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ゴブリンになった・・・・・死ねってこと?

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十七日目~二十二日目

十七日目

朝起きたらゴブ爺が泣いていた。話の内容を聞いてみると捕らえていた女性が死んでいたそうだ。そして孕ませていた子コブリンも流れてしまい、それで新たな子を見る事もかなわないと知ってゴブ爺は泣いていたのだ。だとしても俺は知らない。死んだ詳細を知るわけでもないし、ゴブ郎に目を合わせても俺は知らんという態度を取って、ゴブ郎も知らないだろからな。

そう思っとけと俺は自分に言い聞かせる。ゴブ郎が死んだ女性と流れてしまった子ゴブリンを処分が自分が引き受けると言って受けた。その後は、午前の訓練を受けようとしたら、ここである事に気がついた。ゴブ美が『存在進化』してホブゴブリンになっていたのだ。ゴブリンとの差が激しく、かなり綺麗になったのと思った。ゴブ郎は、自分の服の予備をゴブ美に渡しが、いくらホブゴブリンに『存在進化』したとしても、ゴブ郎とゴブ美だとサイズが違うので、ゴブ郎の服を渡されてもダボっとした感じであり、ゴブ美は微妙な表情であった。

そこで俺とゴブ郎の共同作業で、サイズ調整をした『ナナイロの皮鎧』を作成するのだった。

十八日目

午前の訓練が終了後。俺達は狩りに出かける。そして発見したのはコボルト四体。以前と同じようにロングソードを装備した奴が三体と遠距離攻撃が出来る短弓を装備した奴が一体だ。ゴブ郎が周辺を警戒したが、他に敵がいない事を確認して攻撃を開始。先ずは俺とゴブ美のコンビで、短弓を持っているコボルトを攻撃。この奇襲攻撃で短弓をもったコボルトは絶命。そこからゴブ郎とゴブ吉が強襲。

ゴブ郎は、コボルトから奪い取ったロングソードで首を一刀両断。ゴブ吉は力任せに甲殻棍棒で撲殺。そしていつのまにか残りの一体に接近したゴブ美は、ゴブ郎より渡された『石の片手剣』で、コボルトの心臓を指して絶命させた。この戦闘を見てゴブ美は、速度と知恵重視にステータスが振り分けられているのが確認できた。まあ、ゴブ吉はある程度はゴブ郎の作戦は理解できるが、細かいところまでは理解が及ばないが、ゴブ美は、そういったゴブ郎の細かい指示も理解できるのが特徴である。

そして、以前のコボルト達と同じようにコボルトの装備品を戦利品としていただくのだった。俺はロングソードを一本だけ戦利品として頂いた。俺はゴブ郎のように二刀流で戦う事はないので、状況に応じて近接だったり射撃なりと変わるので、短弓とロングソードだけでも十分であったからだ。残りの戦利品も、現状では他の面々も有効利用できるものがないので、予備品として洞窟に持って帰るのだった。

あと、コボルトは一コブにつき一体と美味しく頂きました。

十九日目


午前訓練が終了すれば狩りにいくはずなのに、ゴブ郎がいないので不思議に思った。ゴブ吉とゴブ美もゴブ郎を探しており、俺も一緒にゴブ郎を探す事にした。そして宝物庫のほうに行くとゴブ郎がいたので、声をかけようとしたのだが、ゴブ郎の行動に俺達は悲鳴を上げる。

それはなんでかって?あいつロングソードとエストックといった武器を食っているからだ。いや、確かに火精石を食った事もあったけど、いくら何でも鉄製の武器までアイツにとっては食い物に入るのか!!俺達が唖然として悲鳴をあげた事にゴブ郎が気がつき、宝物庫にある使えそうな装備品を運ぶのを手伝ってほしいと言われたので、俺達は運び出す。

装備品を運び終えて、そこから全員で使えそうな装備や補修が必要な物を探す。フィールドバッグやバックパックといった荷物を収納できるものがあったのは、これは嬉しい事だ。採取した素材なのど簡単に収納できる事は、自然界にとって重要だからな。全部穴が空いているが、そこは俺が修復するので問題ない。他の防具も傷がついたり、穴があいている物があるが、そこも今まで溜めた素材で修復できるので問題なかった。

今日は俺は狩りは不参加となった。ゴブ郎に武器や防具の修復をよろしくと言われたからだ。今日の飯はおごってやるからと言われたので、俺は了承した。現状で修復が必要なのは、バックパックやフィールドバッグは、穴があいているだけで裁縫で穴を塞いで終了した。武器も所々に傷や錆びがあったので、俺は狩りの合間に使用可能にするべく埃を被って使用されていなかった鍛冶場を修理して、つい最近になって使用可能にしたのだ。俺は、この鍛冶場で修復作業をするのだった。

どうして鍛冶場があるのかというと、ゴブ爺が言うには、俺達より親世代より前には、簡単だが鍛冶を行えたゴブリンがいた為に、この群れの鉄製の武器が略奪品であるため何度も使用すると錆びたり使い物にならなくなることが沢山あったが、そのゴブリンのお蔭で武器の修復が出来て、群れの戦力を維持したとの事だ。今は、そのゴブリンは死んでいるため、そういった知識を持つゴブリンが現れなかったので、現在まで使用されなくなったらしい。

ゴブリン時代の時は、生産スキルのレベルが低くて鉄製の武器の制作は出来なかったが、ホブゴブリンに『存在進化』した俺は、生産スキルも向上しており、何よりこれまで何回も制作スキルを使って武器や防具を制作していたので、制作スキルのレベルもアップして鉄製の武器も制作が可能となった。

大半が基本的に錆びり刃零れしたりなどで打ちなおしなので、然程時間も必要としなかった。ゴブ郎達が帰ってくるまで時間も合った為に、俺は少しラウンドシールド等や、狩りの合間に山奥で見つけた鉄鉱石等を使って武器の作成を開始した。

『鉄のラウンドシールド・改』

制作評価 通常

形状的に取り回しやすく防御以外に攻撃としても使用可能。甲殻獣の甲殻を使用しているので、防御力が向上している。

『鉄の鏃』

制作評価 通常

木の矢に取り付ければ『鉄の矢』として使用可能。

『鉄の片手剣』

制作評価 通常

鉄で出来た片手剣。駆け出し冒険者は、まずこれで片手剣の特性を掴む。

『鉄の短槍』

制作評価 通常

鉄で出来た短槍。通常の槍と比べて短くなっているぶん攻撃範囲も狭くなっているが、短くなっているぶん取り回しやすい。

とりあえずはこんなものかな。『鉄の片手剣』は二本。『鉄の短槍』は三本。『鉄の鏃』が二十五本ほど完成した。まあ、それでも失敗してしまった粗悪品も出してしまったが、初めての鉄製の武器を作成した事を考えれば順調かなと思う。後は、ゴブリン時代に作った武器と防具もゴブ郎達が帰ってくるまで出来る限り作成した。

ゴブ郎達も鉄製の武器を作成した事に驚いたがゴブ郎が、鉄の武器の生産は問題なく行えるかと尋ねられて、まだ失敗もあるけど少数生産なら問題なく作れる事を伝えた。あと、鉄製の武器の補修ならある程度は出来るとも伝える。

これにゴブ郎は、俺の事を凄いと褒めてくれた。素直に褒めらて俺としては嬉しかった。今日の武器の修復と鉄製の武器の生産に貢献した俺に、獲物の中で一番うまい部位を沢山食わしてくれた。

うん。やっぱり程よく油が乗っている部位を焼いて食うのは贅沢だなど思うのだった。

二十日目

午前の訓練後に、俺達の獲物の戦果は向上した。昨日の宝物庫で発見した武器や防具に、俺が作成した鉄の武器を装備した俺達に、ナイトバイパーもヨロイタヌキも、そしてコボルトもただの獲物に成り下がった。小型クロスボウレベル1から宝物庫で見つけた大型クロスボウに変更したゴブ美の正確無比な射撃に、バトルアックスや『鉄のラウンドシールド・改』とプレスプレートに『甲殻の胴鎧』を装備した重戦士と化したゴブ吉に、ゴブ郎のインもアウトも問題なく戦えるオールラウンダーな動きに加えたエストックの二刀流による無駄のない戦いに、俺の補助的なカバーも加わった戦果は、コボルト五体、ヨロイタヌキ十六体、ナイトバイパー十八体だった。

現状ならコボルトが倍の数で来ても倒せると、ゴブ郎は断言していた。まあ、ロングソードと革の胴鎧しか装備していないコボルト限定とつくけど、俺達は日に日に凄い速度でパワーアップしているのだと実感した。

二十一日目

午前訓練。ゴブ郎の訓練を受けた俺達は短期間で凄まじい速度で成長した。何しろゴブ郎の訓練を受けている同期ゴブリンは、既に餓死寸前の弱者はいない。最低レベルでも単独でホーンラビットを狩れるほどに成長しているからだ。そして、その訓練効果が出ている事で分かりやすい例をあげれば、ゴブ郎の下僕ゴブリンは、本来なら生物的に格上であるナイトバイパーをゴブ郎に献上するまでに成長しているのだ。

ただやはり、同期の中で突出しているのはゴブ吉とゴブ美だ。ゴブ吉は、無駄なく力を発揮する術を見つけて、攻撃力だけを見るなら群れの中で一番の実力を保有している。ゴブ美も自分の素早さと巧みさをうまく扱う戦闘技術を身に着けている。それでもやはり、格が違うのはゴブ郎だ。ゴブ吉もゴブ美も、そして俺もやはりゴブ郎にはかなわない。ホブゴブリンの亜種だからといってもゴブ郎の実力は、もうホブゴブリンを超えているのでは?と、思う程に実力差を感じるほどだ。

そんな感じで午前の訓練は終了した。ここでゴブ郎は、新たなメンバーを加入する事を決定する。そのメンバーの名は、同期ゴブリンのゴブ江である。ゴブ郎が言うには、俺達ホブゴブリンを除いてゴブリンに限定すれば一番の実力者らしいのだ。

まあ、この子は俺も見覚えがある。何しろ自分に殺しの手管を教えてくださいと言って真正面で土下座していた雌ゴブリンだからだ。あと、何故か関西弁で喋るので、これも印象に残る理由の一つだ。ぎりぎり俺達についてこれるレベルであるゴブ江に、バックパックを装備させて荷物持ちと補助的な役割をはたして貰うようになった。

俺達と同行するので装備を支給した。ゴブ郎が作成したレザー服に、武器はゴブ美が使用しなくなった『小型クロスボウレベル1』に補助武器にボウイナイフに『石の解体ナイフ』。あと使用しないかもしれないけどゴブ吉が以前つかっていた『甲殻の盾』である。

これだけ装備すれば生存率も高くなる。そして新たなメンバーを加えた俺達の狩りは楽になった。荷物持ちをしてくれるゴブ江のお蔭で、いつも異常に素材を回収できたからだ。あと、何だかんだでゴブ江の『小型クロスボウレベル1』の攻撃も地味に俺達に貢献していた。

二十二日目

もう然程脅威ではないコボルトの群れを発見した。数は六体と若干こっちより多いが、それでも特徴的な奴がいた。それは、トリプルホーンホースの頭蓋を被って木の杖を装備しているコボルトを発見したからだ。これは、コボルトが魔術の適性をもったコボルトメイジという固体であると理解した。ゴブ爺から聞いた事だが、俺達の種族のゴブリン。他にもオークやコボルトといった下位モンスターは、本来は魔術の適正はないのだが、ごく稀に亜種以外の通常固体でも使用できるケースはあるにはあるらしいのだ。

俺も一応、魔術の適正はあるらしいが、現在も炎熱の魔術は使えない。使えたとしても、未だにライター代わりに使える程度だからだ。メイジクラスがいると厄介な敵かと思ったが、ゴブ郎は少しあの群れの様子を見ようと提案した。しばらく様子を見ると、コボルトメイジたちの一団は、物理攻撃が聞かないとされるグリーンスライムに遭遇。

それをコボルトメイジが詠唱した直後に、コボルトメイジから放たれた火がグリーンスライムに命中して、グリーンスライムは蒸発した。派手に蒸発したなと思った。今のコボルトメイジの魔術の使用を見て、俺はある程度は魔術の原理は理解した。その後は、ゴブ郎が用無しと判断したらしく、コボルトメイジの一団を強襲して絶滅させた。

まず最優先に、脅威となるコボルトメイジを殺した。自分の一団の中核とも言えるコボルトメイジが殺された事により、動揺した他のコボルトは成す術もなく俺達に殺された。いつものように戦利品としてコボルトの装備と素材を回収する。なお、ゴブ郎がまた食い物と関係ない木の杖をムシャムシャと食っていたが、もう俺もゴブ吉もゴブ美も慣れたと言わんばかりに、あまり気にしない事にした。

その後は、馴染みの獲物であるヨロイタヌキとナイトバイパーを狩って俺達は洞窟に戻って就寝するのだった。


 
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