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Blue Rose

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第十六話 神戸を後にしてその七

「変わってきているよ」
「身体が変わるのと一緒にか」
「女の子の性格?」
「そっちの方にか」
「喋り方も」
 口調、それもというのだ。
「女の子のものになっている時が増えているから」
「心も女性化してるか」
「そういうことだね」
「そうだな、心もか」
「女の子のものになってるんだね僕は」
「けれど根はな」
 心まで女性化してもとだ、優花は言った。
「御前のままだよな」
「うん、僕は僕だね」
「心が女の人になっても」
「やっぱり僕は僕だよ」 
 そうだというのだ。
「それは変わらないよ」
「そうだよな、それはな」
「うん、僕もね」
「わかってるんだな」
「そのつもりだよ」
「実際にそうだろうな、じゃあな」
「じゃあ?」
「女の子になって戻って来いよ」
 これが龍馬の今の言葉だった。
「その御前でな」
「うん、そうしてくるね」
「時々行くにしてもな」
 それでもというのだ。
「俺は待ってるからな」
「神戸でだね」
「優子さんと同じでな」
「二人共だね」
「待ってるからな」
「うん、それじゃあね」
「行って来いよ、長崎に」
 微笑んでだ、龍馬は優花に言った。
「そしてまた会おうな」
「そうさせてもらうわね」
「是非な、けれどな」
「けれど?」
「いや、凄い話なんだけれどな」
 それでもとだ、龍馬は自分自身に言った。
「俺結構落ち着いてるよな」
「僕のことで」
「ああ、自分でも不思議な位な」
「姉さんもだよね、けれどね」
「優子さんはお酒飲んでたよな」
「暫くね」
 連日深酒をしてだ、現実と向かい合うまで葛藤していた。優子も戦っていたのだ。そして龍馬はというと。
「けれど龍馬は僕の話を聞いて」
「驚いたさ」
 龍馬は優花に正直にその時の自分を話した。
「確かにな」
「やっぱりそうだよね、けれど」
「ああ、それでもな」
「すぐにだったね」
「御前は御前だからな」
「女の子になっても」
「そのことに気付いたからな」
 それもすぐにだ、龍馬はこの真実に気付いたのである。
「俺は今もここにいるんだよ」
「お祖父さんの教えもあって」
「祖父ちゃんは正しいよ」
 心からの尊敬も込めてだ、龍馬は自分の祖父にも言及した。 
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