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MS Operative Theory

作者:ユリス
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内部図解
  MS②


——MSの威力——

 MSの威力は、一年戦争の緒戦となる一週間戦争やルウム戦役で実証された。ミノフスキー粒子によって、正確な標準能力と統合的な対空防御性能を奪われた地球連邦軍の宇宙艦艇群は、MSの接近を阻止できず、ザクの攻撃によって次々と撃沈された(地球連邦軍艦艇の多くにはザクの装備する射撃兵装によって撃破されたが、中には格闘攻撃で艦橋構造物を破壊された艦もあったという)。これにより、ミノフスキー粒子散布環境化におけるMSの対艦能力は実証された。では、戦闘機や戦車といった兵器との性能差はどうだろうか。

 宇宙空間における仮想適のひとつとなる宇宙戦闘機は、コア・ブースターのような例外を除けばMSを撃破可能な兵装を搭載していない。また、高い機動/運動性と姿勢制御能力を持つMSの捕捉は困難である。例え宇宙戦闘機が有利な位置に占位しても、MSがマニピュレーターに装備する兵装は、ほぼ全方位を攻撃できるため、位置による優位性もない。

陸戦の仮想敵である戦車、例えば地球連邦軍の主力戦車である61式戦車は150mm連装砲を装備しているが、ザクⅡの正面装甲を貫通することは不可能に近い。また、全高差によって、戦車の弱点である上面を攻撃される点も問題となる。

大気圏内用航空機は、大気圏内でのMSの機動/運動性が低かった時代には、物量によっては対抗兵器となりえた。だが、サブ・フライト・システムの普及やMSのジャンプ力の増大に伴い、対MS能力を大きく減じてしまった。
このようにMSは、既存の兵器をあらゆる面において凌駕する能力を獲得したのである。


——MSの運用思想的特徴——

 MSは、ミノフスキー粒子散布環境下に対応した究極の「白兵戦用汎用兵器」である。この仕様が導き出された背景にはミノフスキー粒子の存在と、それに伴い復活した格闘戦、つまりドッグファイトのような有視界戦闘に対応した兵器が求められてことがあった。こうした仕様と広大な運用領域は、ミノフスキー粒子散布環境下に対応した兵器の開発が行われる中で考案され、その有効性が認められたのである。そのため、必ずしもMS誕生以前から求められていた仕様ではない点に注意が必要である。

■ミノフスキー粒子散布環境下への対応

 MSは、ミノフスキー粒子散布環境下への対応を前提として開発された。レーダーをはじめとする長距離索敵システム(散布濃度が高いと赤外線すら減衰する)が無効化されるミノフスキー粒子散布環境下では、基本的には有視界内の目標しか察知できない。また、ミサイルなどの追尾兵器も有効性が低下する。つまり、会敵/交戦距離が著しく短くなることを意味しており、こうした状況への対応が求められた。

■白兵戦主体の兵器

 ミノフスキー粒子散布環境下における会敵/交戦距離の短距離化は、白兵戦に匹敵する近距離戦を強いることとなった。MSはこの「白兵戦」への対応を求められており、その結果、大型実体弾式機関砲やロケット・ランチャー、格闘兵装が搭載された。ミサイルは追尾性能の低下や、スタンドオフが必要となることから、至近距離戦闘には適さないと判断されたため、主兵装とはならなかった。

■広い運用領域を持つ人型兵器

 MSの特徴でもある「人型」と言うフォルムは、ZEONIC社のZI-XA3の時点でほぼ決定していた。四肢は姿勢制御システムとして機能するほか、ハッチの開閉など宇宙空間からコロニー内へのアクセス、コロニー内戦等にも対応する汎用兵器としての可能性を開拓した。脚部によってコロニー内壁を移動する機能は、大気圏内でも運用可能であることを意味し、これが運用領域を問わないと言うMSの特性を決定付けることとなった。


——MSのテクロノジー——

 ミノフスキー粒子散布下に対応した兵器として開発されたMSは、ミノフスキー物理学とも深い関係を持つ。特に小型かつ大出力のミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉や熱核ロケット/ジェット・エンジン、MS用の関節技術として一般化したフィールド・モーターやマグネット・コーティングなどは、ミノフスキー物理学がなくては実用化されなかった技術とも言える。ミノフスキー粒子との直接的な関係は少ないが、精密作業も可能な五本指マニピュレーターや、MSの姿勢制御機構であるAMBACシステムも大半のMSに採用されている。

■MSの基礎技術

 MS-04(プロトタイプ・ザク)やMS-05(ザクⅠ)の時点で、後に繋がるMSの基本的な技術は決定していた。出力系にミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉を採用し、AMBACシステムを併用した四肢を装備するというスタイルは、第五世代MSにも受け継がれており、フレーム技術や兵装が変化しても変わることは無い。

①ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉

 U.C.0071に完成したとされる小型高出力の核反応炉兼ジェネレーター。第五世代MSでは、2基のIフィールド・シリンダーを持つ改良型を搭載する。

②熱核ロケット・エンジン

 熱核反応炉と直結した推進器。熱核ロケットは推進剤に水素や鉛などを用い、大気圏内用の熱核ジェットは大気を吸入、圧縮した後、それを放出して推進力を得ている。

③AMBACシステム

 四肢などをカウンターウェイトとすることで、推進剤を消費せずに姿勢を制御する技術。四肢以外にバインダーなどのAMBAC肢を持つ機体もある。

④マニピュレーター

 人間のそれと同等の作業が可能な五本指マニピュレーター。携行火器類やオプションの使用だけでなく、コロニーのハッチの開閉、クレーンなどの重機としても利用できる。



補足事項

——国家/軍組織によるMSの系列と進化——

 ジオン公国から始まったMSの歴史は、それを参考に開発された地球連邦軍系、一年戦争後には、ジオン公国軍系と地球連邦軍系が融合したアナハイム・エレクトロニクス社系列が誕生するなど、様々な系列に分化することとなった。U.C.0100年代に入るとサナリィ系やクロスボーン・バンガード系など、新たな系列が誕生した。特にサナリィ系は革新的な技術を実用化しており、後のベスパ(ザンスカール帝国軍)系にも影響を与えている。 
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