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艦隊これくしょん【転移した青年の奮闘記】

作者:Bloo-D
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北方作戦
  第13話 作戦発動

 
前書き
第二次北方作戦発令。 

 
……主人公サイド……



奇姫達の歓迎会からおよそ1週間程経過した7月の初旬



ドッグで行われていた艦の改修がやっと終了した。
まずあきつ丸は艦体を220mまで延長し、更に主機を赤城達にも積まれてるタイプに変更して最大速力は大体33ノットに、燃料タンクの面積を広げて航続力は大幅に上がることになった。そして艦体を延長させた為に対空火器を充実させ、大型ソナーと哨戒機の三式指揮連絡機とカ号観測機を搭載。艦種を“揚陸艦”から“警戒正規空母”に変更。
香取と鹿島は艦体を170mまで延長し、主機は阿賀野達と同じタイプを搭載、そしてタンクの面積を広げて速力と航続力は阿賀野型と同等にまでなった。更にあきつ丸と同じく火器も充実させたおかげで火力は大幅に上がり、艦種も練習巡洋艦から立派な軽巡洋艦へと変更になった。
加えてアイオワにも改修を施し、主砲と副砲をそのままに高射装置付きの長10cm高角砲と対空機銃、更に新型の電探と大型ソナーを搭載。高速戦艦の名に恥じない生まれ変わりを果たす事になった。


この頃になってアイオワや奇姫達の訓練は完了し、未だ連絡がこない制圧部隊の件を待つのみとなった。
一方の奇姫達は、第一特務艦隊(艦体は瑠美がノースカロライナ級,羅奈がエセックス級,湾姫がユナイテッド・ステーツ級,姫雨がシムス級,古風がベンソン級)として鎮守府に置き、人目につかないように第一水戦と共に近海の警備を担ってもらうことになった。


そして……

“陸軍からの連絡が届いた。
なんでも制圧部隊の準備が完了し、今は津軽海峡へと集結している。
後は君の号令を待つのみだ。”

上層部からの連絡で、陸軍の準備が完了したとの連絡だった……

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

陸軍少将「それで、決行はいつになさるおつもりで?」

座蒲郎「そうですね。そうなりますと、霧の中を行動するのが一番でしょう。キスカ島以下北方海域は霧が多い場所ですから、気象情報を頼りにしましょう」

陸軍少将「分かりました。では現地から、気象情報を伝えてもらうよう連絡しましょう」

座蒲郎「お願いします」

となると後は作戦決行の日時だった。忠実におけるキスカ島撤退作戦は霧が鍵になったから、それを真似て今回は霧を頼りにするとしよう。そうなると気象情報が頼みの綱になるから、現地からの情報も頼りとなる。陸軍少将が現地から情報を送ってもらうように伝えると答えて、後は天に託すとなる……

____________________


そして、それから数日が経過し……



≪カタカタカタ……≫

「「「……」」」

現地からの情報を待ちつつ、秘書艦に復帰した長門と補佐の陸奥が居る傍ら、執務室でデスクワークに掛かっていた。
一方の大淀は、陸軍少将と一緒に作戦指揮室に籠って情報収集を行っている。
そこへ……


≪ガチャッ≫

陸軍少将「お忙しいところ、失礼します」

大淀と情報収集をやってた陸軍少将が入って来た。

座蒲郎「どうかしましたか?」

陸軍少将「たった今現地から、気象情報の連絡がありました。
キスカ島周辺は今、霧で覆われているとの事です」

座蒲郎「霧が?それで、その霧はどのくらい持ち堪えますか?」

陸軍少将「現地観測係りの推測によりますと、8月の中旬辺りまでは大丈夫との連絡です」

どうやら現地から連絡が入り、キスカ島の周辺は霧で覆われているとの事だった。

座蒲郎「長門、今日は何日だっけ?」

長門「7月13日だ」

ここ(横須賀鎮守府)からキスカ島辺りへ向かうには、片道でも2週間は掛かる。
そうなると……

座蒲郎「よし。明後日の7月15日未明に出撃する!長門、参加艦隊の各艦に通達。“作戦発動に備え、出撃準備に掛かれ。”っと」

長門「承知した」

座蒲郎「陸奥、大淀に作戦参加艦隊の各旗艦を招集するよう伝えてくれ」

陸奥「任せて」

陸軍少将「ついに来ましたね、提督」

座蒲郎「どうやら、そのようですね」

長門と陸奥にそう伝えて、直ちに取り掛かる。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

『……』

そして作戦に参加する艦体のそれぞれの旗艦。
第一攻略部隊は第一艦隊の金剛と第二艦隊の榛名、第三水戦の神通と第八艦隊アイオワ。そして第二攻略部隊は第四艦隊の伊勢と第五艦隊の扶桑、第一航空機動部隊の雲龍(改仕様)と第一打撃支援艦隊の大和。この合計8人が揃った。


座蒲郎「今回集まった理由は察しがつくと思うが、第二次北方作戦の発動だ」

榛名「それでは提督、ついに発動の時が来たのですか?」

俺は単刀直入に用件を言って、榛名の言葉に更に続けた。

座蒲郎「その通りだ。明後日の7月15日の05:00に各艦隊は出撃。
第一攻略部隊は無線封止のまま高速で海域に突入し、敵の本丸へと急襲する。第二攻略部隊は低速のまま北上し、途中の津軽海峡で陸軍の制圧部隊と合流。これを護衛しながらアムチトカ島を攻撃、これを制圧する。
これが今回の作戦の主な内容だ。何か質問はある?」

霧島「先の前哨戦では提督はこの鎮守府で指揮を執ったと聞いてますが、今回もこちらで指揮を執られるのですか?」

座蒲郎「いや。今回は同行するこちらの陸軍少将と共に座乗し、艦上で指揮を執る。金剛、君の艦体に座乗させてもらうよ」

『!』

金剛「オウ!ミーに⁈
イェーイ!それはお安い御用ネー‼︎」

北方海域に住み着く敵を駆逐する《第二次北方作戦》の発動日時の通達だ。前哨戦では緊急でここで指揮を執ったけど、今回は俺も艦に座乗して陣頭指揮を執る事にする。そしてその艦は、第一艦隊の旗艦の金剛に最初から決めていた。


座蒲郎「他に質問は?」

『……』

他の質問はみんなには無いみたいだから、これで全て決まった。

座蒲郎「では7月15日の05:00(マルゴウマルマル)をもって出撃する。
他の諸連絡は当日説明する。では解散!」

『はっ!』

通信に関する話は当日にするとして、今回はここで解散させた。

ーーーーーーーーーーーーーーー

その後、作戦決行日を上層部に通達し、陸軍からの了解もあって、決行日は7月15日で決まった。

___________________


そして、決行当日の7月15日の04:30(マルヨンサンマル)



≪ゴゴゴゴゴゴ……≫

艦体が置かれてる工廠では艦隊出撃の為に、艦娘達の艦体を海へと出す機械が休みなく動いていた。

座蒲郎「それじゃあ、留守は頼むよ。何かあったら必ず連絡してくれ」

長門「承知した」

陸奥「任せておいて」

大淀「お気を付けて」

金剛「ヘーイ、テートク〜!早くするデース‼︎」

座蒲郎「分かった分かった、今行くよ!」

留守を長門達に任せ、金剛に急かされて金剛の艦体へと向かった。

ーーーー

≪カッカッカッカッ……≫

金剛「テートク〜!こっちデース‼︎」

陸軍少将「……」

座蒲郎「分かってるよ、今行くから」

長門の時と同じように階段を上って、金剛の艦体の甲板に到着。そして艦橋構造物前にて急かす金剛とやれやれな顔を浮かべてる陸軍少将の後について艦橋構造物内に入って行った。


≪カッカッカッカッ……≫

金剛「テートク、ここが私の艦橋デース!」

座蒲郎「へぇー、ここが金剛の艦体の昼戦艦橋か」

金剛に案内されて到着したのは、操艦と艦隊の指揮を執る艦橋。ガラス付近にはネットで見たような羅針盤等の機器、そして中央には舵取装置がある。


座蒲郎「さて」

≪スッ≫

早速俺はヘッドフォンマイクを付け……

座蒲郎「金剛、準備は?」

金剛「モ〜チロン!ツイデに〜、各艦共に準備オッケーデース!」

座蒲郎「よし、発進せよ!」

準備が出来てるか金剛に聞き、準備完了である事を確認して発進を号令。

金剛「オッケーイ!金剛、テートクの名のもと出撃デース‼︎」

≪ゴゴゴゴゴゴ……ガコンッ……ズザザ〜〜……≫

それと呼応して台車が動き出し、あっという間に着水。


金剛「第一艦隊旗艦金剛!発進ネー‼︎」

≪ザザ〜〜〜……≫

着水したと同時に艦体が動き出し、更に30分後の05:00には攻略部隊全艦が進水した。

金剛「テートク!全艦準備完了ネー‼︎イツデモ出撃出来マース‼︎」

座蒲郎「よし、全艦に告ぐ!これより、第二次北方作戦を発令する‼︎
目的地はアムチトカ島近辺の敵艦隊だ!攻略部隊、全艦発進せよ‼︎」

『了解!』

≪ザザ〜〜〜……≫

艦橋にて金剛から準備完了の報告を受けた俺は、第二次北方作戦の発令を宣言して、全艦に出撃を命令し、攻略艦隊は北方海域に向け出撃した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第二次北方作戦遂行の為に招集・編成した攻略艦隊。その陣容は……
中枢を担う第一攻略部隊が戦艦5隻と空母5隻に巡洋艦5隻と駆逐艦9隻。
陸軍部隊を護衛する第二攻略部隊は戦艦5隻と空母7隻、巡洋艦4隻と駆逐艦8隻。
推計48隻から成る大艦隊だ。


座蒲郎「第一攻略部隊は、対潜・対空・対水上警戒を厳にしつつ、速力20ノットで北上!
第二攻略部隊は15ノットを維持して、津軽海峡に集結している陸軍部隊と合流したら、速力20ノットでアムチトカ島に向かえ‼︎」

『了解(デース)!』

≪ザザ〜〜〜……≫

それから全艦に号令して、数分後には艦隊は鎮守府近海を出て北方海域へ進路をとった。

ーーーーーーーーーーーーーーー

≪ザザ〜〜〜……≫

そこからは別行動で、第一攻略部隊は速力の関係で第二攻略部隊と距離を放し、数時間後には100km近い距離をあけていた。

陸軍少将「速力が5ノット差だからか、かなりの間隔が空きましたね」

座蒲郎「当然でしょうね。
第一部隊は高速艦ばかりですが、第二部隊の主力は低速艦ばかりですからね。
以前大改修を行いましたが、それでも29ノットが良いところでしたし。オマケに航続距離の問題で20ノットでも心配ですから、向こう(第二攻略部隊)は15ノットが良いところですよ」

陸軍少将「そうでしたか。ならば仕方ありませんね」

第一,第二攻略部隊との間に距離が空いてる事についての陸軍少将のコメントに対して、俺は俺なりの意見を述べる。
第一として、大改修で速力は上がったものの、第二攻略部隊の戦艦は元は皆低速艦ばかり。オマケに航続距離もマトモに伸びなかった。
途中で補給は出来るかもしれないが、第二攻略艦隊を低速航行させたのはいざという時に備えての策だ。


座蒲郎「ところで金剛、予定だといつぐらいで肉迫出来るの?」

金剛「ん〜と…そうデスネー……大体2週間後の朝方と思いマース」

座蒲郎「そうか。
なら北方海域に突入するまで第一攻略部隊は無線封止、各艦隊とは発行信号で連絡を取り合え。
第二攻略部隊との回線は常に開いておけ、いつでも連絡出来る様にね。
それと、各艦隊は航空機による哨戒と艦隊直掩で対空・対潜・対水上警戒を厳にしろ。電探とソナーも積極的に使え」

金剛「了解ネー!」

座蒲郎「……」

およそ2週間ほどか……先は長いな……
陸軍少将に対する意見を述べた後に金剛に現地の到着予定日を聞いて、各艦隊に警戒を促す命令を出し、とこまでも真っ青な空を見て心の中でそう思った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

……アナザーサイド……



一方の横須賀鎮守府



『……』

座蒲郎と主力艦が作戦で出払ってるせいか、横須賀鎮守府では普段は無い静けさが流れていた。

「「「……」」」

それは執務室も例外ではない。


陸奥「なんかこう静かだと、提督が来る前を思い出すわね」

長門「そうだな。確かに提督が来る前もこんな感じだったからな」

大淀「っと言いましても、艦隊が出撃してるしないに関係無く静かでしたが……」

長門「それを言われたら否定出来んがな……」

加えて言うなら、座蒲郎が来てから増えたとはいえ、執務室に出入りする艦娘はもとから少ないからか特に静かだ。ここが賑やかになるのは滅多に無い。
もし騒がしい者の名を出すなら……


那珂『は〜い♪みんなのアイドル、那珂ちゃんだよ♪‼︎』

ライブをやってる那珂くらいだ。けれど本人は作成に参加して今は居ない。


大淀「よくよく考えてみれば、煩い方が居ましたね……」

長門「うむ……」

陸奥「確かに、あの子はねぇ……」

肝心な存在を忘れてたことに全員はひきつった顔を浮かべる他無かった。
とはいえ今は居ないが……


陸奥「そういえば提督、大丈夫かしら?
自分から陣頭指揮を執るとか言ってたけど……」

長門「まぁ仕方ないだろうな。もとより、いつか陣頭指揮を執ることになるとか言ったのは私だからな」

大淀「とはいえ……あの提督の事ですから、心配は無いでしょうけど……」

長門「不安だけが残るな」

「「……」」

座蒲郎を戦場に送り出した事に不安が残るものだったが、過ぎた以上は仕方ないから、今の彼女達に出来る事はみんなの帰還を祈るばかりだった。

____________________


……主人公サイド……



それから5日が経過した7月20日の09:00(マルキュウマルマル)



一方の第一攻略部隊は、陸軍部隊が集まる津軽海峡にて燃料と弾薬,物資の補給を行うと共に、陸軍部隊の指揮官と会合していた。

陸軍中将「お初にお目にかかります、沢小路提督。
私が制圧部隊の指揮官です」

座蒲郎「初めまして、横須賀鎮守府の沢小路です」

陸軍少将「キスカ島守備隊の参謀です」

部隊指揮官の陸軍中将は向こうでの父さんくらいの歳で、堅苦しい挨拶をして来たものの何か豪胆でフレンドリーな風貌の人だった。


座蒲郎「後ほど第二攻略部隊が到着しますから、陸軍はその部隊に随伴して下さい。
それと、彼女達に危害を加えないで下さいね?幾ら彼女達でも、そう器が大きくないと思いますから」

陸軍中将「無論です、そのくらい承知の上です」

一応陸軍内で何度もミーティングを行ったって聞いてたけど、一抹の不安はやっぱりある……

座蒲郎「では俺は物資の搬入に立ち会いますからこれで……」

陸軍中将「はい、ここは任せて下さい」

なんか居づらくなったから俺は席を外すとした……



……アナザーサイド……



それから…


陸軍中将「貴様個人の意見が聞きたい。あの沢小路提督、どう思う?」

陸軍少将「若手としては出来てると思いますよ。何より部下を大事になさるお方でしたから」

陸軍中将「そうか……」

陸軍少将「しかし、あんな若者を戦場に出す世の中になってしまうとは……」

陸軍中将「情けない話だな……」

彼らは座蒲郎の件で話し始めた。陸軍でも、彼のような若者を戦場に出すのは辛い話だったのだ。
現に制圧部隊の大半が2,30代程の若者ばかりだった。


陸軍少将「とはいえ、状況が状況ですから……」

陸軍中将「仕方ない話なのは当然分かってはいるがな……」

現在は手が足りないといった理由で若者を徴用するような世の中になって来た事に不満は陸軍のみならず海軍でも同じ話だが、それでも仕方ない以上は現実を受け入れるしかないのが軍では陸軍海軍共に同じ事だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

……主人公サイド……



金剛「テートク、燃料と弾薬の補給オーヨビ…物資の搬入完了デース!」

座蒲郎「よし、では第一攻略部隊は北方海域への進行を再開する!全艦発進せよ‼︎」

『了解!』

同日の11:00(ヒトヒトマルマル)
補給と物資の搬入が終わり、艦隊はアムチトカ島を目指して津軽海峡を後にし、北方海域へと航路をとった。



……アナザーサイド……



陸軍中将「何も起こらんといいのだがな……頼みますよ、沢小路提督……」

一方、艦隊を海岸で艦隊を見送った陸軍中将は不安を感じながらも座蒲郎への期待を抱きながら青く染まる空を見上げていた。


(続く) 
 

 
後書き
次回は北方大海戦。北方海域における一大決戦展開への序章。 
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