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IS―インフィニット・ストラトス 最強に魅せられた少女

作者:伊10
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第7話 私、鬼軍曹になります。

夜 一年生寮

「邪魔する……ぞ………。」

私とセシリアの部屋、1072号室に入ってくるなり絶句した篠ノ之さん。まあ気持ちは分かる。私だって当事者じゃ無かったら同じリアクションをするだろう。

部屋の半分が英国貴族の屋敷になってて、もう半分が日本の武家屋敷になってたら。

こうなったのは、私とセシリアが冷戦をしていた五日前の事だ。





五日前

「神宮寺、オルコット、入るぞ。」

部屋でのんびりしていたら、寮長である織斑先生が入ってきた。

「お前達の実家から家具が届いた。…………本気で両方入れるのか?」

「ええ、この部屋では落ち着けないので。」

「私も同じく。」

「だが……センスのない私でも分かるぞ。明らかに変だろう。」

「でも来ちゃいましたし。」

実家からの家具。因みにセシリアの実家は英国貴族で、私の実家は平安時代から続く武家だ。当然セシリアも私もその影響を受けている。その結果がこれだ。

「……うわ。」

部屋の真ん中で絨毯と畳が綺麗な協会線を作っている。絨毯の側には天蓋付きのベッドが、畳の側には布団が隅に畳まれている。棚も、机も、全てが正反対だった。和洋折衷?ナニソレ?みたいな部屋になってしまっていた。





「……と、いう訳よ。」

「……………。」

一通りの説明を終えた私に対して篠ノ之さんは無言でお茶をすすっていた。

「……しかし、神宮寺が武家の出だったとはな。………ん?武家で“神宮寺”?まさか…………。」

「あー、うん。多分考えてる通りだよ。」

「……成る程な。隠してるのか?」

「ううん、こっちからは言わないだけ。」

「そうか。なら私も聞かれるまで答えずに置こう。」

流石篠ノ之さん。そこまで気付くか。まあ、一般常識があれば大体分かるかな?別に隠そうとは思わないけど、進んで話す気にもなれないんだよねぇ。

「そう言えば、織斑は代表候補生断ったんだっけ?」

「ああ、『白式』を用意したのは倉持技研で、候補生用に開発していたらしいが、データさえ取れれば構わないらしい。なんでも研究員総出で白式の解析をしているそうだ。」

「総出で!?……ハァ、倉持も馬鹿ねぇ。これで“あの子”の機体は益々遅れるかな。全く……『玉鋼』と『天津風』で懲りたと思ったのに………。」

「?なんの話だ?」

「ああ。元々私の『玉鋼』と、黒部重工が手掛けてる『天津風』っていう機体も倉持で開発予定だったのよ。」

「……でも、その機体は国が直接開発したと聞いてるが?」

「そ、三機目……多分白式ね。アレに拘りすぎてどちらも殆ど進まなくてね。業を煮やした国が、二機分の開発権取り上げたのよ。」

「それは……馬鹿な話だな。」

篠ノ之さんの言葉に頷く。全く倉持はろくなことしない。打鉄を開発した時も初期型は欠陥だらけだったらしいし、噂によれば織斑先生のIS、暮桜も倉持が完成させた時点では理論倒れの鉄屑同然で、自衛隊の方で慌てて改修したという。

「最も、玉鋼もまだ、完成率八割ってトコなんだけどね。」

「そうなのか?」

「うん、まだ本当の主武装が調整中でね。詳しくは言えないんだけど。」

「むう、だが、既に完成しきっている様にみえるが……バランスが崩れないか。」

「それがそうでも無さそうなのよ。私もデータでしか見てないけどね?」

だが、アレが有れば恐らく玉鋼は第三世代IS最強の能力を持つだろう。多分学年別トーナメントまでには間に合う筈だ。

「……っと、じゃあ、そろそろ本題に入ろうか?篠ノ之さんと織斑、二人のトレーニング計画について。」





三日後 放課後 第三アリーナ

「ほらほらほらぁ!!動きを止めない!!」

「うおおおお!!?」

速射モードの秋雨の弾幕を、危なっかしく回避していく織斑。近接戦闘オンリーの織斑の為に考えた、接近するためのトレーニングだ。意識を別な方に向けると、セシリアが篠ノ之さんに同じ事をしているのが見える。打鉄のシールドを利用して、中々上手く立ち回っている。

「ハイそこぉ!」

「ぐっ!?まだまだぁ!!」

「考え無しに突っ込むな!弾幕は相手の動きを制限するためにあるんだから、回避先読まれて狙撃されて終わりよ!」

「っ!!?ならどうすれば!?」

「それを考えるのが!この訓練よ!」

尚も弾幕を張り続け、壁際まで追い込んだ。

「く……、これなら!オオオオオ!!」

織斑は瞬時加速を使用して、一気に距離を詰めてきた、当たりそうな弾は《零落白夜》でかき消していく。そしてエネルギー刃と化した《雪片弐型》を振りかぶる。

「狙いはいいけど……見え見えよ!」

引き付けてから紙一重でよけ、カウンターを叩き込んだ。

「うお!?」

「……ここまでね。もう時間よ。」

「くっそ~~~~!今日も駄目か~~!!」

「そうそう簡単に強くはならないわよ。過程をすっ飛ばして力だけ得ても、それに振り回されるだけだからね。」

「今の俺が正にそれってことか。」

「ええ、完全に白式に乗られてるわね。そもそもその子の機動性なら正面からでもあの弾幕を抜けられる筈よ。」

「まあ、やはりISでは日々の精進がモノを言いますわ。どれだけ機体を理解できるか、全てはそこに尽きます。」

「強くなるのに近道など無いのだ!これしきでへこたれるな!」

「お、おう!負けてたまるか!」

そんな会話をしつつアリーナを後にする私達。物陰から見ていた一人の少女に気付かずに。



「折角一夏に会えると思ったのに………………何なのよあの女達は~~!!」 
 

 
後書き
一夏の墜落の話はカットさせて頂きました。だってあれ、セシリアフラグありきの話でしょう?
最後の少女はあのツインテール中国娘です。 
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