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デュエル・マスターズ~龍を使役する少年の物語~

作者:ガタック
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第12話:王と最強のボルシャックvs野生と巨人の猛攻

 
前書き
 革命編でレッドゾーンデッキと互角、もしくはそれ以上と言っていいほどの、猛威を振るった速攻デッキが登場。
 因みに作者はフリーでそのデッキと戦い負けました(泣)
 それでは第12話どうぞ! 

 



「先攻は僕から貰うよ。マナをチャージ、ターンエンド」
(……やっぱり、ドラゴンデッキか!)

 マナに置いたカードを見て男は勝のデッキがドラゴンデッキだと予想し、山札に手を置いた。

「俺様のターン!ドロー!マナをチャージして《冒険妖精ポレゴン》を召喚!ターンエンド!」

 序盤から勢いよくマナを貯め、クリーチャーを召喚し、ターンを終えた男。

(《ポレゴン》?緑単色もしくは他の文明を混ぜた速攻デッキ?)

 対する勝は男が出したクリーチャーとマナを見て男のデッキが速攻デッキだと、脳裏でそう思った。

「僕のターン、ドロー。マナをチャージして《一撃奪取 トップギア》を召喚。ターンエンド」

 勝もマナを貯めてクリーチャーを召喚。そして、ターンエンドの宣伝をし、男の2ターン目に。

「遅いぜ!俺様のターン!ドロー!マナをチャージ!2マナで呪文、《進化設計図》ッ!その能力で山札の上から6枚見て進化クリーチャーをすべて手札に加えられる!」

 そう言って、男は山札の上から6枚を見た。

「…っしゃ!加えるカードはこの3枚だ!」
「ッ!」

 すると、男は気合いを入れながら3枚のカードを勝に見せた。
 それを見た勝は驚いてしまった。
 何故なら男が見せたカードは自然文明単色速攻デッキで“3ターンキル”ができる3枚のカード―――《獣軍隊 ベアッサー》、《超獣軍隊 ベアフガン》、《密林の総督ハックル・キリンソーヤ》の3枚だからだ。

「この3枚を手札に加え、残りを山札の一番下に!そして、《ポレゴン》でシールドを攻撃!その瞬間、侵略発動!さっき加えた《ベアッサー》を《ポレゴン》の上に進化!そのまま、お前のシールドを攻撃!」
「ッ、トリガーはありません…」

 男の威圧とクリーチャーの攻撃に勝は一瞬思考が停止し、《ポレゴン》が《ベアッサー》に進化した所で停止している思考を無理矢理動かし、攻撃されたシールドを確認するもトリガーはなかった。

「っしゃ!ターンエンド!」

 トリガーがでなかったのか、男はまた気合いを入れ、ターンを終えた。

 先攻、勝の3ターン目。

(……まずい!さっき、トリガーを引けなかったから次のターン、確実に向こうは仕留めてくる!シールドにトリガーがあることを祈って戦うしかない!)

 先程のターンを思い出しながら、勝は山札からカードを引いた。

「ドロー。ん?(このカードって、確か…)」

 引いたカードを見て勝は手を止めた。

(……このカード、確か、モルトさんのデッキに入っていたカード?なんで僕のデッキに入ってるんだ?)

 脳裏で自分のデッキに他人のカードが勝手に入っているなど、あまりにも不自然な現象に勝はそこで思考を止め、デュエルに集中することにした。

「……マナをチャージして《トップギア》の能力で1体目の火のクリーチャーのコストを1低減!2マナで《コッコ・ルピア》を召喚!」

 マナを貯め、バトルゾーンに出したのはドラゴンで毎度お馴染みの《コッコ・ルピア》。
 能力は早速不要であろう。

「ターンエンド……」
「ケッ、何をするかと思ったら《コッコ・ルピア》かよ!」

 だが、勝がターンを終えると同時に男は勝に悪態をつけながら、そう言った。

「そんなスピードじゃぁ!俺様には一生ついてこれないぜぇ!ドロー!マナをチャージ!そして、3マナを使いマナ進化!《密林の総督ハックル・キリンソーヤ》を召喚!」

 男は勢いよくカードを引き、素早くマナを貯め、マナゾーンにあった《天真妖精オチャッピィ》を進化元にし、前のターンに《進化設計図》で加えた《密林の総督ハックル・キリンソーヤ》をバトルゾーンに出した。

「“シールド・フォース”発動!」

 それと同時に男は《密林の総督ハックル・キリンソーヤ》の能力を解放した。

「コイツがおる時、または俺のシールドがある限り、俺のクリーチャーよりパワーが小さいクリーチャーはブロックできない!」

 男は真ん中のシールドを指でトントンと指しながら《密林の総督ハックル・キリンソーヤ》の能力を解説した。

「と言っても、お前のデッキにはブロッカーなんて1体もいないがなぁ!《ベアッサー》で攻撃!その瞬間、侵略発動!《ベアッサー》を《超獣軍隊 ベアフガン》に進化ぁ!そのまま“Q・ブレイク”ッ!」

 前のターンと同じように手札から《超獣軍隊 ベアフガン》を《獣軍隊 ベアッサー》の上に重ねて進化し、一気に残っていた勝の4枚のシールドを攻撃した。

 攻撃された勝は1枚ずつトリガーがあるかどうか確認した。

 ―――すると、

「S・トリガー!すべてを切り裂け!《めった切り・スクラッパー》!コスト6以下の《ハックル・キリンソーヤ》を破壊!更にS・トリガー!業火の手!《イフリート・ハンド》!コスト9以下の《ベアフガン》を破壊!」

 4枚の内、2枚が火のトリガー呪文であり、どちらも《ベアッサー》と《ベアフガン》を破壊できる呪文カードである。

「チッ、3ターンキルはできなかったか!だが、《ベアフガン》の能力で破壊された《ハックル・キリンソーヤ》共々、2体はマナゾーンに!ターンエンド!」

 だが、《ベアフガン》の能力で破壊された《ハックル・キリンソーヤ》共々、2体はマナゾーンに置かれた。

 これで男のマナゾーンには7枚。次のターン、進化クリーチャーを引かれれば、確実に自分は負ける。そう確信した勝はゆっくり山札の上に手を置いた。

 ―――その時、

『守りたいか?』
「……えッ?」

 突然、勝の耳に謎の声が響き、それと同時に目の前の景色が一瞬で変貌した。










「ここは…?」

 景色が変貌したと思ったら、今度は何もない真っ白な空間だった。

 だが、1つだけ、この景色には似合わないものが1つ―――デュエマのカードが勝の目の前にあった。

 そのカードは以前、モルトが勝とデュエマした時に使っていたボルシャックの中で守りに特化した最強のボルシャック―――《ボルシャック・ドギラゴン》だった。

『守りたいか?あの少女を?』
「………」

 彼、《ボルシャック・ドギラゴン》の問い掛けに勝は首を振った。

『なら、自分の居場所を守りたいのか?』
「……両方です」
『!?』

 勝の意外な言葉にカードの中で《ボルシャック・ドギラゴン》は驚いてしまった。

『……世の中には守れるのは1つ。その両方を守ることは不可能なのは、お前が一番わかっているはずだ』

 確かに。目の前で愛する人と大勢の人達が助けを求めていたら、どちらかしか守れない。
 それでも……。

「それでも、守りたいんだ!自分の手が届く範囲…否、例え届かなくたって、〝力〟があるのに、助けない選択(みち)は選びたくない!それに……」

 それに、もう僕は負けたくない!

 そう口にしようとするが、《ボルシャック・ドギラゴン》は『わかった』と勝の言葉を遮り、そう答えた。
 まるで全部わかっているのかのように。

『それなら俺も―――否、“俺達”も力を貸そう!』

 そう言って、カードの姿で《ボルシャック・ドギラゴン》は輝き出した。










「ッ!?」

 次に勝が意識を取り戻したのは目の前にいる男とデュエマしていた。

 少し驚きながら、勝は自分の手札とバトルゾーンを重視した。

 バトルゾーンには勝の《トップギア》と《コッコ・ルピア》の2体、マナは3枚、シールドは0枚、手札は5枚(その内、1枚は《ボルシャック・ドギラゴン》)。

 対する男のバトルゾーンは何もなし、マナは7枚、シールドは無傷の5枚、手札は3枚。

 状況から見て不利なのは勝である。何故なら男のデッキは恐らく、進化クリーチャーが多めに入っている自然文明単色の速攻デッキ。
 本来なら前のターンで3ターンキルを狙うデッキだが、勝のシールドに2枚のトリガー呪文があった為、3ターンキルは不可能になった。

 だが、状況は依然と変わらず、どのみち不利なのは、勝である。何故なら、このターンで一気にシールドをすべてブレイクし、ダイレクトアタックまで決めないと次のターン、勝の敗北はほぼ確定である。

「無理だな」

 それを見知ってか、男はフッと、そんなことを口にした。

「お前のデッキは4ターン目以降勝つデッキ!対する俺様のデッキは3ターンで決めるデッキ!常識的に考えれば、お前のターンは一生来ない!そう、“一生”な!」

「そうだ!そうだ!」
「降参するなら今の内だぜぇ!」
「ま、降参したら、お前の部は全員退部だがな」
「「ハハハッ!」」

 男の言葉に先程まで黙っていた部下の二人は勝にそう言い、嘲笑うかのように笑い出した。

「……黙りなさい!」
「「ッ!?」」

 だが、一人の人物が二人の部下を黙らせた。

 ―――その人物は、金髪の少女だった。

「アンタ達、恥ずかしくないの?一生懸命頑張ってる人にその言い方はどうなの?」

「何言ってんだ、お前?」
「この状況を見てアイツが勝つ可能性なんて―――」
「まだ、終わってない!」
「「はぁ?」」

 少女は嫌気がさしたのか、二人の部下の言葉を遮り、視点を勝に向ける。

「少なくとも、私にはまだ彼が諦めていないように見える」
「確かに。お前さんの言う通り、コイツはまだ目が死んでいない。むしろ…」

 ―――勝つ気だ。

 一瞬、男はそう言いかけたが、部下の前なのか、ギリギリ口を抑えた。

「……そのつもりだよ。けど、あの二人の言う通り、この状況を逆転できるカードは今ない」

「ほーら、やっぱりただの強がりじゃねぇか!」
「そうだな!」

「お前ら、一回黙ってろ」

「「ッ、は、はい!」」

 男の威圧的な言葉に部下の二人は声を合わせて返事を返した。

「……それなら引けばいい。この状況を逆転できるカードを!」

 そんな都合よく引けるわけがない。

 誰もがそう思ったが、勝の圧倒的な強いオーラがここにいる全員を黙らせた。

 ―――何故なら、彼、〝日伍 勝〟は引く気だからだ。この状況を逆転できるカードを。

「……僕のターン、ドロー!」

 そして、勢いよく山札からカードを引き、引いたカードを見て勝は小さく微笑んだ。

「まさか…!?」

 それを見た男は驚いてしまった。

「その、まさか、です…」

 男の言葉に肯定し、勝は手札から1枚、マナに貯めた。

「《コッコ・ルピア》と《トップギア》の能力で1体目の火のドラゴンのコストを3下げて、2マナで《シンカゲリュウ・柳生・ドラゴン》を召喚!」

 現れたのは右手に刀を持ち、鎧を纏ったアーマード・ドラゴン、《シンカゲリュウ・柳生・ドラゴン》。
 その能力はマナゾーンにタップされているドラゴンをすべてアンタップし、《NEX》がいると、このクリーチャー以外の自分のドラゴンは「パワーアタッカー+4000」とシールドを更に1枚ブレイクできる能力。
 つまり、このクリーチャーは勝の切り札、《ボルシャック・NEX》をサポートするドラゴン。

「《柳生・ドラゴン》の登場時効果で、マナゾーンにタップされているドラゴンをすべてアンタップ!」

 勝のマナゾーンには《熱血龍 バトクロス・バトル》、《闘龍鬼ジャック・ライドウ》がタップされている。

 どちらも火のドラゴン。よって、《シンカゲリュウ・柳生・ドラゴン》の能力で2枚のドラゴンがアンタップされる。

 ―――そして、

「更に《コッコ・ルピア》の能力でドラゴンのコストを2下げて、4マナで《ボルシャック・NEX》を召喚!」

 勝の切り札、《ボルシャック・NEX》がバトルゾーンに現れた。


 
 

 
後書き
 はい。今回はここまで。
 前書きにも書きましたが、今回、男が使用したデッキは緑単ベアフガンデッキです。

 対する勝君は前々回に引き続き、赤単ボルシャックデッキです。
 本来ならモルト君のデッキに入ってる筈の《ボルシャック・ドギラゴン》が何故か勝君のデッキに入っていましたが、その理由は?

 次回、勝は男に勝ち、金髪の少女を救えるのか?

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