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春の歩道

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4部分:第四章


第四章

10.希望と絶望
 人には二つのものがいつも側にある

 希望と絶望  その二つがいつも

 落ち込むこともあれば楽しむこともある

 その二つが人から離れることはない

 絶望はしたくない希望だけがいて欲しい

 そう思うのが常だけれど

 絶望があるから希望もある
 
 この二つが離れることはない

 その二つと共にいるのが人なのだから

 それを受け入れて生きるしかない

 希望も絶望も一緒にいるけれど

 二つの狭間で生きていくんだ

 
 人にいつも一緒にいる二つのもの

 希望と絶望  それは離れはしない

 前が見えなくなったり見えたりするけど
 
 いつもどちらかだけがいるわけじゃない

 できれば希望だけが側にいて欲しいさ

 けれどそれだけだと

 人は楽しさがわからない
 
 だから絶望もいるんだ

 希望も絶望も鏡合わせのものだから

 必ずどちらかを見てしまう

 それが人間というものなのだから

 その二つの中を泳いでいくんだ


 その二つと共にいるのが人なのだから

 それを受け入れて生きるしかない

 希望も絶望も一緒にいるけれど

 二つの狭間で生きていくんだ


11.二本の梅
 白い梅と赤い梅

 二本の梅が庭に咲いていた

 それを見て笑っている二人の女の子は

 この家の女の子達だろうか

 今は小さいあの娘達も

 やがて大きくなって奇麗な姿になる

 その時今彼女達が見ている梅は

 今と同じように奇麗に咲いているだろう

 梅も女の子も奇麗に咲いて

 また笑っているのかはわからない

 けれど今梅は咲いて女の子は笑っている

 その今は確かにここにある

 
 赤い梅と白い梅

 それぞれが奇麗に咲いて

 二人の女の子は仲良く並んでみている

 姉妹だろうかその顔は

 実によく似ていて可愛い
 
 梅もその花の色だけが違っていて

 どこから見ても姿形は全く同じもの

 女の子達は奇麗になるが梅はこのまま

 春になったらまた咲いてくれる

 女の子達はその梅で春を知り

 またこうしてこの庭で笑うのだろう

 今見ているこの時を思い出して


 梅も女の子も奇麗に咲いて

 また笑っているのかはわからない

 けれど今梅は咲いて女の子は笑っている

 その今は確かにここにある


12.桜の別れ
 夜に一人  桜の並ぶ中に一人

 ただ一人で歩くその時は  ただただ寂しい

 そんな中で見る桜は  静かにそこにあるだけ

 花びらが舞い  僕の肩に落ちる

 その花びらを手にして想うのは

 この桜はすぐに散るということ

 ずっと咲いて欲しいのに桜は散る
 
 儚く  誰も待たずに散っていく

 それからまたずっと出会えずに過ごす

 桜は儚く散って何も告げない

 せめて一言だけでも言い残せば別れも辛くないのに

 
 夜に出会う  突然の桜吹雪

 そこにいるのは僕だけで  桜達があるだけ

 桜達は語りはしない  ただ花は散っていく

 花は散って  僕の手にも一枚
 
 散った花は二度と戻らない

 いつもそのまま別れになる

 けれどそうだからこそ桜は美しい

 潔く  美しい別れがそこにある

 また会えることを密かに知らせて

 桜は潔く散って何も残さない

 けれどその別れが他の何よりも奇麗でいとおしい


 桜は儚く散って何も告げない

 せめて一言だけでも言い残せば別れも辛くないのに
 
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