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『夢の中の現実』

作者:零那
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『恐怖』



不安が取り除けんのは気持ち悪い。
何より父さんに申し訳ない。
父さんが何にお金を遣ってるのか気になって仕方ない。
ギャンブルとかの心配じゃない。
もっと違う何か...
心なしか父さんが少し遠くなってしまうような...
離れて行ってしまうような...
凄く淋しくて泣きそうになるような感覚...
もしかして裏切られたりせんよね?
それに、先に零那が父さんを裏切ってるし...6歳の時に。

大体、裏切られるとか思うこと自体おかしい。
零那は自分のエゴで此処に居るだけやのに。
自分が勝手に父さんの為にってやってる事ばっかりやのに。
束縛する権利は無いのに。

不安を通り越して恐怖という感覚を抱く。

父さんに、じゃない。
父さんの気持ちや考えが見えんことに対しての恐怖かな。

日常生活からは微妙にぎこちなさが伝わってくる。
新たな秘密がある。
単なる勘やけど確信めいた何かを感じた。

携帯で誰かとメールしてるのは間違いない。
一緒の時間は触らんけど、夜中トイレ行くとき必ず持って行ってる。
そんなこと今迄なかった。
でも、携帯持っといて欲しくて持たせたのは零那。
他の誰とも連絡取るなとか理不尽な事は言ってない。
今迄連絡取りたくても取れんかった人に連絡したくなるのは当然。

父さんが離れて行くとか...
気にし過ぎ...。

じゃあ此の異様な胸騒ぎは何?
何が起こる?
仕事に出るのが、父さんと離れるのが怖い。
帰って来たら居らんとか...ナイよね?
怖くて涙出る。

それでも仕事は仕事。
果たすべき事が在る。
義務が在る。
額もマダマダ在る。
普通の職業じゃ元金の返済は不可能。
其れ以前に、雇ってくれる処が無いんやけどね。

父さんの為に零那が出来る事は、此しかない。
わけわからん恐怖に負けとる場合ちゃう。

父さんに聞いてしまえば良いんやけど、其れをしてしまうと一線を越える気がする。
親子といえども踏み込んだらあかんのちゃうんかなって感じる緊張感が在る。

知ってしまえばサヨナラの予感。
其れだけは絶対避けたい。

せっかく逢えた。
せっかく幸せな暮らしを手に入れた。
せっかく父さんの為に出来ることがある。

それって全部、零那の望み。
やっぱ父さんは零那が邪魔?


 
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