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異世界系暗殺者

作者:沙羅双樹
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攻略の時間

 
前書き
今回は原作「殺しの時間」です。(笑)

少しだけ原作と変化があります。(笑) 

 



【視点:樹】



椚ヶ丘中学特別夏期講習2日目の晩。夕食前に1時間10分掛けて行われた「納涼!!ヌルヌル暗殺肝試し」が漸く終了した訳なんだが、その際にあることが判明した。

それはビッチ先生が烏間先生に惚れているという事実だ。まぁ、俺を含めたE組全員が薄々感付いていた事実だった為、あまり驚きもしなかったが……。

ちなみに、俺がこのことに感付いたのは夏休みに入ってからで、そのことをクラスの奴に言ったら―――


「「「「「「「「「「気付くの遅ッ!!」」」」」」」」」」


と言われた。どうやら他の奴らは、ロヴロさんが初めて現れた通称:烏間先生模擬暗殺事件の少し後くらいからビッチ先生の気持ちを察知していたらしい。

そして、椚ヶ丘グランドパークでの一件(デートの時間参照)から分かる様に、E組の連中は恋愛ごとに関してかなりゲスく、案の定烏間先生とビッチ先生をくっつける作戦を開始し始めた。

夕食が21時からということもあり、俺を含めた全員が水着から着替え終えると、宿泊しているホテル1Fの待合所でビッチ先生も交えて、まずは烏間先生攻略会議を始めた。


「ってか、今の烏間先生とビッチ先生の関係って、意外に思えて実はそうでもない感じだよな」
「何言ってんだ、イッキ?ビッチ先生が男を自由自在に操れることを考えたら意外だろ?」
「そうだよ。自分の恋愛に奥手なビッチ先生とか普通は想像できないって」
「いや、正義に茅野。烏間先生のことをよく考えてみろ。あの人はエア●ギアに登場するキリク並―――いや、ムッツリ部分すら排除されているからキリク以上か?
取り敢えず、世界(ワールド)級の堅物。F●teシリーズの第4次聖杯戦争にサーヴァントとして召喚されたら、堅物王や堅物皇帝として聖杯問答に招待されてもおかしくない堅物なんだぞ?そんな堅物に色仕掛け(ハニートラップ)が利くと思うか?」
「あー……」
「そう言われると、確かに……」


俺が烏間先生の堅物っぷりの力説すると、正義と茅野だけでなく、その場に集まっていたE組全員が納得した。また―――


「イツキの言う通りよ!男を落とす技術なら千を超えてるから、色仕掛け(ハニートラップ)で他の暗殺者に負けない自信が私にはあったの!
それなのにカラスマってば性的な意味で私のことを女として見ないのよ!?で、ムキになって本気にさせようとしてる間にこっちが……」


俺の発言に同調したビッチ先生が怒りで顔を赤らめ声を荒らげていたかと思えば、その声も徐々に小さくなっていった。

で、完全に黙り込んだ時には別の意味で顔を赤らめていて、そんなビッチ先生の普段見せない純情な反応にE組男子の何名かはときめき―――


「「「「「「「う……」」」」」」」
「い、一瞬でも可愛いとか思っちまった」
「何て言えばいいんだ?屈辱?」
「なんでよ!!?」


その男子の発言にビッチ先生は軽くキレた。怒り15段活用で表現するなら、2段目のマジおこに相当する怒り程度だろう。

まぁ、男子――友人と三村の発言が失礼極まりなかったことを考えると、ビッチ先生のキレ加減はかなり優しい方だと思う。

俺がビッチ先生の立場なら怒りの12段目――超新星・ムカおこエンドオブエンシェントジェノサイドブレイバァァァ、になってデリンジャーぶっ放してるわ。

まぁ、何はともあれビッチ先生は本当の意味での恋愛に関して不器用な人ってことだ。色仕掛け(ハニートラップ)系暗殺者としての経験が邪魔になって、素直な気持ちを表に出せないんだろう。

って、あれ?未だに会議らしい会議してないんだけど?これって烏間先生攻略会議の筈なのに、今の所烏間先生をディスってしかいない?

俺がそんなことを考えていると、七三ヅラに眼鏡、スーツ姿の殺センセーが計画の司会進行を始めた。殺センセー、ノリノリだな。


「ノリノリね。タコ」
「生徒だろうと教師だろうと、E組にカップルが増えるのは良いことです。特に大人のカップルは愛欲に溺れた男女の甘酸っぱい純愛小説が描けそうです」


……そういえば、下世話な殺センセーは3学期までにE組全員の恋話をノンフィクション小説で出す計画を立ててたな。烏間先生とビッチ先生をネタにエロ小説を構想してやがる。


「ってか、ビッチ先生。服の系統が烏間先生の趣味とあってないんじゃない?」
「確かに。ビッチ先生は取り敢えず露出しとけばいいや的な感じだよね。日本人好みじゃないかも」
「ああ。烏間先生みたいな堅物日本人は、露出系より清楚貞淑系が好みかもな」


クラスの女子がビッチ先生の派手系キャバ嬢みたいな服装を指摘し、俺もそれに便乗して烏間先生の女性の好みを予想して口にする。


「むむぅ、清楚貞淑系か」
「清楚っていえば、やっぱ神崎ちゃんでしょ。昨日着てた服、乾いてたら貸してくんない?」
「あ、う―――」
「ちょっと待った!」


中村が有希子に昨日着ていた清楚系お嬢様風の服を持って来る様に指示した瞬間、俺は待ったを掛けた?


「どうしたの、イッキ?もしかして、自分の彼女の持ち物は同性でも使わせたくないとか?」
「いや、待ったを掛けた理由はそんなんじゃない。菅谷、絵を描ける様な紙2枚とペン持ってないか?」
「え?あ~、文庫サイズのメモ帳とペンなら持ってるけど?」
「それでいいから貸してくれ」


俺の急な要望に菅谷は戸惑いながらも応え、ジャージのポケットから文庫サイズのメモ帳とペンを取り出し、渡してくれた。

メモ帳とペンを受け取った俺は、高速でメモ用紙に清楚系お嬢様風の服を着た有希子の絵と、同じ服を着たビッチ先生のイメージ絵を描いた。


「……取り敢えず、女子だけ集合」
「どうしたの、イッキ?」
「なになに?」
「まず、これが昨日の有希子の姿だ」
「上手ッ!僅か数十秒で描いた絵なのに上手ッ!!」
「クオリティ、高ッ!」
「で、これが昨日有希子が着ていた服を着たビッチ先生のイメージ絵だ」
「エロッ!同じ清楚系の服なのに、ビッチ先生が着たら清楚系の服が逆にエロッ!!」
「別に服が悪いんじゃない。有希子とビッチ先生じゃ、サイズが合わないんだ。身長で10センチ以上の差があるんだからな。同じ服着ても同じイメージになるとは限らない」
「成程……。ところでイッキ君、何でそのことを絵で――しかも、女子だけ集めて説明したの?」


俺が女子一同に絵で服の問題点を指摘し終えると、最後に茅野が質問してきた。


「こんな絵、男子―――特に岡島なんかに見せたら、有希子がエロい目で見られるかもしれないだろ?ビッチ先生に実際に着て貰うなんて論外だ」
「……確かに。ビッチ先生の絵を見た後だと、岡島君辺りが神崎さんを変な目で見そうだよね」
「イッキの奴、どんな絵を描いたんだ?すげぇ気になる」
「クソッ!清楚系の服がどうしたらエロくなるのか、全くイメージできねぇ!!」


俺が茅野の質問に答え終えると、陽斗と岡島が俺の描いた絵のことを気にして、頭を抱えていた。そんな2人に女子一同が冷たい視線を向けるのはある意味デフォだろう。

ちなみに、この2人以外に俺の絵のことを気にしていたのがいる。友人と三村だ。ぶっちゃけ、挙動不審と言えるほど目が泳いでいた。このムッツリ共め!!

あと、菅谷も気にしてたっぽいが、菅谷の場合は純粋に美術(というか絵の技術?)的な意味で気になってるっぽい。他の誰にも見せないと約束するなら、ビッチ先生の絵を菅谷にやっていいと思う。


「……まぁ、ビッチ先生がエロいのは仕方ない!大切なのは乳より人間同士の相性よ」


陽斗と岡島に冷たい視線を送り、呆れながらそう告げる岡野に対して、茅野が頭の取れそうな勢いで首を縦に振って同意している。茅野、お前のその乳に対する執着は何だ?何か殺センセーっぽいぞ。


「ぶっちゃけ、俺がさっき言った清楚貞淑系ってのも好みの予想でしかないしな。誰か烏間先生の女性の好み知ってる奴いるか?」
「そういえば、前に烏間先生がTVCMの女性をベタ褒めしてたの見たことあるよ。確か――」


取り敢えず、茅野の乳に対する執着を無視して俺がクラスの奴らに尋ねると、矢田が重要な情報を提供してくれた。しかも、都合よく待合所に設置されているTVにそのCMが流れた。


「この女性(ひと)だよ。「俺の理想のタイプだ」って言ってた!!」


CMに映っていたのはボディービルダーと思える様な腹筋の割れた女性だった。


((((((((((理想の戦力じゃねーか!!))))))))))
「……矢田。これは理想の女性じゃなくて理想の戦力だと思うぞ」
((((((((((言ったー!!イッキの奴、言ったーー!!!))))))))))
「だが、万が一にも筋肉質な女性が好きという可能性もあり得る」
「柔軟性の欠片も無い巌の様な女をか?」
「好みは人それぞれだ。その場合、ビッチ先生の筋肉じゃ絶望的だね」


竹林の憶測にツッコミを入れるも手持ちの情報が少な過ぎる為、烏間先生の好み漢女説を否定することもできなかった。


「じ、じゃあ手料理はどうですか?ホテルのディナーも豪華だけど、敢えて烏間先生は好物で攻めるとか」
「俺、烏間先生がジャンクフード以外のものを食べてる所って殆ど見たこと無いんだけど?まともな食事をしてたのなんて、今朝の朝食バイキングくらいじゃね?」
「その時は何食べてたの?」
「すっげぇ一般的な食事。カットされたフランスパンとスクランブルエッグ、ソーセージ。リーフとトマト、コーンの入ったサラダ。あと、ポタージュスープとコーヒーだった」
「本当に一般的だな。普段のハンバーガーやカップ麺と同じ位参考にならねぇ」


で、この後も会議は続いたんだが、結局の所烏間先生が付け入る隙のない難攻不落の堅物であることが分かっただけで、クラス全員による烏間先生ディスりタイムに突入。

最終的には男子がムードのいい場所――夜空の見える屋外に2人の席をセッティングし、女子が堅物日本人の好みそうな服をコーディネートすることで落ち着いた。

そして、ディナー開始時間。なんとか烏間先生をビッチ先生の待つ屋外席に誘導すると、俺達はことの成り行きを見守る為、屋外席の見える窓に集まる。

ビッチ先生の姿は普久間殿上ホテルに突入した際に来ていたドレスに原作の即席ショールを組み合わせ、髪型も普段見せることの無いポニーテールにしている。

食事開始直後、ビッチ先生は20歳という歳相応の笑顔を浮かべていた。が、食後のコーヒーに突入した直後、その表情は一瞬にして悲しげなものに変わった。

大方、堅物皇帝が雰囲気も考えずに仕事の話でも始めたんだろう。俺もあまり人のことをとやかく言える立場じゃないが、第三者として見ていると正直イラつく。

で、真面目な話をしてたっぽいビッチ先生が話を終えると、髪紐を切って席を立ち、ナプキン経由で烏目先生と間接キスをしてから俺達のいるディナー用の食堂へと戻って来た。

戻ってきた直後のビッチ先生は、当然のことながらクラスのゲス組から大ブーイングを受け、少し前まで真面目な話をしていたこともあって、本日2度目のマジおこ状態となった。

まぁ、こんな感じで騒がしくも楽しく特別夏期講習最後の晩は終わった訳だ。あっ!ちなみにビッチ先生の絵は他の誰にも見せない条件で菅谷にプレゼントしたことをここで報告して置こう。(笑)


 
 

 
後書き
こんばんは、おはようございます。そして、こんにちは。沙羅双樹です。

今回は割と早く更新できて内心ホッとしています。(笑)

次話はオリジナル話にしようかと思ってるんですが如何でしょう?

イッキの財力でクラス旅行。旅行先はゆっくり楽しめなかった京都など有かと思ってます。(笑)

無論、泊まる所は由緒正しい旅館という設定。当然、泊まる部屋は大部屋ではなくペアの2人部屋。

もしかしたら、この話でイッキと有希ちゃんは男女の一線を―――(想像にお任せします(笑))

さて、話は変わりますがE組メンバー(教師含む)のコードネームをエア●ギアキャラで統一するとしたらどうなると思いますか?
(決まってるキャラもいるんですが、決まってないキャラも多いです)

南樹=カラス
神崎有希子=リンゴorクレイジーアップル
宝代律=枢
潮田渚=スピット・ファイア
茅野カエデ=巻貝
磯貝悠馬=空
片岡メグ=リカ
前原陽斗=宙orニケ
岡野ひなた=ベンケイ
赤羽業=(アギト)or凜鱗人(リンド)
木村正義=カズ
寺坂竜馬=ドントレス
岡島大河=オニギリ
堀部糸成=鵺
烏間惟臣=キリク

今の所思いついてるのはこのメンバーです。他のメンバーのコードネームでご意見を頂けると幸いです。 
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