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ジェレミー=フィッシャーさんのお話

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第四章

 事情を理解してです、ご主人に言いました。
「常連さんへのそれね」
「まさにサービスだね」
「そうしてもらったのよ」
「ううん、じゃあ今回は」
「馴染みのお店だからね」
「そういうことだね」
「そうね、そうしたお店があると」
 それこそと言う奥さんでした。
「こうした時は助かるわね」
「そうだね、馴染みのコートを買い換えずに済んで」
「それどころか安く仕立ててもらえる」
「それも馴染みのお店だからね」
「そうしたお店があるから」
 それ故にというのです。
「今回はそうなったわ」
「ううん、前はコートの味に助けられて」
「馴染みのお店に助けてもらって」
「あなたは何かと運がいいわね」
「うん、神様がもたらしてくれたのかな」
「そうかも知れないわね」
「では」
 フィッシャーさんは悟った顔で言いました。
「神様にその幸運を感謝しよう」
「それじゃあ二人で今から」
「いた、こうした時は子供達も呼んでだよ」
「家族でなのね」
「神様に感謝しよう」
「家族全員でお祈りを捧げるのね」
「そうするべきだけれどどうかな」
 奥さんに微笑んで言うのでした。
「ここは」
「そうね、それがいいわね」
「じゃあね」
「今から子供達を呼ぶわ」
「皆もう寝たかな」
「まだ晩御飯前だから」
 これからです、丁度今調理が終わってテーブルの上に出すところです。
「自分達のお部屋にいてね」
「遊んでるんだね」
「じゃあその晩御飯前に」
「皆で十字架のところに行くんだ」
 お家の中にあるそれの前にです。
「子供達も一緒に」
「そして神様に感謝のお祈りをして」
「それから晩御飯にしよう」
「その晩御飯はね」 
 奥さんは今度は晩御飯のお話をするのでした。
「今日は豪勢よ」
「おや、どんなのかな」
「お魚のフライに鳥肉のローストにポレトサラダとオニオンスープ」
「色々あるね」
「それにパンは買いたてのふかふかよ」
 そうしたパンだというのです。
「そしてデザートはパイよ」
「何のパイかな」
「苺よ」
「ううん、余計にいいね」
 苺のパイと聞いてです、また言ったフィッシャーさんでした。
「大好物ばかりだよ」
「ではお祈りの後で」
「神様に感謝しないとね」
「あら、またなのね」
「うん、お祈りをすることになるかな」
「いや、お祈りはね」
 その時はと言った奥さんでした。
「食べる前にするから」
「これからだね」
「その時に一緒にお祈りすればいいから」
「そうだね、確かに」
「うん、ではね」
 フィッシャーさんは奥さんの言葉に頷きました、そうしてです。 
 子供達も呼んで実際にお祈りをしてでした、それから晩御飯にかかりました。フィッシャーさんの大好物ばかりのそれを。


ジェレミー=フィッシャーさんのお話   完


                      2016・2・11 
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