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『夢の中の現実』

作者:零那
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『日常/不安』



ごくごく当たり前の様に、父さんと過ごす日々が流れる。
生活リズムも一定になってきた。

週末の飲み屋は、必ず父さんと同伴出勤だった。
父さんは未だに1人で飲みに出た事は無い。
『零那と行ける日が決まってるなら、わざわざ1人で飲みに出る必要無いから』
そう言われた。

いろいろ考えて、子供じゃないんやし5000円じゃ足りんと思って毎朝1万円渡すことに。
いちいち何に使ってるかは聞いてない。
毎週此処で飲んでも充分お釣りはある。

でも...不安が無いワケじゃ無い。
父さんに再会した頃、生活すらままならん状態だった。
だから、零那は普通レベルの生活をさしたげたくて一生懸命になった。
家具や食事や身なりも、逢えんかった長年の『父の日』のプレゼントとして。
だって、そう言えば『要らん』とは言われんやん?

好きでやってる事。
父さんの役に立ちたいからやってる事。
父さんを少しでも満たされた環境に住ませてあげたいと想うから...
此処も、こだわりがないなら引っ越すか聞いた。
でも『此処は好きやから』って父さんが言うから引っ越しはせんことに。

父さんの嫌がる事はせん。
父さんが望むなら何でもやる。
零那には、そんな極端な想いしか知らんかった。

借金もだいぶ減った。
もしかして借金無くなったら零那のこと邪魔になるんかな...?
そんな心許ない不安が頭をよぎった。

父さんを汚い人間だとは思ってない。
疑ってるワケでもない。
でも、何故かそんな不安が心から取り除けん。
最低な娘や。
なんでなんやろ...

たぶん、父さんが出掛けたり遊んだりしてる様子が無いから、逆に不安になってるだけやんな?

こんな不安な気持ち、杞憂だったって、すぐに安心できるやんな?


 
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