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Blue Rose

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第五話 姉の苦悩その十

「マスメディアは彼等だけではありません」
「中にはですね」
「悪質な捏造を繰り返す新聞もあれば」
 その大手新聞だ。
「ならず者しかいないタブロイド紙もあります」
「だからこそですね」
「警戒せねばならないです」
 絶対にという言葉だった。
「ですからこのことはです」
「絶対にですね」
「はい、私もです」
「そうしてくれますか」
「マスコミは権力を持ったならず者が多いです」
 これが日本のマスコミの実態だ、だから捏造報道を繰り返しても許されてきたのだ。
「そうした存在に気付かれれば」
「弟は、ですね」
「晒しものにされるだけです」
「そうですね」
「弟さんをそうした目に遭わせたくはないですね」
「絶対にです」
 優子の言葉はここでは強いものだった。
「それは」
「そうですね、それでは」
「院長先生もですか」
「そしてレントゲン科も主任先生もです」
 今はこの場にいないが秘密を知っているも一人もというのだ。
「それはです」
「同じですか」
「そうです」
 その通りという返事だった。
「ですからご安心下さい」
「それでは」
「こうしたことは信頼ですね」 
 院長はここでこうも言った。
「まことに」
「相手を信頼してですね」
「そこで任せられるかどうかですね」
「私は優花を、弟を信頼してですね」
「弟さんは蓮見先生を信頼してです」
 そのうえでというのだ。
「ことを為していくものです」
「私と弟がお互いに」
「そして私もです」
「院長先生もですか」
「はい、私もです」
 このことを言う彼自身もというのだ。
「若し私が信頼出来なければ」
「院長先生がですか」
「マスコミにこのことを漏らしてしまう様な者なら」
 それならばというのだ。
「信頼出来ませんね」
「それは」
 優子は院長の問いに答えることが出来なかった、あまりにもダイレクトで返答に窮するものであったからだ。
 その優子にだ、院長はあえて自分から言った。
「意図的にしろ不始末にしろ」
「そう言われますと」
「ことがことです」
 それだけにとだ、院長はさらに言った。
「ことを漏らす様ならば」
「信頼されるに値しない」
「そうです、ですから私もです」
「信頼出来る様でないとですか」
「なりません」
 決してというのだ。
「ですから」
「院長先生もですか」
「信頼に応えられる様にします」
「そうしてくれますか」
「ですからこのことはこの病院でもです」
「私と院長先生と、ですね」
「そしてレントゲン科の主任先生のです」 
 この三人だけの、というのだ。 
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