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Blue Rose

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第十八話 新幹線の中でその十五

「死ぬ時が大事なんだよ」
「その時がですか」
「うん、誰も悲しませる死に方が出来たら」
 自分の目の中に様々なものを見ながらだ、そのうえでだった。
 岡島は想いを馳せてそのうえで優花に言った。
「一番いいけれどね」
「死に方もあるんですね」
「そう、この状況になって死にたいと思ったかな」
「それは」
「自殺はしたら駄目だよ、どんな状況でもね」
 岡島は優花にこのことも注意した。
「何があってもね」
「それが一番人を悲しませる死に方だからですね」
「そうだよ、だからね」
 それ故にというのだ。
「自殺はしたら駄目だよ」
「じゃあ僕はそう思わなくて」
「よかったよ、何はともあれね」
「生きることですね」
「そのことが絶対だよ」 
 例え何があろうともというのだ。
「死なないことだよ」
「自殺は本当に駄目ですね」
「悲しませるからね、周りの人を」
「姉さんを、それに」
「君も友達がいるよね」
「はい」
 優花は岡島のその問いにこくりと頷いて答えた。
「ずっと一緒だった友達が」
「そうだね、だからね」
「僕もですね」
「生きていないと駄目だよ」
「そのことは絶対ですね」
「そうだよ、死んだら駄目だよ」
「わかりました、僕は生きていきます」
「そうしてくれると僕も嬉しいよ、実はね」
 岡島は遠い目のまま優花に話した。
「幼稚園からの友達が自殺したんだ」
「そうなんですか」
「全く、いい奴だったのに」 
 岡島は運転をしつつ哀しい顔にもなった。
「それがね」
「自殺ですか」
「馬鹿なことをしたよ」
 哀しい顔のままでの言葉だった。
「本当にね」
「そんなことがあったんですか」
「残された人がね」
「ご家族やお友達が」
「悲しむだけだよ」 
 そうした死に方をすればというのだ。
「だから駄目なんだ」
「絶対に」
「そう、死ぬのならね」
 人は必ず死ぬ、しかしというのだ。
「いい死に方をすることだよ」
「誰も悲しまない」
「大往生っていうよね」
「はい、天寿を全うしたとか」
「誰が見てもよかった、いい人生を送ったなっていうね」
「そうした死に方がいいですよね」
「誰かを悲しませたら駄目だよ、それにね」
 岡島は優花にこうしたことも言った。 
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