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Blue Rose

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第八話 安息日にその三

「私が」
「いや、そこはでは言わないけれど」
「それでもズボンが多いわね」
「実際にね」
「そうよね、まあとにかく優花もね」
「うん、僕もだよね」
「着替えてね」
「わかってるよ」
 優花は姉のその言葉にもにこりと笑って返した。
「じゃあ僕もね」
「着替えてね」
「九時の開園までにだね」
「行きましょう」
 こう話してだった、そのうえで。 
 二人は実際に歯も磨いて顔を洗ってだった、外出用の服に着替えて。
 そしてだ、二人で戸締りもしてだった。八条学園に向かった。
 八条学園に来るとだ、二人はまずは動物園に向かった。その前に来るとだった。
 丁度門が開いたところだった、優花はそれを見て微笑んで姉に言った。親子連れが明るい笑顔でぞろぞろと入っている。
「本当にね」
「丁度いい時ね」
「そうよね」
 また喋り方が変わった優花だった、だが。
 優子はその弟に何も言わずだ、共に中に入りそのうえでだった。
 優花にだ、あらためてこう尋ねた。
「最初は何を観るの?」
「入り口から観ていこう」
「じゃあまずはキリンとかをなのね」
「それに象だね」
 そうした動物をというのだ。
「観ていこう」
「それからよね」
「そう、色々な動物を観ていこう」
「わかったわ、じゃあね」
 こうしてだった、二人は動物園の動物達を観て回り。
 水族館、博物館を通ってだった。博物館を出たところで昼食を食べたが。
 優子は共にベンチに座って食べている弟にだ、こんなことを言った。
「最初に三つ回ったのはね」
「うん、かなり無理があったかな」
「そう思うわ、けれどね」
「けれど?」
「午前中にかなり歩いたから」
 だからと言うのだった。
「今サンドイッチが美味しいわね」
「そうだね、歩いた分ね」
「それだけね」
「そう、けれどね」
 優花も食べつつ笑顔で言う。
「こうして美味しく食べられるね」
「ええ、後はね」
「美術館だね」
「食べてすぐに行くわよ」
「それでその後は」
「鉄道博物館に行くわよ」
「最後は植物園になるね」
「その予定よ」
「植物園に行ったら」
 優花はその最後の時も考えていた。
「色々なお花観たいね」
「特に薔薇がよね」
「うん、やっぱりね」
「優花は薔薇が一番好きよね」
「何といってもね」
 その大好きな花達の中でもというのだ。
「薔薇好きだよ、僕」
「そしてその中でも」
「青い薔薇がね」
 この薔薇がというのだ。
「一番好きだよ」
「そうよね、じゃあ」
 そう聞いてだ、優花は。
 一人意を決した顔になりだ、こう言った。 
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