんと言うか……」

最後の方は顔を背けられていたので聞き取ることが出来なかった。でも、姉ちゃんには聞こえてたみたい。
「ツバキさん?ちょっとお仕置きが必要みたいですね……?」

(金剛力士像再来……)

口に出さないのは、まぁ、怖いからだ。
んー、ちょっとベッドで横になろっかなー?
「姉ちゃん!お布団入ってるねー!」
「は!?お前ら、自分の宿屋にかえれよ!?」
「やーだー!もう疲れちゃったもーん!」
「じゃあ、今日はここに泊めてくださいね?」
「……はい。」
やった!お泊まりお泊まり~♪

ボクはベッドに身を投げ、脱力する。
ああ、そういえば……こうして三人でおんなじ部屋って、久しぶりだなぁ……
ニヤニヤ、頬が緩み、緊張はほどける。
じきに深い眠りに落ちていけた。


sideout



sideツバキ


「まったく、女の子の裸を見て、ありがとうございますって、変態なんですか?まぁ、ツバキさんがそういう趣味なら別に良いんですが。」

「あぁ!誤解だって言ってるだろ?」

「では、ユウキの裸を見て劣情は湧きましたか?」

「……湧かなかった、って言ったら嘘になるけど……」
「分かっています。悪気はなかったんですよね?」
「あ、ああ。」
「まぁ、そうでなければ心のきれいな動物は寄ってきませんし、ね。」

ランはソファに丸まって寝ている小さな狼……先程のクエストで仲間となった銀狼を指差した。
ちなみに、名前は(ユキ)である。

「でも、そのクエストって未だにクリアした人居ないんですよ。アルゴさんに聞いても、「うーン、俺っちもその情報は知らないかナ。」って言ってるし……」

ランは仕草も真似しながら、鼠そのものに限りなく近い声で話をする。どうやら、声真似も得意らしい。

「へ、へぇ。じゃあ、俺からアルゴにメッセ飛ばしとくよ。」
ふと時計を確認すると、もう11時を大きく回っている。明日の攻略に向けてそろそろ寝なければいけない。
「なぁ、もう寝ようぜ。明日、睡眠不足で集中出来ませんでした、じゃ、悲惨なことになっちまう。」

「分かりました。では、私はユウキの隣、借りますね?」

「おー。じゃ、俺もう一回風呂に行ってくるわ。」
「はい。おやすみなさい。」
「おう。ってか、風呂はいいのか?」
きれい好きのランが風呂に入らないとは……
「はい。もうお風呂は宿屋で入りましたから。」

あ、そう……
「それじゃあおやすみ。明日、パーティ違うけど、頑張れよ。死なない程度にな。」

「分かりました。ツバキ君こそ、死なないでくださいね?」

こうして、またひとつ、夜が更ける。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧