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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!

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第六十話 巻き返しは可能でしょうか?生き残りは可能でしょうか?

帝都オーディン ランディール侯爵邸――。
アレーナ・フォン・ランディールは一人むつかしい顔で端末に向かっていた。彼女が計算しているのは、仮にラインハルトとイルーナが現在の大将の階級のままで内乱に突入した場合に、ラインハルト陣営が生き残れるかどうかというシュミレーションである。

なぜ彼女がこんなことをしているか?

 原作とは違い、帝国と自由惑星同盟との交渉がスタートしてしまった。この一回で交渉が成立するとは思っていないが、仮に一時的な和平が成立した場合、銀河帝国は――正しくはブラウンシュヴァイク公ら有力貴族と軍上層部らであるが――その戦力を対自由惑星同盟から、権力闘争へと重点を置いた戦略にシフトする可能性が大であったからである。
 戦争が継続していたからこそ、そういった権力闘争は武力を用いたものにはならなかったのである。そんな余裕などなかった。一度の大海戦で数千~万単位の艦艇と、数百万の将兵が戦死する戦いが続いているのだから。
ところが、いったん戦争が休止するとなると、武勲を立てる機会を軍人は失い、国内外の不満のはけ口を外征にそらすこともできず、したがって「欲求不満」の状態が続くことになる。そうなれば、曲がりなりにも穏やかであった水面が沸点を突破して一気に沸騰する可能性があった。
 そうなると、一番に考えられるのは門閥貴族同士の争い、つまりはブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム侯爵の覇権争いだろう。「金髪の孺子」の追い落としなど、些末時に過ぎなくなる。ましてや一介の大将である現時点ならなおさらである。
 ブラウンシュヴァイク公VSリッテンハイム侯爵という構図をアレーナが予想したのには、大きな要因があった。自由惑星同盟から回廊付近に帝国軍使節及び自由惑星同盟の首脳陣が交渉のテーブルを移動させたことで、一時期途絶していた通信が回復し、アレーナはイルーナから逐一報告を受け取っていたのである。当然ブラウンシュヴァイク公爵とリッテンハイム侯爵との確執も彼女の耳に入っていた。
 情報を聞いた後のアレーナの感想は、
「まずいわね。」
 の一言であった。ブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム侯爵の仲が険悪化している。使者として共に旅立った時には仲は良かったと言えたのだが。やはり潜在的には双方が嫌いあっていたのか、あるいは原作の織り成す「運命」の糸からは逃れられなかったのか。

 ブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム侯爵の争いが勃発すれば、それは国を二分する争いになるだろう。当然軍人も左右に分かれ、双方に味方することになるに違いない。私的闘争の禁止令など、この場合無意味であった。禁止する側が強い権力を持っていればこそ、法令はその威力を発揮するのである。
「さてさて、どうなることかしらね。仮にラインハルトとイルーナがどちらかの陣営に加担せず、中立を保った場合はどうなることやら。」
誰ともなしに話しかけているようだったが、相手はちゃんといた。ヴァリエ、そしてエレイン・アストレイアである。
『無理よ。ラインハルトとヴァンクラフト大将の麾下はせいぜい二個艦隊30000隻前後。原作では正規艦隊の半数以上をもって貴族連合を相手にしていたけれど、それだって半年かかったわ。条件が圧倒的に悪すぎる。』
と、ヴァリエはきっぱりと断言した。
『まさか二個艦隊で双方の陣営を相手取るなどと、さすがのあなたも言わないでしょう?』
と、エレイン。
「わかっているわ。まぁ、無理よね~。原作ではラインハルトは元帥府を開設していたわ。あれは自身の権限の範囲内であれば、部下のスカウト、登用、昇進、任命は思いのままだっていうある意味物騒なものなんだもの。そういう地位につけたからこそ、貴族連合軍を相手に優位に政略・戦略を展開することができたんだもんね。さすがに今『やれ。』と言われてもそりゃ無理だっていうのはわかっているわよ。」
『わかっているんなら、早いところラインハルトを元帥に昇格させる方法を考えなさいよ。』
ヴァリエが仏頂面で言う。
「無茶言うんじゃないわよ。人事局だってカカシや木偶の坊ぞろいじゃないんだからね。どうやって手柄もなしに大将から2階級特進させるっての?戦死でもしてもらうわけ?」
『そういうときこそ、皇帝陛下のご寵愛を利用すれば・・・・いや、無理だわね。いくら何でも皇帝陛下が人事に口を出すようなことは――グリンメルスハウゼン子爵閣下を大将に仕立て上げたことはあったけれど――そうそうできないわよね。それも2階級を一気に若しくはあまり間を開けないで昇格させるなんて。』
「そう言う事。私から言わせてもらえば、ここは一時の恥を忍んで、双方どちらかの陣営に味方し、一方を片付けた後もう一方をつぶすのが理想かな。もちろんその間には同盟の侵攻がないようにあらゆる手を尽くすって前提が付いているけれど。」
アレーナの言葉を聞いた2人が一様に重い吐息を吐いていた。どうも後味が悪い。少なくとも正面から堂々と戦って勝利をつかむというラインハルトのイメージに(リンチらを利用したり、モルト中将を犠牲にしたりと、そのイメージにそぐわない面は確かにあったが。)そぐわない。
「もっとも、それをラインハルトが良しとするとは、私には思えないけれど。」
半ば寂しそうな、半ば諦めめいた口ぶりだった。
『どうするの?まさかとは思うけれど、自由惑星同盟との交渉を決裂させ、再び戦乱状態に突入させようというの?』
ヴァリエの言葉にアレーナは肩をすくめた。
「まさか。私たちからそんな真似をすれば、ラインハルトたちは怒るわよ。『自分たちの出世のために人民の命を生贄に捧げるのですか!?アレーナ姉上!!』とかなんとか言いそうだもの。それに、そういうことをするのはさすがに私のポリシーに反するわ。」
『それでは当初の話通り、私たちは圧倒的に劣勢な戦力のまま、内乱に巻き込まれる恐れがあるわね。それを知っていてなおかつそうするというの?あなたの言う人民の生贄は回避できるかもしれないけれど、別の方面で何千何万何十万という死者が出るわよ。』
アレーナは黙ってヴァリエの言葉を聞いている。
『それに、仮に内乱を乗り切ったとしても、原作とは比べものにならないほど銀河帝国の国力は激減するわ。この世界の自由惑星同盟は第5次イゼルローン攻防戦までしか経験をしていないうえ、艦隊を逐次増設し、イゼルローン級の要塞まで竣工しているのよ。向こうにはシャロンがいる。この調子で行けば、アムリッツアの大敗も同盟は経験しないでしょう。そういう強化された同盟と国力が疲弊した帝国が争って勝てると思うの?』
「・・・・・・・。」
『アレーナ、いい加減に正義ぶるのは、いい子ぶるのはやめなさいよ。飄々としていても結局あなたは甘すぎるんだわ。』
バチッ、と何かがアレーナの内側ではじけた。乾燥した冬に発せられた静電気のような火花であったが、それがいつの間にか蓄積していた発火体に飛び火するのは充分な火花であった。
『汚名を多少被ろうが何をされようが、最終的な目標を忘れないで。私たちの目的はラインハルトを守りきることなのよ。だから――。』
「わかっているわよ。」
アレーナはヴァリエの言葉を制した。鋼鉄の声で。
「つまりは、ブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム侯爵を暗殺すればいいってことね?」
これにはヴァリエも気圧された様に黙り込んでしまった。エレインは眉を上げたが、何も言わずにアレーナの次の言葉を待っている。
「だってそうでしょう?手段を択ばないんだったら、私がちょっと行って二人の首にナイフをぶち込んで帰ってくればいいだけだもの。そう言う調子で片っ端から有力貴族を殺して殺して殺しまくってついでに皇帝も殺してしまえば、内乱で何千何万何十万っていう命は失われずに済むし、後はラインハルト独りになるってわけよね。なるほど簡単よね~。」
飄々としゃべっているがアレーナの眼が殺人的に光り始めていた。
『ア、 アレーナ・・・私はそんなつもりでは――。』
「あら~。いいのよ~別に。だってその方がいいんでしょ?そうすれば手が汚れるのは私一人だものね。ラインハルトとキルヒアイスに何も話さなければあの子たちは清廉潔白でいられるわけだしね。経済的かつ合理的、時間も短縮できて一石三鳥でいいんじゃないの?」
『アレーナっ!!!!』
エレインが大声を上げた。普段滅多に声を荒らげない彼女が大声を上げたのである。彼女は肩を上下させて息を乱していた。
『そんなに極論に突っ走らないで!私たちが悪かったわ。いつもいつもあなたにすべてを押し付けて・・・・。なのに、私たちはあなたの甘さを責める様な事を言ってしまって、申し訳ないと思う。あなたからそんなに狂気じみた言葉を並べたてられるのはとても嫌なのよ!聞いていられない!』
「エレイン・・・・。」
アレーナは口をつぐんで黙り込んだ。エレインは何も言っていないし、せめてもいない。だが、彼女は敢えて二人して自分を責めているふうに見せることで、アレーナのヴァリエへの怒りを軽減しようとしていたのである。その気持ちを思いやったアレーナは内心申し訳ないと思ったが、いったん火がついた怒りはなかなかおさまらなかった。
確かにフラストレーションが溜まっていた。「後方にしかいない人間や軍属になって一方的な面でしか支援をしない奴らが何を言っているの!?」と思っていたのは事実である。それがヴァリエに言われた言葉をきっかけに一気に火を吹き出してしまったのだ。我ながら大人げないと思ったけれど、言い出した言葉は簡単にはひっこめられなかった。
『ごめんなさい・・・・。私が悪かったわ。』
ヴァリエがいつになく沈痛な面持ちで頭を下げた。
『あなたにこんなことを言っても今更かもしれないけれど、私たちよりはるかにずっと前からあなたと主席聖将はラインハルトたちのために心を砕いてきたのだったわね。その事実を無視して、あなたを責めるようなことばかり言って・・・・申し訳ないわ。』
「二番煎じで謝られてもね。」
アレーナは怒りの余韻がこもった眼をヴァリエに向けながら言った。
「お嬢ちゃん。あなたに言われなくたって内乱がもたらす危険性なんて、それに伴って犠牲になるであろう人間の数なんて、十分に私は知っているわよ。でも、だからと言って私たちがブラウンシュヴァイク公やリッテンハイム侯を暗殺してもいいわけ!?まるでシャロンと同じやり口じゃない!!くだらない!!害虫が成長する前に幼虫の時に殺してしまおうなんて!!!じゃあ、そいつらが成長して何も害をなさなかったら、殺した人間は何て説明するわけよ!?言ってみなさいよ、ヴァリエ!!」
アレーナが怒り心頭でヴァリエにディスプレイ越しに詰め寄った。普段のアレーナからは想像もできないような激しい調子だった。
「言えないでしょうが!!頭の固い正義ぶった融通の利かないバカ女!!!あんたなんかとはもう口もききたくないわ!!!」
ティアナ以上の怒りようだった。こんなアレーナは前世ですら二人は見たことはない。ヴァリエの眼が衝撃で見開かれ、彼女は数秒間凍り付いたままだった。やがて目を伏せた彼女はそのまま無言で通信を切ってしまったのである。
アレーナは荒い息を吐きながら「くそっ!!」とディスプレイに毒づいていた。毒づき続けていた。
「くそっくそっくそっ!!!どうしてどうしてどうしてどうしてどうして!!!!」
『アレーナ、落ち着きなさい。』
残ったエレインがアレーナをなだめるように諭していた。
「エレイン、私だめかもしれない。今のままじゃ冷静に話すことなんてできない。いったん通信を切るわよ・・・。」
一方的に通信を切ったアレーナは自室のベッドに身を投げるようにして飛んだ。ボフッ!というこもった音と共にスプリングが激しくきしんだ。そのまま幅の広いふっくらとした枕に顔を押しつけたままアレーナは動かなくなった。



* * * * *
フィオーナの端末に連絡があった。見るとヴァリエからである。「どうしたの?」とディスプレイを開くと、いつになく憔悴した友人がいつにない支離滅裂な言葉で事情を話してきた。うんうんとうなずきながら聞いて、
「普段怒らない人から怒られたらいつもよりもずっとへこんじゃうものね。わかるわ、その気持ち。」
フィオーナは優しく言った。
「気にするな、って言っても気にしちゃうだろうから、まずは落ち着くことだけ考えて。私たちが引き受けるから。ね?私が紹介したローズヒップティーでも飲んで、ベッドに横になっているといいわ。」
親友をなだめて通信を切ったフィオーナは、ティアナに視線を向けた。
「あのヴァリエがあそこまでうろたえるなんてね。通信に参加しなくてよかった。ここで聞いたことはぜったいアイツには言わないでおくことにするわ。」
前世からティアナとヴァリエはいがみ合っているが、いざというときには相手を気遣う優しさを見せるのである。
「で、フィオ。どうするの?」
「教官に相談してみるわ。でもこういうのは時間がいい薬だと思うの。今何を言ってもアレーナさんの頭の中はカッカして何も受け付けられないと思うの。」
まぁ、そりゃそうよね、とティアナは同意した。
「少し時間をおいて話してみるわ。たぶん教官もそういうふうにしろっておっしゃると思うし。」
それよりも、とフィオーナは話を別の方面に向けた。
「ヴァリエが話したこと、どう思う?もしここで内乱が勃発したらラインハルト陣営としては単独で乗り切れると思う?」
「不可ね。」
ティアナは短く、だが、断定的に言った。
「ブラウンシュヴァイク公もリッテンハイム侯も先年のバウムガルデン公爵領地を接収して勢いが上がっているわ。原作ですらリッテンハイム侯は艦艇40000~50000隻(もっともそれはリッテンハイム侯爵派閥が少なからず入っているんだろうけれど。)を有していたのよ。今現在の具体的な戦力は不明だけれど、それより少ないってことはないと思う。ブラウンシュヴァイク公はそれ以上の戦力を持っているわ。それに・・・・。」
「それに?」
「双方が正規軍を抱き込まないはずはないでしょ?名目なんていかようにもたてられるわ。ねぇ、フィオ。私今ちょっと思ったんだけれど、ある意味自由惑星同盟と戦争が続いていたってのは一種の安全弁だったんじゃないかって気がするの。」
「安全弁?」
「内乱に対するっていう限定詞が前につくけれどね。自由惑星同盟と戦争を継続していたために内乱に傾倒することがなかっただけで、貴族の力が強まっている今日は皇帝の威厳なんて無力だわ。古来の日本とかいう国でいう応仁の乱以降の朝廷や神聖ローマ帝国がいい例じゃない。それらに限らずともだいたい末期の力が衰えた王朝時代には貴族や豪族たちが争うっていう図式になっているしね。私たちの前世だって、そうだったでしょ?」
「そうよね・・・・。」
吐息交じりにフィオーナは答えた。ティアナの言うことは当たっている。
「私たちのやらなくちゃいけないことは、ラインハルトをなるべく早く元帥に昇格させて宇宙艦隊を掌握させ、さらに自由惑星同盟の侵攻を許す糸口を作らない状態にしておき、かつ貴族連合軍との戦いを短期決戦で終わらせるという事ね。」
考えれば考えるほど、無理難題に思えてくる。ラインハルトが元帥ならともかく今は一介の大将に過ぎないのだから。
「いっそラインハルト本人に聞いてみようかな。」
独りごとのようなフィオーナのつぶやきをティアナは聞きとがめて、えっ、と声を上げた。
「ラインハルトに聞いてみるの。『もし内乱が起こったらどうする?』って。ブラウンシュヴァイク公につくかリッテンハイム侯につくか、それとも独立独歩の路線を歩むか。それによって私たちの立てる戦略・政略は大きく変わるわ。考えるのはそれからでも遅くはないと思うの。」
フィオーナの言葉にティアナはしばらく考え込んでいたが、やがて顔を上げて、
「そうよね。私たちが決めるんじゃ意味ないもの。ここはラインハルトに決めてもらうことにしましょ。」
あれこれと悩んでいても意味はない。ラインハルト自身の考えを聞くこと、まずはそこから始まるのだ。



* * * * *
他方、フェザーン回廊付近エル・ファシル星域に交渉のテーブルを移動させた帝国と同盟の第二回目の交渉は遅々として進まなかった。あらためてルビンスキーの仲介があったにもかかわらず、双方はまず互いの非難を行うところから話を始めたのだった。これまでの双方の立場からは冷静すぎると言われた第一回目の交渉の様相とはガラッと異なっている。
「ですから、我々の失態だと正直に認めておるではないですか?この上何をお求めになるのですか!?」
ピエール・サン・トゥルーデは度重なるブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム侯爵の様々な皮肉、トゲ、毒にさすがに我慢の限界に達したのか、声を荒らげた。
「よろしい!!ならばお好きなようにすればよいでしょう!!即刻帝国に戻り、戦備を整えて再び攻め寄せてくるがよろしい。我々にも矜持があります。あなた方の靴底をなめ続けろなどと言うのであれば、それ相応の対価を支払ってもらいましょう。まだまだ余力がある相手に対しての一方的な要求など、幼稚園の園児でもしませんぞ。」
この真っ向からの挑戦の言葉に、ブラウンシュヴァイクもリッテンハイムも顔を赤くしたが、それ以上の挑発はしなかった。何の成果もなしにおめおめと帰れば、あざけりを受けるのは他ならぬ自分たちなのだ。大貴族の長という立場も声望も地に落ち、国政にすら参画できなくなるだろう。それだけは絶対に阻止したかった。


 結局のところ、帝国同盟の双方の面目は期限付き和平として1年間の停戦を行うところで合意することでようやく保たれたのだった。これが帝国歴486年7月30日のことである。1年後に再度双方が会談を行い、そこで和平を継続するか、それとも戦争に発展するか否かを決めようということになった。いわゆるエル・ファシル条約がそれである。帝国としても空手で帰るわけにはいかず、いわば次回の交渉のための糸を同盟との間に張り渡したことをもって一応の成果としたわけで、それは同盟とて同じ事であった。決定的な双方の成果は上がらなかったものの、この一年間は場合によっては数年、数十年に延びる可能性もあれば、一年間で終わることもあった。これからの双方の努力、姿勢次第という事である。

だが――。

 ブラウンシュヴァイク公爵とリッテンハイム侯爵の仲ははた目にもずっと冷え切っていたのがわかった。ルビンスキーも自由惑星同盟側も表向きは双方をとりなそうという姿勢を見せたものの、失敗に終わっている。

 帝国に戻れば宮廷闘争が起こるだろうということは誰の目にも明らかだった。

 一応和平は結ばれたことを見届けたフィオーナ、ティアナはイルーナに相談の上、ラインハルトに面会を求めたのだった。
 
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