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ドリトル先生北海道に行く

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第八幕その三

「うん、満腹したよ」
「そうだろうね、そこまで食べたら」
「流石にそうなわね」
「けれどメロンまでね」
「ちゃんと食べたね」
「いや、美味しかったよ」
 至高の笑顔で言った先生でした。
「満足したね」
「だろうね、じゃあね」
「御飯を食べ終えたし」
「後はね」
「お風呂に入って寝よう」
「そしてまた明日だね」
「明日はね」
 その明日のこともお話する先生でした。
「午前中に話したけれどアイヌの人達のことでね」
「あっ、行くんだ」
「アイヌの人達のところに」
「そうするんだ」
「うん、最初から決めていたんだ」
 北海道に旅行に行くと決めたその時にです。
「もうね」
「早いね」
「その時からだったんだ」
「アイヌの人達のところに行くことを」
「決めていたんだ」
「その土地に来たらね」 
 その時はというのです。
「やっぱりね」
「その土地のこと、そして人のことをだね」
 王子が自分の残っているワインを飲みつつ先生に尋ねました。
「見ないとだね」
「そうすべきだからね」
「先生らしい考えだね」
「僕らしいっていうと」
「先生は学者だからね」
 それでというのです。
「そうした考えに至るのがらしいよ」
「そうなんだね」
「アイヌの人達のことは僕も聞いてたし」
 それにという王子でした。
「八条学園の博物館にも資料があるよね」
「あそこにある資料はかなり充実しているね」
「アイヌの人達の服や風俗習慣のことがね」
「よくわかる」
「だから僕も知っていたけれど」
 王子はワインを飲みつつお話をします、お酒は入っていますがあまりお顔には出ていないです。このことは先生とトミーも同じです。
「ちょっとね」
「ちょっとっていうと」
「この目でアイヌの人達を見るのはね」
 そのことはというのです。
「はじめてだよ」
「お話をすることもだね」
「若しその機会があったら」
 王子は目を輝かせて言いました。
「是非にだね」
「じゃあ明日はだね」
「楽しみだよ」 
「王子も楽しみなんだね」
「というと先生も」
「うん、アイヌの人達のことを詳しく聞いて」
 他ならぬアイヌの人達自身からです。
「学びたいよ」
「ではね」
「うん、明日行くよ」
 先生は明るいお顔で言うのでした、その後で。
 お風呂に入ってそうしてホテルのベッドでゆっくりと休みました。そしてホテルのビュッフェ形式の朝食を楽しんで。
 王子のキャンピングカーに皆で乗り込みました、そのうえで。
 先生は王子にアイヌの人達の場所が書かれている地図を手渡しました、すると王子はすぐに納得したお顔で言いました。
「あれっ、近いよ」
「このホテルからだね」
「うん、すぐそこじゃないか」
 王子は地図を見つつ先生に答えました。
「遠いと思っていたら」
「近いのなら行けるね」
「そうだね、ただね」
「ただ?」
「先生どうもね」
 先生のお顔を見つつ言った王子でした。 
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