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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  ディケイド ~新たな世界~


仮面ライダーディケイド・門矢士は、薄暗い宇宙のような空間に立っていた。

いくつもの地球が浮かび、漂っている。


「ここは・・・・」

「ディケイド、緊急の要件です」

そこに白い服を着た青年が現れた。
士が旅に出る際、世界の危機を促してきた男だ。

「またお前か。オレの旅は9つの世界を回って終わったんじゃないのか?」

「それよりもディケイド。この世界にまた別の破滅がやってきました」

「なに?」

「異世界からの侵入者が世界を喰らい、力にしようと、この世界に来たのです」

「なんだと?」

「しかし、「奴」を追っている人物もこの世界に来ています。彼と共に、「奴」を打ち破り、世界を救ってください」

「ちょっと待て!なんでオレが!そいつのこともちゃんと教えろ!!」

「頼みましたよ」

そう言い残して青年は消えてしまった。
気づくと、空間もいつの間にか消え、門矢士は写真館の前に戻ってきていた。





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「で?やってきたのがお前ってことか?」

「そうだそうですそのとおりです。オレが来た理由、わかってんだな?」

「ああ、大体わかった」

ここは光写真館。
その家の中で蒔風と士が机に座って話し合ってる。

「ちょっと士君!!誰ですかこの人」

「そうだぞ士。自分だけ納得しないで俺たちにも説明しろ!」

「だから、オレは蒔風舜だ。「奴」を追ってきたんだ。わかんない?」

「わかりません!!!」



蒔風がコーヒーを飲みながらその場にいる全員を見渡して言った。
仮面ライダーディケイドと世界を渡る旅のメンバーだ。

ピンクのトイカメラを首から掛けた青年が門矢士。

蒔風を問い詰めている女性がこの写真館のオーナーの孫娘、光夏見。

同じく士を問い詰めている青年が小野寺ユウスケ。

奥の流しでコーヒーを作っている老人がこの写真館のオーナー、光栄次郎だ。


「しょーがないな。お前らのために特別に説明してやるよ。このオレが」


士が偉そうに話しだした。
他の二人は士のそんな態度にはもう慣れているのか、黙って聞く。



門矢士は世界を救うためにいくつものライダーの世界を周っている。

今までもクウガ~キバの世界を回り、救ってきた。
そして前回の世界で九つの世界を周り終わったのだ。


「え!?お前らの旅終わったの!?」

「はい。九つのライダーの世界はしっかり周ってきました」

「そこで世界を救ってきたもんな?士」

「ま、軽いもんだ」

蒔風がその事実を知り、驚くが思い直し

「でもお前の近くにはいないとなぁ」

「「奴」ってのが来るからか?」

「そうそう。それ本当なのかよ。世界はせっかく救われたのにさ」

士とユウスケが蒔風に問う。

「その通り。だからまあ・・・お世話になりまっす!!!」

「ちょっと!!士君にユウスケまでいるのに、これ以上置いとけませんよ!!」

夏海が反論する。
それはそうだ。これだけ人がいれば大変である。

なにより士はこの家に写真の現像代や食事代などの借金を溜めこんでいるのだ。

「どれくらいいるんだ?」

「結構な時間だな。この世界は多重世界だから」

「多重世界?ってなんですか?」

「なるほど。大体わかった」

「士。本当にわかってるのか?」

「当たり前だ」

とりあえず蒔風が他の二人に多重世界のことを説明する。


「理由はわかりました。でももうこの家は結構きついんですよ?」


そこですすすっ、と蒔風が夏海によって何か封筒を渡す。
結構な厚みだ。

「これで足りるかい?」

「なんですか?・・・・!!!!ようこそ!蒔風さん!!」

いきなり蒔風と歓迎した夏海に士とユウスケが驚いた。

「なんでだナツミカン!!!」

「夏海ちゃん、どうしたの?」

「なんでもありません。さ、町に行きましょう」


そういって夏海が皆をひきつれて外に出る。

ちなみに夏海が封筒の中に見たのは、沢山の福沢諭吉だったとか。



今この世界は最初の「夏海の世界」に帰ってきているそうだ。
彼女にとっては久しぶりの故郷だ。

旅の最初に、この世界は崩壊しかけてしまったそうなのだが

「わぁーーー。すっかり元通りです!!」

「よかったな、夏海ちゃん!!」

「はい!!」


かつて崩壊した街並み。
それは綺麗に元通りとなり、前と同じ、平和な世界が広がっていた。

意気揚々と街を回る一向。
途中、士が皆の写真を撮り、終始みんな笑顔だった。



そしていったん家に帰ろうとすると、どこからかバイオリンの音色が聞こえてきた。

音のほうを向くと、ひとりの男性が道の真ん中でバイオリンを演奏していた。
演奏し終わり、士達のほうに歩いてきた。

「百年に一人の天才、紅音也(くれないおとや)様の演奏だ。三千万円の価値がある!!」



そんなことを言って夏海や士と握手を交わす、紅音也なる人物。


「礼を言おう。お前たちのおかげで世界は救われた」

「お前・・・・何者だ?」

いきなりのその言葉に、士が不審そうなまなざしを向けて聞く。
だがそれに対しあくまでも友好的に答える音也。

「紅音也。えら~い人だ。近い将来このオレの名前が全国の教科書に載るだろう」

「そんなに偉いんだったら教えてほしいな。オレは一体何を手に入れたんだ?」

音也の労いの言葉に士が聞く。
どの世界の住人でもない自分がこの旅で得たものはなんだったのかと。

九つの世界を巡って、一体自分は何をしてきたのか。

音也がそれに答えた。


「それは・・・おまえの、生きるべき、世界」


音也の言葉に何か違和感を感じる士。

「どうしたんだ?」

「ああいや・・なんでもない・・・」

蒔風の言葉になあなあに返事をする士。

そこに栄次郎が夏海を呼びに来た。
どうやら彼女に電話がかかってきたようだ。

皆が写真館に戻っていく。

振り返るとそこに音也の姿はなかった。


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どうやら電話の相手は夏海の同級生らしい。
久々に自分の世界に帰ってこれた夏海は、有頂天になっている。
これからみんなで集まるのだそうだ。



「TGクラブ?」

「そうです。「退学」で「TG」です」

「つまり退学クラブ?なんじゃそりゃ」

夏海が出かける準備をしながら教えてくれた。

なんでも高校時代、世の中が詰まんなくなり、いっそ退学でもしてやるか!?と作ったものらしい。
とてもくだらなそうに見える集まりだが、それでも彼女にとっては大切な友達だ。

そうやって過ごしてきた青春なのだ。


そんなことを話していると、先ほど士の撮った写真を栄次郎が現像し、持ってきた。

「おぉー、綺麗に取れてるじゃん!!」

ユウスケが驚く。そう、その写真はきれいに撮れていたのだ。

と、言うのも、士の写真はいつもピンボケで、まともに映ったためしがないのだ。
それも士がその世界の住人じゃないかららしかったのだが・・・・


「うまいもんだなー。オレは写真だとかのそういった芸術方面が苦手だからな」

「そうなのか?」

「絵なんかひどいぞ。棒人間がせいぜいだよ」

蒔風たちが話してるうちに夏海の支度が終わったらしい。
とくに用事もない暇な三人なので、途中まで士達も付いていくことにした。



「士君達も会ってみます?みんなに。すっごいお宝もあるんですよ」

道中夏海が提案するが、士は呆れた顔をして取り合わない。

「青臭い連中は好きじゃない」

「やめろよ。夏海ちゃんの友達なんだから」

士の言葉をユウスケが戒めるが、夏海はもう慣れたと言って受け流す。

「友達・・・か」

「どうしたんだ?舜」

「舜?」

「いいだろ?舜で。で、どうしたんだ?」

ユウスケが蒔風の顔を覗き込み、心配してくる。


「なんでもないさ。この世界が修復されて、よかったな」

「はい!!では、行ってきます!!」

夏海が別れる。
三人はそこから夏海を送りだした。

「嬉しそうだな、ナツミカン」

士が優しそうな声で言ったのを、蒔風が聞いた。

「へぇ、そんな声出せるんだ~~~」

「バッ、そんなんじゃねえ!!」

「士?照れてんのか?」

「ちげぇ!!!」

「「へぇ~~~~~」」


「~~~~~~!!!オレは行く!!!!ついてくんな!!!!」

士がむっすりとしてずんずん歩いていってしまう。

残されたのはユウスケと蒔風だ。

「どうする?」

「このまま士っちを追うのも悪くないな~~~」

蒔風がいたずらっ子の目をして言うが、ユウスケがそれを止める。

「やめた方がいいぞ?士は怒ると・・・怖い」

「そんなのだいじょ「怖いんだ」・・・そんなに?」

コクリ、と無言で頷くユウスケ。
その簡単な動作がすべてを物語ってた。

「そっか・・・じゃあぶらつくか?」

「そうだな」

そうして二人は士や夏海とは別の方向に歩いていった。


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「おぅ?お前クウガなん?」

「そそ。仮面ライダークウガとはオレの事!!」

公園で蒔風とユウスケが雑談し、ユウスケが自分がクウガであることを明かした。
ディケイドの回っている世界はあくまでも「ディケイドの世界」という大きな枠組みの中での「世界」だ。
故に蒔風の回ってきたライダー世界とは少しずつ違う。

「オレもクウガの世界は行ったけどなぁ」

「え?」

「いや、お前とは違う世界のだけどさ」

蒔風とユウスケがお互いの回ってきた世界の話をする。
それはとても楽しい時間だった。

と、そこで公園の中からある庭園の中が覗けた。

聞き覚えのある声がして、その中を凝視すると・・・・


「士!!!」

「え?何やってんだお前!!」

そこにはゆったりとくつろいでいる士がいた。

周りにはメイドが控え、執事みたいな男もいる。
何か見合い写真のようなものをもっているが

「士、どうしたんだこれ?」

「まさか・・・だまし取ったのか!?」

「人聞きの悪いことを言うな!!・・・ま、オレの強運ゆえに、だな」


よくよく話を聞いてみると、入ったレストランで一万人目の客になったそうで、その贈り物で企業の社長やら全財産の譲渡やら大変なことになっているらしい。

「じゃあこの写真は?」

「士坊っちゃまの結婚相手でございます」

執事のような男が答える。
というか、本当に執事だったのかこの人は。

「そうだ、お前らも付き合え」

「は?」

「なにに?」

「これに」



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一方その頃、林の中

まるで戦時中のようにボロボロの服を着た一組の男女が何かから逃げていた。
しかし、追ってくる影は人間のそれとは比べ物にならないスピードで二人に追いつく。

「っ!!」
「きゃあ!!」

首をクキリと鳴らし、メガネをかけた男が言った。

「こんなところににまだ人間がいたとはな」

ギュゥン、カシィン

その姿が変わる。
オルタナティブという疑似ライダーに変身した男が、二人に瞬時に接近して、その首を締めあげていった。

そして崩れ落ちる二人。

この男の名は、田中。
今夏海と会っている「TGクラブ」の顧問をしていた男。


この世界にある秘密。
それは彼女の想いをとは真反対のものだった。



to be continued

 
 

 
後書き

アリス
「次回、この世界は本当に夏海の世界なのか?どっちなんだい!!」

ではまた次回





こいつが人の笑顔を守るなら、オレはこいつの笑顔を守る!!
 
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