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きりがない

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第四章

「やって終わりってしたいのよ」
「お掃除もなのね」
「そう思うけれどね」
「まあそれはね、けれどね」
「けれど?」
「結局世の中ってね」
 それこそと言う愛実だった。
「そういうものでしょ」
「そういうものって?」
「だから、毎日お腹が空いてね」
「それで食べて」
「ゴミが溜まってね」
「それをお掃除する」
「そういうものでしょ、世の中って」
 それこそというのだ。
「一回してもすぐにそうなる」
「それがっていうのね」
「世の中でしょ」
 こう言うのだった。
「もぐら叩きよ」
「一回叩いてもすぐになのね」
「頭出してくるのよ」
「お掃除しても塵も積もって」
「また払ってね」
「ゴミも溜まって」
 そしてというのだ。
「それを捨ててね」
「毎日なのね」
「お腹も空いて」
「食べて」
「そういうものでしょ」
 愛実は自分と共に夕刻の街を歩く麗奈に話した。
「一日だってそうだし」
「一日って」
「朝になってお昼になってね」
「夕方になって」
「夜になってでしょ」
「また朝になる」
「世の中って全部そうなのよ」
 達観した様にだった、愛実は麗奈にさらに話した。
「繰り返しよ、同じことを繰り返してね」
「そして、っていうのね」
「また出て来たものを叩いたり同じ場所をお掃除し続けて」
「お腹が空いたら食べる」
「そうして生きるものなのよ」
「そういうものなのね」
「それが疲れる?」
 麗奈のその整っていると言っていい顔を見て問うた。
「麗奈は」
「ううん、突き詰めて考えるとね」
「疲れるのね」
「けれど意識しないようにすれば」
 特に考えることなしにいけばというのだ。
「何でもないかしら」
「麗奈どうしてもぐら叩き好きなの?」
 それが何故かも聞いたのだった。
「ゲームセンターでいつもやってるけれど」
「それは何度でも出て来るからよ」
「叩いてもよね」
「そう、何度も叩くのがね」 
 出て来たその頭をだ。
「面白くて」
「お掃除も真面目にやるしね」
「あれはまあ汚れが気になるから」
「放っておけないでしょ」
「私的にはね」
 実は清潔な麗奈である、このことは愛実も同じだ。 
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