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Blue Rose

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第五話 姉の苦悩その一

                 第五話  姉の苦悩
 優子は連日酒浸りになっていた、泥酔し我を忘れずとまでは至っていないがだ。
 夜になると帰宅して買い込んだ酒を次から次に開けて飲む、それもウイスキーやブランデー、焼酎等強い酒をだ。
 肴も口にせず浴びる様に飲む、この日はバーボンを飲んでいた。
 リビングでひたすら強い酒を飲む姉にだ、優花はこの日も心配する顔で言った。
「また飲んでるの」
「悪い?」
「本当に身体に悪いよ」
「病院にいる時はいいのよ」 
「どうして?」
「仕事に専念出来て忘れられるからよ、それにね」
 優子はバーボンで酔いその顔を赤くさせていた、目にもその酔が出ていてその顔で言った。
「ジムで思い切り身体動かして忘れられるから」
「職員さん用のだね」
「そう、そこで思いきり汗もかいてるから」
「いいんだ」
「そう、忘れられるから」 
 だからだというのだ。
「まだいいのよ」
「何を忘れられるの?」 
 優花はキッチンの後片付けをしつつそのキッチンの隣のリビングのソファーに座って飲んでいる姉に尋ねた。
「それで」
「何をって?」
「今忘れられるって言ったけれど」
「あっ・・・・・・」
 言われて失言に気付いた優子だった。
 そしてだ、顔を曇らせてこう返した。
「ちょっとね」
「ちょっとって?」
「お仕事のことでね」 
 嘘で隠すことにして答えた。
「悩んでて」
「それでなんだ」
「そう、だからね」
 それ故にというのだ。
「最近家ではこうして飲んでるの」
「お仕事してジムで汗かいて」
「忘れたいことがあるから」
 その本人に言うのだった。
「だからよ」
「まあお仕事のことはね」
「ええ、わかるわよね」
「お医者さんは色々あるよね」
「まあね」
「命を扱うものだから」
「人の身体をね」
 医者の仕事のことをだ、優子は今は言った。
「診るものだから、ただ」
「ただ?」
「何が起こるかわからないから」
 この部分では嘘は言わなかった、ただし幾分隠してはいる。
「だからよ」
「悩んでるんだ」
「そうなのよ」
 ここでは嘘を言った。
「実はね」
「姉さんも色々あるんだね」
「これでもそうよ」
「じゃあ言うけれど」
「何を?」
「悩みがあっても」
「お酒はっていうのね」
 優子も弟の言葉の流れを読んで言う。
「飲み過ぎだって」
「そうだよ、最近特にじゃない」
「強いお酒ばかりね」
「前はそのバーボンだって一本だったのに」
「今はね」
「二本も空けて」
「昨日は老酒だったわね、その前はテキーラで」 
 自嘲めかしてだ、優子は飲んできた酒の種類も言った。 
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