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きりがない

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第三章

「部活出て帰りましょう」
「今日は部活の日だしね」
 愛実も応えた、二人共同じ華道部に所属している。
「行きましょう」
「ええ、そうしましょう」
 こう話してだ、二人は実際に掃除の後で部活も出た。そしてその部活の帰りにもだった。麗奈は夕暮れの帰り道で一緒に帰っている愛実に言った。
「何かこの時間になると」
「今度は何?」
「お腹が空くわ」 
 少し笑っての言葉だ。
「そうなるわ」
「それ誰でもよ」
「夕方になったらね」
「お腹空くわよ」
「そうよね」
「というか朝もお昼もでしょ」
 夕方だけでなくとだ、愛実は麗奈に言った。
「お腹空くでしょ」
「三食の前はね」
「そうよ、誰でもね」
「何かこれもね」 
 このこともだ、麗奈は少し苦笑いになって愛実に話した。
「きりがないわね」
「食べても食べてもっていうのね」
「幾らお腹一杯食べても」
「次の日の朝にはね」
「お腹空くから」
 それでというのだ。
「それでね」
「だからっていうのね」
「きりがないわね」
「このことも」
「そうよね」
「まあそれはね」
 愛実は麗奈のその言葉に頷いた。
「というかこのこともね」
「そうよね」
「きりがないわ」
「ええ、昨日と今日で気付いたけれど」
「何に?」
「世の中ってこういうことばかりね」
「きりがないことばかり」
「叩いても叩いても出て来て」
 まずはもぐら叩きのことからだ、愛実は話した。
「幾らお掃除してもね」
「ゴミが出て」
「そしてね」
「食べもね」
 そうしてもというのだ。
「お腹が空くから」
「だからっていうのね」
「もう何もかもがね」
「きりがない」
「そうよね」
「本当にそうよね、何かしても」
 それでもというのだった、麗奈は愛実のその言葉に応えて言った。
「すぐにね」
「同じことになる」
「世の中そんなことばかりよね」
「そして麗奈はね」
「それがね」
 どうにもとだ、麗奈は愛実に言葉を返した。
「困るわよね」
「まあね」
 愛実もだ、麗奈の言葉に頷いて言った。
「それはね」
「愛実もそう思うわよね」
「やって終わったって思ったらね」
「またしないといけないとかね」
「やっぱりね」
 どうしてもというのだ。
「面倒よ」
「そうよね、だからね」
「麗奈はなのね」
「そういうの嫌なのよ」
 どうしてもというのだ。 
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