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IS〜もしもの世界

作者:にゃーす
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46話

 
前書き
すいません、いろいろあり投稿が遅れました。
また遅れるかもですが温かい目で見ていただけるとありがたいです(´・ω・`) 

 
「ん・・・」

まぶたをゆっくりと開けて周りを確認する。
どうやら保健室だが周りをカーテンで仕切ってあるため見えない。

「・・・」

とりあえず、楯無さんの安否を確認するために何故か制服ではなく病院服なので自分の服を隣の籠から取り出して着る。そして先生に楯無さんの場所を聞こうとベットを降りるとどうやら他にも休んでいる人が居るらしくカーテンが降りていて仕切ってあった。そして機械の起動音と心拍を測っている音が聞こえるあたり隣の人も何かにあったらしい。

「・・・はて、まさかな」

はははと苦笑いをしてそっとカーテンを開けて中の人を確認するとやはり勘は当たっていた。

「・・・」

「・・すぅ、すぅ」


楯無さんは静かに寝息を立てて眠っていたが片方の腕には点滴を打たれているあたりやはり危なかったのだろう。自分の不甲斐なさに苛立ち、歯をギリっと噛みしめる。

「これくらい、許してくれるか」

そう言って楯無さんの点滴が打たれていない方の腕を優しく手に取り、床に膝をつきながら頭に腕をもってきて祈るように両手で握った。

「・・・」

無言で少しの間握っていたが織斑先生が来たので手を離す。だが自分には握っていたのは一瞬にしか感じられなかった。

「入るぞ。・・・枢木か。お前も休め」

「お気遣いありがとうございます。ですが良く休めたのか体が軽くなっているので大丈夫です」

それより。と捕まえた敵について問いただすと意外な答えが帰ってきた。

「・・・全員返したのですか?」

「ああ。どうせあいつらは何も知らんだろう。目的もある程度把握している。もともと吐く情報なんて持ってないのさ。あいつらはそういう奴らなんだよ」

「・・・悔しいですが俺よりも経験のある先生がそういうなら本当なんでしょう。ですが、次は・・・」

「次は、なんだ」

その言葉と共に鋭い目で睨んでくるが怯まずに答える。

「次は、殺す!」

そしてまた八つ当たりのように言葉を吐く。

「何も知らない?別に知らなくてもいい。あいつらの身内を吐かせてそいつらから必ず首謀者を割りだす!」

「何を言いだすかと思えばそんなことか。あいつらは身内の事なぞ吐くわけがない。それなら、死を選ぶだろうよ」

「普通ならそうでしょうね。だけどこの眼の前には誰も抗えない」

そう言って万華鏡写輪眼を解放して先生を睨みつける。負の感情が止まるどころか膨れ上がるのがはっきりと分かった。

「今回の襲撃はアメリカの特殊部隊でしょう。あっちは情報が早いですからね。先生がうるさいのも国際問題に発展するから返したでしょうがそこまでの奴らなら殺しても何にも問われないの明白なんじゃないんですか!」

「だがあいつらは小さなほつれからでもこちらの非を出そうとしてくるだろう。あくまで私たちを支援してくれているのは日本だ。だから日本政府からも圧力がかかる」

「っ!それならまとめてーー!」

その先を言いかける前に頭痛が走り頭を抱え目を閉じる。

「・・・なにやらその眼はお前自身に影響するらしいな。お前らしくない発言が多い」

「そう、ですね。少し頭を冷やしてきます」

そう言って壁に手をつきながらフラフラと保健室を出る。その弱々しい姿を見送った先生は彼がいなくなるのを待ってから楯無に声をかける。

「起きているのだろう?なかなか悪い奴だな」

「・・・バレてましたか」

「くくっ手を握られて顔が赤くなっているのに分からない訳がないだろう?」

「くっ・・それより泰人くんのあれは?」

はははと笑った後頭に手を置き首を横に振った。

「さあな。あの眼の影響か、本来のあいつなのかもしれん。それはお前が一番わかるんじゃないのか?」

そう言われて少し赤面するが先生が真面目に言っているのが伝わって来たので真面目に考える、が確信に持てるものは何もなかった。

「すみません彼のあんな姿は初めてでこちらも戸惑いました」

「そうか。なら仕方ない。だがな、お前も知っていると思うがあいつは天涯孤独だ。親も家族も、果てには親戚もいないときた。一番あいつの事を知っている、わかる事が出来るのもお前だけだ。頼むぞ」

そう言っている先生の姿はまるで自分の家族のような哀しみを含む目と期待が込められているのが伝わった。そして、この自分も彼のことをもっと知りたいとも思っていた。

「任せてください」

静かだが、はっきりと聞こえるこえで返事を返した。

















「ふう。まったく、何てことを口走ってたんだ俺・・・」

結局あの後むしゃくしゃしてたので軽く学園内のグラウンドを走りまくって今は自室のベットでぐでぇと寝そべっていた。もちろんシャワーで汗は流してある。

「泰人くんいる?」

「いますよーどうぞーって楯無さん⁉︎体の方は⁈」

ドアを開けられる前にこちらから開け、確認する。すると病院服でどうやら保健室から抜けたみたいでなははと笑っていた。

「何してるんですか保健室で安静にしてないと。ほら」

「だ、大丈夫よ、ってきゃあ!」

楯無さんを抱き抱え能力で保健室に移動する。

「まったく、楯無さんは撃たれたんですよ?少しは自覚してください」

「う、ごめんなさい」

珍しく素直に謝るので不思議に思い口に出してしまった。

「・・・本当に大丈夫ですか?」

「ち、近い!近いわよ!」

「別に何もないなら良いんですが、やはり体を休めておかないと」

そして何かあったら先生から伝えて下さいと言ってそのまま帰ろうとしたら裾を引っ張られたので振り向くと下に向いたまま無言でぎゅっと楯無さんが掴んでいた。

「楯無さん?どうしーー」

た、と言いかける前に楯無さんの言葉に遮られた。

「あ、あのね!その、」

「どうしたんですか?」

「こ、今回泰人くんに助けてもらったでしょ?」

「まあ、そうなるんですかね」

「そ、そのお礼と言うかなんというか私の本当の名前を教えようと思って」

「真名ですか。今の時代珍しいですが大丈夫なんですか?俺なんかに教えちゃって」

「い、いいのよ!うん!」

その鬼気迫るというか気迫に押され、はい。と答えると小さな声で耳元につぶやいた。


「更識、刀奈」

刀奈と書いてかたなと言うんだと言ったらそれだけっと焦るように俺の背中を押して部屋から出された。

「刀奈、ね」

楯無さんのことをまた一つ知れて嬉しいと思う気持ちとこれ以上知ってはいけないという気持ちが混ざり俺の胸を締め付けた。
















ー後日ー


「はい、あーん」

「も、もう、自分で食べられるわよ」

「失礼しまーす。くくっ随分お楽しみみたいですね」

ここのところ刀奈さんは保健室生活な為「生徒会役員で見舞いさせよう」と提案したところちょうど一夏いるし一夏にしよう。となってここのところ身の回りの世話を任せている。ちなみに部活のマネージャーは延期である。それでも反発がほとんどない辺り楯無さんの人望の高さが伺える。それでも生徒会の仕事はあるのでそこは副生徒会長の俺がこなしている。話を今に戻すと一夏は刀奈さんにあーんしている。

「あんまりからかうと後で仕返しがキツイぞ」

「うっ。でもこんな機会滅多に無いし・・・」

「まあ、そうだな。でも無いに越したことはないけどな」

そう笑いながら手に持っていたビニール袋からオレンジのシャーベットが入った容器を取り出す。

「あんまりこれ売ってるとこ無かったんで少し時間かかりましたがはい、どうぞ」

「あ、ありがとう」

そう言っておずおずと受け取るが何故か顔が赤いので首を傾げる。

「あれ?顔赤いですよ。少し窓開けましょうか?」

「え?ええお願いするわ」

少し言葉が堅いことに笑いつつ少し開きかけているカーテンを開けーーると、

「・・・何してるんだ?お前ら?」

そこにはいつもの専用機持ちメンバーが浮遊しながらそれぞれ物騒なものを構えてこちらを凝視していた。














「すっかり一夏にお熱ですね。羨ましい事で」

手持ちの魔法瓶からお茶出して飲む。一夏?連れて行かれたよ。いまさらおれが引き留めるのもアレだから大人しく連れて行かせた。断末魔が聞こえたがきっと幻聴だろう。
そんな皮肉を言っているとじっとこっちを見つめてくる刀奈さん。

「どうしたんですか?」

「そんなに羨ましいんだなぁって」

「ははは、男の夢なんじゃないですかね」

「ふーん」

「・・・嘘ですよ。さすがにあの5人組の相手とか一夏くらいにか務まらないでしょうね」

「ふーん」

何やら不満らしく口を尖らせているがいかんせん原因がわからないので退散する事にする。

「そろそろお暇しますね。また放課後寄らせてもらいますね」

「あ、・・・あのね、変な事を聞くんだけど今気になる人っている?」

「・・・そうですね。いるっちゃあいますね」

「そ、そう。それって?」

「うーんでも今は刀奈さんの回復の方が大切ですしね」

別に至極普通な回答をしているのにびっくりしている顔をしているので笑う。ここのところ驚く顔や赤面する顔などいろいろな表情を見てそんな顔もするのかと意外な一面を見れて楽しい。

「な、何もないわよ!それより人前では刀奈って呼ばないでね!」

「わかってますよでは、また」

「う、うんお休みなさい」


それから二日後、刀奈さんの傷が完治した。





 
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