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ドリトル先生北海道に行く

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第六幕その七

「匂いもいいしね」
「そうそう、食べなくても」
「この匂いがいいね」
 オシツオサレツはマトンを焼いた匂いを楽しんでいます。
「匂いも楽しめるのに」
「どうしてなのかな」
「どうもね」
 先生は日本人があまり羊を食べないことを不思議に思っている皆にそのことについての推察を述べます。
「日本人は明治維新からお肉を本格的に食べる様になったけれど」
「そのことが関係してるの?」
「そうなの?」
「日本人がお肉を食べるようになったことから」
「そのことからなの?」
「その時に牛肉や豚肉を食べる様になって」
 そしてというのです。
「その二つが主になってね」
「羊肉はなんだ」
「マトンやラムは」
「その次になって」
「それで」
「そしてマトンの匂いがね」
 それが、というのです。皆が好きなその匂いこそが。
「日本人には馴染まなかったみたいだよ」
「いい匂いなのに」
「それでもなんだ」
「日本人はマトンの匂いが好きじゃない」
「気に入らなかったんだ」
「何か前に話した料理漫画でね」
 その出て来るキャラクターが誰もがどうも品性のよろしくない人達の漫画のお話をここでもするのでした。
「マトンの匂いが嫌だから食べないって日本人が言ってニュージーランドの人と喧嘩する場面があったけれどね」
「いや、それは極端じゃ」
「普通そんなことで喧嘩しないわ」
「何でそんなことで喧嘩するの?」
「そんな理由で喧嘩していたらきりないよ」
「まあこの漫画はそうした人しか出ないからね」
 無教養で異常に短気な野蛮人しか出ないというのです。
「極端な事例だけれど」
「それでもなんだ」
「日本人はマトンの匂いは好きじゃない」
「そのことは確かなんだ」
 マトンの匂いがというのです。
「日本人には馴染まなくてね」
「それでなんだね」
「今もあまり食べていない」
「牛肉や豚肉の方がメジャーで」
「羊はずっと後なんだね」
「僕も好きだよ」
 先生はマトンをビールと一緒に楽しんでいます。
「こうしてね」
「そうそう、マトンっていいよね」
「焼いても煮ても美味しくて」
「お酒にも合うし」
「しかもカロリーは少ないし安いし」
「身体の脂肪を燃焼させてくれるしね」
「かなりいいお肉だよ」
 先生は太鼓判さえ押しました。
「本当にね」
「けれどそれでもだね」
「日本人は羊には馴染みがない」
「そうなんだね」
「昔と比べると多少は馴染んできたらしいけれど」
 それでもというのです。
「まだまだね」
「メジャーじゃない」
「そうなんだね」
「マトンはね」
「そしてラムも」
「うん、ラムもね」
 子羊のお肉もというのです。
「あまり食べられないね」
「どうしてもだよね」
「日本では」
「お肉は牛肉や豚肉で」
「あと鳥肉だね」
「そうなんだ、けれど決して珍しいお肉じゃないよ」
 その日本でもというのです。 
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