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ソードアート・オンライン~漆黒の剣聖~

作者:字伏
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アインクラッド編~頂に立つ存在~
  第十六話 Let`s お仕事

ルナに見送られ、依頼品を集めに出かけるソレイユとそれに同行することにしたキリトは二十二層の転移門に向かって歩いていた。転移門が見えてきたところで、ソレイユは今後のことをキリトに話そうとしたところでソレイユにメールが来たが、即座に返信をして、改めて話していく。

「とりあえず、依頼品を集めることが先だな」

「場所はわかってるのか?」

「ああ、問題ない。んじゃ、行くぞ」

そういって、転移門で移動するソレイユにキリトは続いていった。



一つ目の依頼品

「~~~♪~~~♪~~~♪」

鼻歌を歌いながら五十三層にある洞窟のダンジョンの中を歩いていくソレイユ。そのあとに続くようにキリトが歩いていくが緊張感のかけらもないソレイユに呆れていた。

「なぁ、ソレイユ・・・」

「なんだい、キリト君?」

なかなか高いテンションなソレイユについていくことができないキリト。それでも二人は歩みを止めずにダンジョンの奥へと歩いていく。

「お前、いつもこんなことしてるのか?」

「こんなことって、生産職の依頼のことか?」

聞き返してくるソレイユに頷くキリト。リソースを奪い合うMMORPGではソレイユのようなことをやるようなプレイヤーはそうはいないだろう。何かしら深い意味があってやっているのではないかと思っているキリトであったが、そんなキリトをよそに、ソレイユはサラッと言った。

「別に大した理由はないんだけどな~。まぁ、強いて言えば暇つぶしだよ~」

予想外の答えにずっこけるキリト。前を歩いていたソレイユは足を止め、不思議そうにこけたキリトを見ていた。

「何してんだ、お前?」

「い、いや、なんでもない」

ソレイユの言葉に返答しながら立ち上がるキリト。それを確認したソレイユは再びダンジョンの奥に向かって歩みだしていく。キリトはどこか腑に落ちない表情でソレイユの後をついていく。

少しの間歩いていくと、開けた場所に出た。ドーム状に広がり、一種類のモンスターが数匹徘徊していた。それを確認したソレイユは、キリトに今回の目的を告げた。

「相手は、あれだ。モンスター名は≪クリスタル・リザードマン≫。攻撃方法は体当たり、火炎ブレス、石投げ、剣での攻撃だ。攻撃力はそんなに高くないが防御力が高いから粘り強くがんばれ」

「わかった。それで、何が目的なんだ?」

「あいつを倒したときにもらえる≪アダマント・インゴット≫だ。あいつらを全部倒してしまったとしても、数分後には無限にリポップするから、目標数に至るまで狩り続けられる」

「・・・ちなみに聞きたいんだけど・・・」

「なんだい、キリト君?」

いやな予感がするキリトにソレイユは首をかしげながら反応した。予感が外れてくれと願いながらキリトは口を開いた。

「・・・何個集めるんだ、それ?それで、どのくらいの確率で出るんだ?」

「あれ、言ってなかったっけ?」

聞き返してくるソレイユに無言で首を縦に振るキリト。ソレイユは頭を掻き、笑いながら謝ってきた。

「やっ、すまんすまん。えっと、目標数は二十個。出る確率は三%くらいだったかな。大丈夫だ、おれとお前ならすぐ終わる」

「ちょっとまてぇぇぇぇぇっ!!」

有り得ない数字を聞いて絶叫するキリト。例えるなら、モン○ンで天鱗クラスのものを短時間で二十個も入手するといっているのだ。いくら二人でやるからと言っても無理無茶無謀の三拍子がそろっている。というか、そんなところは通り越して、もはや不可能である。そんな勝ち目のないチャレンジをやろうとするソレイユを何とかして止めようとするキリトであったが、その行動に移る前にソレイユは≪クリスタル・リザードマン≫と戦っていた。それを見たキリトは逃げ出したい気持ちをぐっとこらえ、≪クリスタル・リザードマン≫に突っ込んでいった。

――――、一時間後

「・・・・・・・・」

「・・・よし、これでここには用はないな。次行くぞ」

何とか一時間で目標の数を集め終わったソレイユとキリト。ソレイユはなんてことない顔でアイテムウインドウを見ているが、キリトはぐったりした様子で座っている。集めた数はソレイユが十八個、キリトが二個である。どこか理不尽めいたものを感じるキリトであったが、文句を言う気力すら残っていない。最初からこれなのだ。次に来るものの予想をしようとしてキリトは考えるのをやめた。挑む前から意気消沈しそうだったからである。



二つ目の依頼品

次にソレイユたちが足を運んだのは三十九層にある山に来ていた。らせん状に続く山道を、ホップしてくるモンスターを倒しながら登っていくソレイユとキリト。

「・・・で、次は何を取りに行くんだ・・・?」

一つ目の依頼品ですら難易度が高かったのだ。二つ目に来るものはどんな無理難題なのか、果てし無く不安に感じてしまうキリトだったが、ソレイユは首を横に振りながら口を開いた。

「安心しろ、先ほどのような難題じゃねぇよ」

「・・・・・・」

ソレイユの言葉を聞いても安心できないでいるキリト。ソレイユとキリトの認識には大きな差があることが最近になって理解できるようになっていたため、なおさらそう感じてしまうのかもしれない。

そんなことを思いながら歩いていくと頂上が見えた。登りきるとそこは開けた空間になっており、そこには二メートルくらいの虹色の孔雀らしきものが数えきれないほどいた。それを見たキリトは開いた口がふさがらないでいたが、そんなキリトに構わず説明するソレイユ。

「あれは≪レインボー・ピーコック≫。攻撃方法は嘴でつついてくるか、跳び蹴りがくるかのどちらだ。ただ、尾を広げた状態で太陽の光を浴びるとHPを回復してくるから気をつけろ。目標は、あそこの巣にある虹色の石、≪レインボー・ストーン≫五個だ。気を引き締めていくぞ」

「・・・ああ、わかった・・・」

疲れ切っているのか、元気がないキリト。そんなキリトを無視してソレイユは奥の方にある巣をめがけて武器を構えずに突っ込んでいく。武器を構えないことを不思議に思ったキリトだが、後からキリトも突っ込んでいく。そこでソレイユとキリトの存在に≪レインボー・ピーコック≫たち気が付いた。敏捷値優先で鍛えてきたステータスを生かして≪レインボー・ピーコック≫たちの攻撃をくぐりぬけていくソレイユに対して、敏捷優先で鍛えてきたキリトだが、ソレイユのほうが敏捷値が高いのか≪レインボー・ピーコック≫たちとエンカウントしてしまう。そのため攻撃を剣でさばきながら進もうとしているが、数が多すぎてなかなか進めない。
そして、その時になって初めてキリトはソレイユの狙いに気が付いた。つまるところ、囮にされた、と。事実ソレイユを追う≪レインボー・ピーコック≫はほとんどいなく、代わりにキリトのほうへ押し寄せてきていた。それに気が付いたキリトだったが意外にも攻撃が激しいため文句を飛ばすこともできないでいた。キリトが攻撃を受けている間にソレイユは目的のものをゲットし、キリトのほうへ近づき、転移結晶を渡すと閃光玉を使い、≪レインボー・ピーコック≫たちを目眩ます。その隙に転移結晶を使い、その場を去って行った。

転移した後、キリトはソレイユに向かって思いっきり文句を飛ばしたが、当のソレイユは笑ってごまかしていた。



そのあとも、いろいろな場所に依頼品を集めに行っていると、時刻はすでに夕暮れ時となっていた。思っていた以上にハードな仕事内容だったのでキリトの精神パラメータはほとんどゼロであった。

現在ソレイユとキリトは鍛冶ギルドがある十層の主街区に来ていた。今はソレイユが依頼品を納品して報酬を受け取っているところである。ソレイユのことを待っているキリトは、ぐったりと疲れ切っていたため、近くのオープンカフェで座りながらテーブルに突っ伏していた。これは、ある意味でボス攻略よりもつらい、と思っていたが口に出す元気がなかった。そこへ、報酬を受け取ったソレイユが戻ってきて、キリトにも報酬が分けられた。むろん半分ずつである。

仕事が終わったため帰ろうとするソレイユとキリト。しかし、転移門に向かっている途中で声をかけた人物がいた。

「よっ、久しぶりじゃん、ソレイユ」

声のした方を向くと、異様な威圧感を放ちながらライダースジャケットのようなものを羽織り、槍を携えたプレイヤーがいた。そのプレイヤーを見たキリトは咄嗟に武器に手をかけ臨戦態勢に入る。

「なに、臨戦態勢に入ってんだよ」

「・・・ッ!?」

しかし、キリトにそんなつもりはなかったらしく、ソレイユに注意されて初めて気づいた様子だった。そんなキリトを見た槍使いは笑っていた。

「二刀流使いは血気盛んだな!」

「何言ってやがる。原因はお前にあるんだぞ。いいからそれ、仕舞え」

「はいはい」

ソレイユの言葉に槍使いが醸し出す雰囲気が和らいでいく。そんな槍使いを見てソレイユは溜息を吐いた。

「はぁ、久しぶりだな、シリウス」

「ああ、息災で何よりだぜ」

「お前もな」

「そっちの二刀流使いははじめてだな。シリウスってんだ、よろしく」

「よ、よろしくお願いします、キリトです・・・」

自己紹介をするシリウスに緊張しながら返していくキリト。そんなキリトにシリウスは苦笑しながら話していく。

「そんな緊張しなさんなって。それより、この目の試合見たぜ、惜しかったな」

シリウスの言葉になんて答えたらいいのかわからないキリト。そんなキリトを察してか、ソレイユが口を開いた。

「そういえば、ベガはどうしたんだ?クエスト中か?」

「ああ、後でお前の方にも顔出すと思うぜ。あいつが返ってきたらおれもクエストだ」

「そうかい、せいぜい死なないように気をつけろよ」

「ああ、わかってるよ。そんじゃ、俺は用があるから先に行くぜ」

「ああ、また近いうちにな」

いつの間にか転移門の前まで来ていたので、シリウスは転移門に入り消えていく。シリウスに続くようにソレイユとキリトも転移門に入り、二十二層へと帰っていった。

その後、リズベットやシリカを交えパーティー的なものが開催され、夜は更けて行った。



「・・・・・・・」

ベットから上半身だけをお越し、髪をかきあげる。部屋の明かりはついておらず、窓の外を見ると月がきれいに輝き、部屋の中を照らしていた。隣ではルナが気持ちよさそうに眠っている。リズベットやシリカを含めたパーティーは結構な盛り上がりを見せていた。久しぶりにはしゃいだせいか、キリトたちが帰った後、倒れるように眠りについてしまった。

「・・・・・・・」

隣で眠るルナの頬を撫でながら、ソレイユは先ほど見ていた夢を思い出していた。忘れられない出来事、この世界に来てできたライバルと呼べる存在との出来事を。

「・・・あいつと久しぶりに会ったからこんな夢を見たのかね?」

しかし、皮肉げに笑うソレイユの疑問に答える者はいない。そんなことに苦笑しながらかつての仲間のことを思い出していた。クランザムでアスナにはああいったが、一度だけギルドに所属したことがあったのだ。そのギルドで出会った一人が先ほど会ったシリウスである。

「あいつらは仕上げに入ったか・・・。俺もそろそろ準備しないとな・・・」

そう言いながら再び横になり眠りについていく。瞳を閉じる前におもちゃを与えられた子供のような笑みをうかべながら一言呟いた。

「また、楽しませてくれよ。・・・・・――――――――――」
 
 

 
後書き
はい、という訳でキリト君が苦労した回でした

ソレイユ「ご愁傷様」

君のせいだぞソレイユ!大体なんで三パーセントの確率のものが一時間に十八個も出るんだよ!
そのラック、わたしにも分けろ!

ソレイユ「無理だ。そんなことよりさっさとおれたちのプロフィ書け」

今書いてる!!次の回がプロフィの更新です

ソレイユ「ようやくか。この駄作者め」

<( ̄3 ̄)>キコエマシェーン
そんなわけで感想お待ちしております!! 
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