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Blue Rose

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第十七話 旅立ちその九

「そうしてね」
「まあそうした場所を言ったらね」
「お話が続かないね」
「例外ばかり出してもね」
 話の中にだ。
「どうしようもないのよ」
「そうよね」
「そう、揚げ足取りみたいに言っても」
「子供がそんなこと時々言うね」
「そういうことをしてもね」
 それでもとだ、また言った優子だった。
「本当に話にきりがないから」
「普通に話をしたらいいね」
「そういうことよ」
「そうよね、とにかく街もね」
「寝るのよ」
 そうするというのだ。
「それで今起きてきてるのよ」
「街の人と一緒で」
「そういうことよ、それとね」
「それと?」
「新神戸の駅でね」
 駅のこともだ、優花は言った。
「新幹線に乗ったら」
「何かあるの?」
「間違えて大阪に行ったら駄目だよね」
「全然逆の方向じゃない」
「そうだよね、間違えて」
「そこは間違えないでね」
 くれぐれもとだ、優子も注意する。
「さもないと大阪に本当に行くことになるから」
「大阪好きだけれどね」
「行くのは長崎だから」
「そうよね」
「そう、だからね」
 くれぐれもとだ、優子も言った。
「注意してね」
「長崎に行かないとね」
「優花はそういうの間違えないでしょ」 
 しっかりしているからだ、優花は駅のホームもチェックする主義なのだ。そしてそこもしっかりとしているのである。
「そもそも」
「ううん、そういえばないかな」
「大丈夫よ、それにね」
「それに?」
「新幹線に乗るまで見送るから」
 運転しながら目を助手席に弟に向けての言葉だ。
「そうするから」
「最後までなんだ」
「ええ、だからね」
 名残惜しさをだ、ここで優子は見せた。
「そのことも安心してね」
「それじゃあ」
「ええ、本当にね」
 最後の最後、優花が新幹線に乗って出発するまでというのだ。
「最後の最後まで」
「見送ってくれるんだね」
「最初からそのつもりだったわ」
 優子はこの言葉は真剣に言った。
「最後の最後までってね」
「そうだったんだね」
「いいわよね、そうして」
「勿論だよ、というかね」
 優子のその言葉を聞いてだ、優花は泣きそうな顔になり。
 そのうえでだ、こう姉である彼女に言ったのだった。
「有り難う」
「いいのよ」
「お礼も?」
「だから言ったでしょ、最初からそうするつもりだったから」
 それ故にというのだ。 
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