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ドリトル先生北海道に行く

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第一幕その三

「日本では旅行が盛んですね」
「よくそう言われます」
「国内旅行も海外旅行も盛んです」
「ゴールデンウィークや年末年始にです」
「夏休みにしましても」
 先生達もそれぞれのお昼御飯を食べつつ先生に答えます。
「もういつもです」
「電車や飛行機の予約も満杯になります」
「今から電車の予約をしましても」
「バスもそうですよ」
「ましてやです」
 先生達は先生に困惑気味のお顔でお話します。
「先生はまだ何処に行かれるのかも決めていませんね」
「そうですよね」
「この神戸から何処に行かれるか」
「そのことも」
「はい、果たして何処に行くべきか」 
 先生だけがおっとりとした表情です。
「まだ決めていません」
「それではです」
「今から手続きをされても」
「とてもです」
「決まるものではないかと」
「ホテルも電車も予約が取れません」
「とてもです」
 こう言うのでした、皆で。
 しかし先生にです、皆でこうも言いました。
「ひょっとしたらキャンセルが出るかも知れないので」
「それを待たれてはどうでしょうか」
「それで何処かに行かれては」
「そうされては」
「キャンセル待ちですか」 
 先生はお箸で定食の中のキャベツの千切りをお箸に取りつつ言いました。
「それ次第ですか」
「はい、キャンセルも出ますので」
「何かと」
「それで何処かに行かれては」
「そうされては」
「特に八条グループのです」
 先生達は八条大学も所属しているこの企業グループのお話をしました。
「旅行関係を探してみては」
「私達は八条グループの人間ですから」
「何かと便宜も計ってもらえますし」
「八条ツーリストという旅行関係の企業もありますので」
「そちらを利用されては」
「八条ツーリストですね」
 先生もこの企業のことは聞いています、それでです。
 考えるお顔になってです、こう言いました。
「では早速八条ツーリストに行ってみます」
「はい、八条駅にもお店があります」
「今日にでもそちらに行かれてはどうでしょうか」
「それで若しキャンセルや空きがあれば」
「そこに行かれては」
「わかりました、それではです」
 先生は同僚の人達のアドバイスに微笑んで応えました。
「お仕事が終わってから行ってきます」
「はい、急がれた方がいいです」
「先生の夏休みももうすぐですし」
「是非です」
「今日のうちに行かれて下さい」
「わかりました」
 先生も頷いてです、その日お仕事が終わるとすぐにです。
 動物の皆は先にお家に帰ってもらって先生は徒歩で八条駅まで行きました。そしてそこにある八条ツーリストの支店に入ってです。
 お店の中にいる若い奇麗な女性の社員さんにです、帽子を取って一礼してからその社員さんの前に座って言いました。
「実は旅行先を探していまして」
「どちらに行かれたいですか?」
「それまだ決めていません」
 先生はこのことは少し申し訳なさそうに答えました。 
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